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2012/03/01 第19話「ルールを制するという考え方」

 あるゴルフの集まりで、ウェーバー・シャンドウィック・ワールドワイド株式会社の会長、西谷さんという方にお会いし、ご自身のビジネスのご紹介も兼ねて書かれた著書「パブリック・アフェアーズ戦略」をお贈りいただきました。しかし悲しいことに、“パブリックアフェアーズ”という言葉さえ知らなかった私は、なんだか難しそうな本を頂だいちゃったなぁ、、、という印象で、そそくさと本を鞄に片付け(心の片隅で、この本読まないかもしれないと思いつつ)、同じ組でラウンドさせていただきました。ラウンド中、仕掛けられたトラップに何度トライしても抜け出せずスコアだけが積み重なって意気消沈していた私に、「そんなときは、そんなルールを変えてしまえ」と冗談っぽく笑っていらっしゃる西谷さん。私は、ルールを変えられるものなら変えたいよぉ、、、と意気消沈しながらもプレイを続け、想定どおりのスコアでラウンド終了。

 帰宅後、頂いた本を取り出してなにげなく本題のサブタイトルを見ると、「ルールを制する者が市場を制す」と書いてある。・・・ん?急に気になって、その本のページを開いてみました。

 日本はルールづくりの先頭に立つべき時代が到来している。「パブリック・アフェアーズ」とは、広義には企業・団体ステークホルダー、国会議員、地域関係者、経済・産業団体、組合・消費者団体、NGOなどが主な対象であり、こうした公立的な立場の関係者に情報やデータを提供することで、企業活動の影響の大きい問題を解決することをいう。しかし、本書では、「自社に好都合なルールを獲得すべく、公正、透明な方法で交渉し、合意を形成すること」と狭義に定義するとある。(抜粋引用)

 新しい事業戦略を打ち出した時、その実現過程で登場する関係者の納得と理解を求め、時には円滑に進むようなネゴを行い、公正なコミュニケーション戦略で狙いどおりの結果に導くこと。規制やルール、強力な組織・人からの一方的な発信に従ずるだけでなく、自らにプラスハンデを取り付けるべく貪欲な交渉の場を作り上げること。この書の中で事例として書かれていたNTTの機器国際調達交渉や、外資系保険会社が新たな保険の仕組みを日本に持ち込むときの担当省庁への交渉。詳細なところはわかりませんが、少なくとも、文化や考え方が根本的に違う利害関係者に、新たな概念を理解させ認識を変える(気づかせる)ことは、想像以上の難関であるとともに成功の最大の鍵なのでしょう。

 狭義のパブリックアフェアーズ戦略の考え方は、私が普段活動している企業コンサルティングでもまちがいなく展開できる大切な考え方だと思いました。会社の方針、上司の考え方、これはもうどうにもならない、それがうちの会社のルールだから。限られた枠の中で生き残る策を必死に考えるのではなく、もっと源流にさかのぼって、実現すべきもののためにハンデとなっている根本を見つめなおすのも時には必要なのかもしれません。今の時代、企業の新たな一歩となる大きな可能性を潰すような「あたりまえ」にとらわれていないか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

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