佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2011/10/11 歌舞伎ファン・絵画ファン必見!山種美術館「【歌舞伎座建替記念特別展】知られざる歌舞伎座の名画」

連休に、恵比寿駅最寄りの山種美術館を訪ねました。歌舞伎座建て替えのこの時期だからこそ実現した特別展「知られざる歌舞伎座の名画展」(9/17~11/6)。絵画ファンと、更に歌舞伎ファンも加わって大人気でした。

皆様、歌舞伎座で歌舞伎を鑑賞したことはありますか? 歌舞伎座の名画はどうでしょうか?

今年は、舞台芸術の殿堂といわれる歌舞伎座が第二次世界大戦後の昭和26年再建されてから60年目にあたります。ご存知の通り歌舞伎座は、昨年平成22年4月より休業し、現在建て替え工事が行われており、平成25年の新劇場完成に向けて大きな節目の時期を迎えています。

これまで貴賓室や応接室などに飾られ長らく劇場内で一般公開される事のなかった貴重な絵画作品や、歌舞伎の歴史を語るに欠かせない資料、歌舞伎役者の書画等、まさに私たちがこれまで「知らなかった!」歌舞伎座ゆかりの名品が一挙公開されています。今しか見ることのできない大変貴重な機会となっています。

BIPでは内覧会へ参加し、今回も美術展より公式画像をお借りしました。展示品と共にご紹介したいと思います。是非皆さまも秋美遊の一つとして、山種美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。 

参考資料 参考資料

(1)歌舞伎座内に展示されていた日本画、洋画の名品紹介

歌舞伎座は、明治22年創設以来120年を超え、日本の伝統芸能である歌舞伎と共に歴史を重ねてきました。昭和22年戦後の再建時には「日本で最高の美と情緒との象徴的場所」、「最高気品と品質を暗示すべき雛形の場所」として、企業などから提供された沢山の近代日本美術の作品が飾られたそうです。これまで、ロビー等に飾られた絵画は何気なく見ていましたが、これほど沢山の名画が飾られていたとは驚きでした。

【洋画 岡田三郎助、高橋由一、浅井忠、亀井至一、山下新太郎、和田英作、橋本邦助、足立源一郎、佐伯米子】
<歌舞伎を演出する歌舞伎を題材とした洋画と明治・大正・昭和期の近代洋画>

◆岡田三郎助「道成寺」 「モデルは5代目中村芝翫(のちの五代目中村歌右衛門)。『京鹿子娘道明寺』の白拍子花子が恨みの一瞥を投げかけた場面を描く。本図に描かれた着物と同じ衣裳を身につけた舞台写真が残るため、これが明治39年9月に東京座公演の際に描かれたものであることがわかる。」
参考資料
※岡田三郎助 ≪道成寺≫ 1908(明治41)年 カンヴァス・油彩 株式会社歌舞伎座蔵

◆高橋由一「墨堤櫻女」 フォンタネージに学んだとされる近代洋画の名品に出会えます。
参考資料
※髙橋由一 ≪墨堤櫻女≫ 1876-77(明治9-10)年 カンヴァス・油彩 株式会社歌舞伎座蔵

◆浅井忠「牛追い」  「歌舞伎座」では長年<<大原女>>と題され、京都大原の牛追いとされる。フランス留学で学んだ光線表現を採り入れた作品。
参考資料
※浅井忠 ≪牛追い≫ 1904(明治37)年 カンヴァス・油彩 株式会社歌舞伎座蔵

【日本画 竹内栖鳳、横山大観、川合玉堂、東山魁夷、上村松園、鏑木清方、小林古径、奥村土牛、速水御舟、伊東深水、川端龍子、片岡球子など】
竹内栖鳳、横山大観はじめ、日本画の名品が勢揃いです。

<川合玉堂「早春漁村」、東山魁夷「秋映」>
今年7月には同山種美術館で「美しき日本の風景-川合玉堂・奥田元宋・東山魁夷」が開催されエッセイでもご紹介していましたね。(詳細はこちら>>)歌舞伎座にも川合玉堂と東山魁夷の作品が展示されていました。

