記事の詳細

BIP総合研究所は、2019年4月より上場企業を対象とした「社外取締役・コーポレートガバナンス研究会」を設置し、調査・研究を実施してきました。

研究成果について、2020年6月1日付で中間報告を発表致しました。
本研究会では、中間報告に記載の課題を中心に今後も研究を継続して参ります。

BIP株式会社では、上場企業のコーポレートガバナンス、グループガバナンスを支援するために、主に2つのサービスを提供しています。

 1. コーポレートガバナンス、グループガバナンスの改善支援アドバイス
 2. 上場企業及び子会社への社外取締役のご紹介

是非、ご活用願います。気軽にお問い合わせください。

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「社外取締役・コーポレートガバナンス研究会 中間報告」


―日本の社外取締役の実態―

2020年6月1日
BIP株式会社 社外取締役・コーポレートガバナンス研究会

本研究会の目的

 BIP(株)が、上場企業の「第2・第3の成長」を中心とした経営コンサルティングを数多く展開してきた中で考えた事は、上場企業に対する期待・役割は「持続的な成長・企業価値拡大」「連続的なイノベーション」「国際的に競争力を持った事業経営」の3点に集約されるということだ。その中で、上記課題の推進にとって重要な社外取締役・コーポレートガバナンスに注目し、2019年4月よりBIP総合研究所内に社外取締役・コーポレートガバナンス研究会を設置し、調査・研究を実施してきた。上場企業の株主は、取締役をはじめとする企業の経営陣を選任する際、同時に経営陣の監視・助言を目的とした社外取締役も選任する。日本における社外取締役とコーポレートガバナンスの現状と課題を分析し、改善・改革の方向を明らかにしたい。


これまでの活動概要

 研究会では、社外取締役とコーポレートガバナンスの社会的要請の背景と実情を明らかにするために①先行研究と企業調査結果の探索、②社外取締役の実態と企業とステークホルダーの期待と役割の調査、③ROESG, CHROの実態調査、④社外取締役に求められる要件とリクルートの実態調査、⑤グループ会社のガバナンス調査を行った。 本報告では、これらの調査を要約した社外取締役の社会的要請の背景と実情を報告する。


社外取締役を取り巻く構造変化

 日本においてバブル経済が崩壊する1992年頃までは、銀行が企業に貸し付けることで負債による債権者ガバナンスや企業間株式持ち合いが成立していたが、バブル経済の崩壊により金融システムが変わり企業の負債構造・株主構造が変化した。株主はこれまでの持ち合い株主から、 年金や保険・信託等運用を目的とした機関投資家が中心となりつつある。この株主構造の変化により社外取締役に求められる内容も変化している。

 持ち合い株主の時代においては、社外取締役は企業の行動に賛同を示すことが一般的に求められているのに対して、株主構造の変化後においては、企業が適切にパフォーマンスを発揮するよう促すことを求められている。
具体的には、①的確な経営陣の指名・報酬の決定、②経営陣が経営資源を活用して事業成長と利益を適切に上げているかの監督・助言の2点である。

 ところが社外取締役の役割はコーポレートガバナンス・コードで明らかになっているのに対し、求められる資質は明確になっていない。社外取締役の属性は、経営経験者が一番多く、次いで弁護士・裁判官OB・検察官OBや会計士・税理士と学者が多くを占めている現状である(図1)。上場企業では顧問弁護士、監査法人と契約しているにも関わらず、法律・行政や会計・税務などに関わる方々が社外取締役にも異常に多い。議決権行使助言会社の助言方針を読み解くと多様な人物を推奨していることが読み取れる。求められる資質のヒントとしてコーポレートガバナンス・コードの「政策保有株式の検証と縮減強化」「スチュワードシップ活動の支援」「E S G要素に関する情報開示」「取締役会の機能強化」「資本コストを意識した経営の実施」の5点を具体的に実行させる社外取締役が求められていると考えられる。

図 1 社外取締役の属性(日本能率協会※1
図1


どのような人物が社外取締役になるべきか

 欧米において社外取締役に求められる要件は、「重要案件を徹底討議できる人」、①良識を持ってディベート能力がある、②見識に裏付けられた質問力、常識的な判断力を有している、③適切な判断をするためにその会社の基本哲学や理念、経営理論・手法、商法や財務会計の基本、金融・マクロとミクロの経済動向に関して幅広く・深く知識を蓄え常に勉強している、④大局的かつ総合的に冷静な判断ができる(少数株主の利害を代弁できる)。これらを満たした上で、社外取締役として徹底討議を行うために充分な時間を確保できる(その会社を知る時間を確保できる、 議論の準備時間を確保できる、取締役会に出席できる)、経営に関する得意分野をいくつか持ちつつゼネラリストであることでコンセンサスを得られている。極めて妥当で常識的な内容である。

 日本において、重要な案件については会社法362条4項にて取締役会決議事項が規定されている。少なくとも、会社法で規定されている内容を徹底討論できる人物が社外取締役に求められていると考えられる。

 日本における社外取締役選任は、社内・社外の取締役が紹介した人の中から選任されることが多い※2。社外取締役の選任のきっかけが取締役の紹介であることについては否定されるものではないと考えるが、株主総会資料などで確認する限り取締役候補者の経歴は明記されているものの、専門性について詳しく明記されている資料は数少ない。どの分野の専門性を持った人物であるか明記することが取締役の要件に関する議論を実質的なものへ変化させる一歩であると考える。


今後の課題

 本研究会の活動を通して、社外取締役の社会的要請の背景と実情調査を行った。日本の大多数の上場企業では、社外取締役を2名以上選任して形式的な要件を満たしていることを確認できた。今後は、コーポレートガバナンス・コードなどで求められている理想を実現させるための方策の充実化が必要であると考える。社外取締役とコーポレートガバナンスにおける課題は当面3点であると考える。

 第1に、コーポレートガバナンス・コードによって社外取締役の役割が明確になり、社外取締役の選定においては、どのような資質・経験・専門性を持った人物が適任かの実質基準が明らかになること。そしてその人材がプールされていること。第2に、子会社も含めたグループ全体としての視点でシナジー最大化のための戦略策定・実行、共通インフラ提供など監査・助言を行えること。多くの場合が子会社を含めた連結・グループ会社として評価されるため、社外取締役は本社の経営陣のみならず子会社の経営陣にも目を向けて連結経営・グループガバナンスを実現させなければならない。第3に、適格な経営陣の存在が不可欠であり、その形成のしくみ作り。上場企業および連結経営グループ会社全体の将来の経営者候補の育成・評価・選定のプロセスの監査と助言を行い、次世代候補者の育成にも密に関わる必要がある。

※1: 日本能率協会(2019)「社外取締役の活用及び取締役会の実効性評価」
※2: 経済同友会(2018)『社外取締役の機能強化「3つの心構え・5つの行動」』

 

社外取締役・コーポレートガバナンス研究会メンバー

佐々木 昭美  BIP株式会社 取締役会長 C E O
 (学会活動等)
  ・日本コーポレートガバナンスネットワーク
  ・組織学会
  ・日本ベンチャー学会

手塚 里美  BIP株式会社 代表取締役社長 C E O、グロービス経営大学院大学 経営研究科経営専攻

野村 拓治  東京都立大学 社会科学研究科 経営学専攻
 (学会活動等)
  ・組織学会
  ・日本経営学会
  ・日本経営倫理学会
  ・経営情報学会 他

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<本件に関するお問い合わせ>

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〒103-0027 東京都中央区日本橋1丁目2-10 東洋ビル6F
TEL:03-5542-1417
E-Mail:info@bi-p.co.jp
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