2015/12/01 第32回「商品企画シリーズ⑪(石黒啓司) ■商品のライフサイクル理論(その2) 成長期」
今回は、商品のライフサイクル理論(その2)として成長期に焦点を合わせてお話します。 皆さんの中には業界の違いがあると感じている方もおられると思いますが、どの業界でも役立つ共通点が必ずあるので広い視野でご覧下さい。
先ず、次のチャートで『成長期の位置付け』を改めてイメージしてみて下さい。
導入期では様々なトライで市場を創造するのが肝でした。成長期で重要なことは、成長の現実を冷静に分析・判断するのが一番重要です。果たして本当に成長するカテゴリーなのか、顧客反応だけでなく業界全体が成長を実感して投資を続ける価値を見出しているのか…を含めた判断が必要です。
この判断がこれから先の市場成長、投資の必要性、などに大きく影響するからです。
ここで、成長期を中心に据え置いて、商品のライフサイクルとは一体どんな流れなのかイメージと位置付けを考えて見ましょう。
次のチャートをご覧ください。
成長期で興味ある現象は、利益率が急激に改善されてくると言う点です。導入期は数も少ないし、初期投資の回収が出来ない…それがやっと成長期で改善されてくるのは当然です。
しかしここで重要なのは安易に値下げをしないことです。
これはトップメーカーも二番手も同じです。ぐっと堪えて、普及価格モデルを安易に発売したり、悪戯に価格競争に走ってはいけません。
例えば Apple が安易に価格競争を仕掛けていますか? 否です。
もうひとつ重要なこと、それは『そろそろ本当にそのカテゴリーが市場としてまた事業として安定して定着するのか』…の判断を沈着冷静に行うことです。
上記資料の下段で『CD、MD、DVDなどフォーマットの動向』で説明したように、オーディオやビデオ商品のフォーマットサイクルは『劇的に短期間で』変化をしているのは明らかです。
これを如何に冷静に読むか…これが商品のライフサイクル理論で最も重要な点と私は考えます。
デジタル家電が象徴するように、キーデバイス(基幹部品)さえ入手出来れば中国・台湾メーカーでも、韓国・ベトナムでも商品は何時でも出来てしまう世の中なのです。 価格を含めた商品展開ではアッと言う間に追い越されます。
さて、もう少し具体例として、下記に成長期の特質と対応を整理してみました。
皆さんの業種と比べて如何ですか? 多少でもご参考になれば幸いです。
次回は最も面白い『競争期』です。新年早々になると思いますがお楽しみに。
ちょっと早いですが良い Xmas と お正月をお迎えください。
石黒 啓司(いしぐろ けいじ)
コンサルタント(商品企画、マーケティング、仕事力改革)
今の日本、政治・経済の停滞の中、特に企業の元気がありません。構造変化への対応、新しい挑戦の欠如が原因と痛感しています。 これらの打開には先ず、戦略力、創造力・統率力などの仕事力が必須。至近な実例を元に仕事力&元気玉の復活を目指して発信します。
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