◆川合玉堂「早春漁村」 「青く澄んだ海、なびく緑竹、花をつけた木々からは爽やかな春の風が伝わってくる。・・・(略)・・・雨、滝、海-。季節や時間によって様々な表情を見せる水に魅了され「水の美」を追求した玉堂が描く、波の動きにも注目したい。」(参考文献1)
参考資料
※川合玉堂 ≪早春漁村≫ 1951(昭和26)年 紙本・彩色 株式会社歌舞伎座蔵

◆東山魁夷「秋映」 「魁夷の描く風景は、徹底した自然観察を基に描かれ、抒情性に富み、深い精神性を湛えている。「青の画家」として有名な魁夷だが、昭和30年代前後は赤、黄土色、黄色などの様々な色を使い、樹木の枝葉を塊としてとらえる描き方をしている。またこの時期、富士を頻繁に描いたといい、本作もそのうちの一つ。」(参考文献1)
今の季節にピッタリの紅葉の風景が画面一杯に広がっていました。
参考資料
※東山魁夷 ≪秋映≫ 1959(昭和34)年 紙本・彩色 株式会社歌舞伎座蔵

<上村松園「円窓美人」・鏑木清方「さじき」速水御舟・「花ノ傍」~粋なセンスが見て取れる女性画3作品>
歌舞伎座にふさわしく、こだわりのある装飾や独特な構図など、美しく特徴のある作品が目を引きます。山種美術館は、速水御舟の代表作とされる≪炎舞≫≪名樹散椿≫の2点の重要文化財を含む120点を所蔵し、「御舟美術館」と称されているそうです。人物画を描くことは少ない画家でしたが、歌舞伎座コレクションの「花ノ傍」は重要な作品。

◆上村松園「円窓美人」 「江戸初期から中期にかけて流行した兵庫髷を結い、鼈甲の簪をつけた美人がぼんやりと空を見つめている。・・・(略)・・・髪が後ろに伸びていることから、この女性は元禄時代の遊女であると推測される円窓の障子ごしに梅の枝のシルエットを映す演出も粋で、春の香しさが漂ってくる。」(参考文献1)
参考資料
※上村松園 ≪円窓美人≫ 1943(昭和18)年 絹本・彩色 株式会社歌舞伎座蔵

◆鏑木清方「さじき」「オペラグラスを持参し、熱心に舞台を見つめる晴れ着姿の母娘。周囲には枇杷とさくらんぼを盛った鉢や団扇が配され、娘の胸元の杜若文様の筥迫、母の紫陽花模様の帯とともに夏らしさが演出される。一方、娘の着物には青楓に混じって赤く色づく楓、母の着物には撫子や桔梗が表され、季節を先取りする粋なセンスもみてとれる」(参考文献1)
参考資料
※鏑木清方 ≪さじき≫ 1945(昭和20)年頃 絹本・彩色 株式会社歌舞伎座蔵

◆速水御舟「花ノ傍」 「御舟の感心は女性を美しく描くことではなく、人体表現や画面構図という点に置かれていた。着物やテーブル・椅子の縞模様、幾何学的な床と横たわる犬の奇異なポーズ、頭上から突き出たダリアの花。最初に構図と色を想定して取り掛かったがうまくいかず、二度のやり直しを経てたどり着いた作品だという。」(参考文献1)
参考資料
※速水御舟 ≪花ノ傍≫ 1932(昭和7)年 紙本・彩色 株式会社歌舞伎座蔵

(2)歌舞伎関連の作品と資料と共に、歌舞伎の歴史を垣間見る

本展では、歌舞伎の歴史に深く関係する貴重な資料も展示されています。
歌舞伎の始まりは、慶長8年(1603)年に出雲阿国による北野天満宮での興行と言われています。それから約400年以上歴史を重ね、その時々の時代背景や事情と共に文化発展してきました。

