佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2009/04/06 日経BP社40周年記念特集「ベスト30社に学ぶ危機脱出の処方箋―今こそイノベーション」に学ぶ

 定期愛読誌であり、ビジネスリーダー必携の週刊経営情報誌である「日経ビジネス」等を発行する日本経済新聞社グループの日経BP社は、2009年4月に創立40周年を迎え、「日経ビジネス」は、10月に創刊40周年を迎えるそうです。日経BP社は、経営情報・技術情報・生活情報の一大コンテンツプロバイダーに発展しています。年間直販雑誌3,400万冊、市販雑誌1,440万冊を販売・提供しています。

心よりお祝い申し上げると共に深く感謝の思いで一杯です。インターネットやネットワーク業界の揺籃期であった約20年前頃より、報道・広告・イベント・業界発展に関して大変ご支援頂いた記憶が湧いてきます。現在も、雑誌・WEB等定期的情報提供でお世話になっています。

 「日経ビジネス」2009年3月30日号は、同じ日経BIP社「日経コンピュータ」「日経エレクトロニクス」と共同で、日本経済の未曾有の危機から脱出するための処方箋の提案企画を特集しています。「ベスト30社に学ぶ危機脱出の処方箋―今こそイノベーション」は、経営と技術の2軸から情報を提供しています。長期データの裏打ちと取材力を駆使して時期に適ったうれしい企画です。4月6日号の特集は、『トヨタの自戒』です。 皆様にも大変参考になると思い、BIエッセイで一部を紹介させて頂きます。
日経ビジネス

(1)「イノベーション力」の算出・評価方式吟味の意義

『世界に通じる革新性を持った日本企業はどこか?日経BP社の主要3誌は、全上場企業を対象に独自の「イノベーション力」調査を行った。過去8期業績から成長性や収益性など5項目で1次選抜を行い、次に経済学者のシュンペーターがイノベーションを定めた「財貨の生産」や「販売先の開拓」など5つの取り組みについて各社にアンケートで聞いた。』(参考文献1:81ページ)

約160社のアンケート回答企業名も公表している。実績の数値評価と定性的主観評価を組み合わせて、イノベーション力創出企業の見える化を試みている。実践的にも、学問的な研究にも役立つ貴重な情報です。

 「イノベーション力」について、過去8期(2000年4月~2008年3月期)業績結果の計数評価を試みている。第1次選抜の指標(「結果」指標)は、次の5項目である。
1. 収益性 :売上高営業利益率など 20点満点)
2. 効率性 :従業員一人当たり営業利益など 20点満点)
3. 成長性 :売上高伸び率など 20点満点)
4. 積極性 :投資CF÷営業CF比率など 20点満点)
5. 柔軟性 :浮動株比率など 20点満点)

 2次調査の指標(「プロセス」指標)は、次の5項目のアンケートを送付し、設問あるいは自由記入形式で回答を得たものです。
1. 新製品・サービスの投入
  :新製品・サービスが売上高に占める比率、研究開発投資の増減、研究者確保の取り組み、特許件数など
2. 業務効率や品質の向上
  :効率化・合理化を目的とした設備投資の動向、品質管理体制、投資案件の承認ルール有無、
   プロジェクト・マネジメントルールの有無など
3. 新しい顧客の開拓
  :CS(顧客満足度)向上推進組織の有無、新規顧客を把握するための仕組み、
   CRM(顧客情報管理)システムの導入状況、海外特許など
4. 取引先との関係強化
  :取引先との情報共有の仕組み、生産・仕入れ業務の改善状況、SCM(サプライチェーン・マネジメント)システムの
   導入状況、調達先の評価制度など
5. 組織運営と多様な人材の活用
  :経営管理システムの導入状況、予算実績管理の精度、従業員のナレッジ活用の状況、教育投資の動向、
   ダイバーシティー(多様性)の推進体制など
 

(2)「イノベーション力」総合ランキング力ベスト30企業

 ベスト30企業は、合計ポイント順で以下の通りです。細かな順位の差異は別にして、最近8年間の時間軸で見えてきた特徴を学べる役立つ情報を提供していると思いました。同誌は、上位企業の特徴を「組織を強くするイノベーション風土作り」に優れた企業と「不況を越える実直派」と分類して取材、紹介しています。

「組織を強くするイノベーション風土作り」の事例の中で、取引先とのパートナシップに優れた企業として6位にNTTデータ、21位に豊田自動織機、25位に資生堂を取り上げています。

 NTTデータ山下徹社長は、変革のタネは現場にあるとしてこう述べている。
『実は改革の一環で、新たな事業を考案する「ビジネス企画開発本部」を2000年に立ち上げたが失敗。2002年に本部を解散させた。ここで出てくる企画は机上の空論ばかり。相当な資金を使ったが、成果はゼロに近かった。変革のアイデアは現場にある。こう考え、現場主義でシステムの開発生産性向上や方法論の整備などのプロジェクトを進めてもたった。このために2004年4月からこれまでの5年間で約400億円を投じた。・・(略)・・こうしたことが実を結び、売上高で公共対法人の比率が2対1だったものを、今では逆転させた。これこそ当社のイノベーションだろう。』(参考文献1:96ページ)

 「不況を越える実直派」の事例として、1位に森精機製作所(名古屋市)、7位にダイセキ(名古屋市)、7位にアルバック(茅ヶ崎市)、13位に東祥(安城市)、21位に日東電工(大阪市)を紹介しています。地方の中堅企業が目につく。

 森精機製作所は、過去10年で売上高2倍と成長性高く、売上高営業利益率15%と収益性も高い。取引先の「生産性」向上に貢献するという経営理念で業界に先駆けて革新的製品やサービスを生み出してきた。
『製品群を増やすため海外でのM&A(合併・買収)にも積極的に動く。2006年に、スイスの工作機メーカーであるディキシー・マシーンズを買収して、超高精度なハイエンド機を出荷できる体制を整えた。2008年には工作機械用部品の仏サンドビック・トブラーを買収した。』(参考文献1:82ページ)
1990年代から海外に進出して、GEやボーイングと取引し、トヨタ・ホンダ等の米国工場の運営も支えているという。

<ベスト30企業>

1.森精機製作所 
2.日本たばこ産業 
3.コマツ 
4.アステラス製薬、エーザイ 
6.NTTデータ 
7.キャノン、エクセディ、ダイセキ、アルバック 
11.ローソン 
12.堀場製作所 
13.東祥、eBASE 
15.住友化学、HIOKI、富士フィルムホールディングス 
18.ダイキン工業 
19.東芝 
20.GMOホスティング&セキュリティ 
21.長谷工コーポレーション、豊田自動織機、ディスコ、日東電工 
25.資生堂、トヨタ紡織 
27.帝人、東日本旅客鉄道 
29.パーク24 
30.サークルKサンクス

以上

(参考文献)
1.『日経ビジネス』(日経BP社 2009年3月30日号)
2.『日経ビジネス』(日経BP社 2009年4月6日号)

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