◆重要美術品 『かふきのさうし』
「歌舞伎の創始者、出雲阿国を題材とした草子で、かつて三代目中村梅玉が所蔵していたことから通称「梅玉本」と呼ばれ、《国女歌舞伎絵詞》(京都大学付属図書館蔵)などとともに歌舞伎成立の研究には欠かせない作例。」(参考文献1)

◆歌川国貞(二代目)「歌舞伎絵衝立」
「幕末から明治期に活躍した五名の役者を取り揃え大首絵風に描いた衝立。右下の姫がもつ巻物には、変体仮名を織り交ぜて表記された役者名と、元治2年4月と考えられる年記が記される。」(参考文献1)

◆GHQ検閲印入り台本と連合国最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥からの手紙初公開
歌舞伎台本は、戦前は警察当局、戦後占領期はGHQの検閲を受けていたことが台本実物ではっきりと知ることができます。

「大正14年に治安維持法および普通選挙法が施行されると、社会主義運動の機運が高まっていく。これにより警察当局の思想や娯楽の検閲・統制はより厳しくなり、歌舞伎もその影響を受けている。・・・(略)・・・終戦後は連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の民間情報局教育局(CIE)と民間検閲支隊(CCD)に検閲業務が引き継がれ、台本はすべて日英文両方で提出し、検閲されることとなる。」(参考文献1)

参考資料
※連合国最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥の手紙 1951(昭和26)年 株式会社歌舞伎座蔵

「日本の民主化と非軍事化を念頭に占領政策を推し進めていたGHQは、封建的道徳を主題とした歌舞伎の演目を廃止しようとした。しかしフォービアン・バワーズ秘書官(1917-1999)らは、初代最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥(1880-1964)に日本の伝統芸能、特に歌舞伎の素晴らしさと継続の重要性を説き、除々にその規制を解いていった。こうして昭和26年、歌舞伎座は再建され、再開する。このたび初公開となるこの手紙は、昭和26年の再開に際し、歌舞伎座に送られた祝辞である。」(参考文献1)

(3)芝居意外にも優れた教養を持ち、文化全般で才能を発揮した歌舞伎役者達

◆『余沫集』より 歌舞伎座でかつらを手掛けてきた老舗「野田福」の書画帖
◆『俳優書画帖』より 呉日本大学第4代総長が楽屋を訪ね、揮毫してもらった書画

「「一声、二顔、三姿」と役者の魅力は表現される。当然ながら芝居が本業だが、文化全般に造詣が深く、絵や俳句など趣味の世界でも才能を発揮した往年の役者は多い。」(参考文献1)

表現力が試される役者という厳しい職業と共に、別の面でも能力を発揮していた役者が多かったそうです。仕事もそうですが、芸の面でも1流の2面性を持つという事は素晴らしい事です。


歌舞伎は、私もこれまでに数回鑑賞した事があります。単純に歌舞伎本編で毎回とても楽しませて頂いてきました。しかし今回特別展を鑑賞し、来客への名画鑑賞という心遣いがされていたこと、時代の流れに翻弄された背景、歌舞伎役者の意外な一面を知り、また別の観点からも歌舞伎への興味が広がりました。

日本独自の伝統芸能をこれからも大切にしていきたいですね。平成25年の歌舞伎座完成もとても楽しみです。

『歌舞伎座建替記念特別展 知られざる歌舞伎座の名画』
会 期 :2011年9月17日(土)~11月6日(日)
会場:山種美術館
主催:山種美術館、日本経済新聞社
協力:株式会社歌舞伎座、松竹株式会社、公益財団法人松竹大谷図書館
開館時間:午前10時から午後5時(入館は4時30分まで)
休館日:月曜日
入館料:一般1200円(1000円)・大高生900円(800)円・中学生以下無料(但し、保護者の同伴が必要です)
※( )内は20名以上の団体料金、および前売料金
※障害者手帳、被爆者手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料
山種美術館WEBサイト:http://www.yamatane-museum.jp/

(参考文献)
1.山種美術館図録 監修 山下裕二(山種美術館顧問、明治学院大学教授)「歌舞伎座建替記念特別展 知られざる歌舞伎座の名画」

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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