佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2014/09/02 東アジアでの「冷戦」崩壊が始まった?!

 今、日本を含めた世界経済のリスクは国際政治の動向にあると多くの方が感じていると思います。様々な論評や報道の中で、日本に激震をもたらす注目すべき論説があったのでご紹介します。

「いま日本が直面しているのは、東アジアでの「冷戦」が終結するプロセスにある流れが生んだ状況なのである。
具体的にいうなら、この地域で最強の発言力を行使してきた中国が、いよいよ崩壊寸前の危機に直面し、その対策の一環として、ここ六十年にわたり事実上の“植民地”としてきた「北朝鮮」を放棄した。」(参考文献1)

 essay20140902

(1)「ソ連崩壊」を予見した長谷川慶太郎氏が、東アジアの「冷戦」崩壊を語る
今年7月31日、長谷川慶太郎『2015年~世界の真実』が出版されました。その内容は、「ソ連崩壊」後も東アジアで継続している「冷戦」は崩壊するプロセスに入ったという日本に激震をもたらす情勢分析を語っています。

国際エコノミスト長谷川慶太郎氏は、日本人として「ソビエト崩壊」を予見した専門家としてよく知られています。

社会主義や共産党独裁国家の調査研究と同時に日本・米国・EU等資本主義国の政治経済の両方を一体で分析している日本に数少ない国際エコノミストです。

 特に民間経営者やビジネスパーソンにとっては、信じるとか、信じないとかという自主性のない態度ではなく、一つの予見として、また考えるべき視点の一つとして、読む価値があると思われます。

 

(2)長谷川慶太郎『2015年~世界の真実』の概要

 目次の紹介で全体構成をお知らせします。

 第1章     日本経済は着実に成長する
 第2章     迷走してもアメリカは強い
 第3章     「中国崩壊」も備えあれば憂いなし
 第4章     朝鮮半島統一と茨の道
 第5章     EU、ロシア、そして中東
 第6章     終章 2015年、日本の課題

 

(3)日本は東アジアの「冷戦」の終結に直面している?!

 長谷川氏の指摘で日本にとって重要なことは、「北朝鮮崩壊」と「中国崩壊」です。
 多くの論評で未だ余り強く指摘されていない視点である。ポイントを要約します。

【1.  中国の崩壊に着々と備えるアメリカ】
 中国経済は着実に悪化している。詳細は略。

 旧来のソ連との関係とは異なり、経済的にアメリカと中国は密接な交流がある。しかし、深入りしてはいけないというスタンスである。ポイントは、アメリカ人を中国に出すなと国務省がアドバイスしているという。既に中国在住のアメリカ人は1万人程度に減った。日本人の14万人前後と比べると驚く程少ない。

 2011年、中国の変調を知ったアメリカは1隻だった原子力空母を、2011年と2013年に増やし、3隻体制にした。世界に6隻の内、半分を東アジアに配置した。

 2013年、オスプレイ沖縄配備を半ば強引に配置した。「オスプレイは脚の長い飛行機で、沖縄から北京まで無着陸で往復できる。内陸部の四川省成都も無着陸で往復できる。つまり、沖縄のオスプレイを使えば、中国が崩壊したとき、中国全土に散らばっているアメリカ人居住者の救出が可能となるのである。」(参考文献1)核兵器対策もあるという。

 安倍首相が集団的自衛権の解釈を変更したのも、何を想定しているかといえば、中国の在留邦人救出であるという。「たとえば、上海には約六万人の邦人がいる。これを救出するためにはアメリカの軍艦が上海に行き、収容するしかない。アメリカの軍艦が上海から日本人の避難民を乗せて帰るとき、海上自衛隊が何もしないで済むか。海上自衛隊の艦船がアメリカの軍艦とともに揚子江の河口まで行き、護衛して佐世保に帰るという行動が必要だ。それをいいたい。しかし、いえない。いまの段階でまだ中国がつぶれていないからだ。」(参考文献1)

 

【2.  中国は、北朝鮮を捨て、韓国による統一を容認か?!】
 北朝鮮NO.2粛清と中国最高幹部の失脚が相次いで発生した。中国は60年間支えてきた北朝鮮を支援する余裕がない状況と筆者は言う。既に中国から北朝鮮への支援が減り始めている。

 中国は、韓国主導での統一を認めた可能性があるらしい。朴大統領は、2014年1月の年頭記者会見で「南北統一は大きなチャンスだ」と述べた。

 北朝鮮は必死である。

 北朝鮮は、韓国にアプローチして操業中止していた開城工業団地の2013年11月操業開始に加えて、2014年2月には第2号をつくりたいと提案した。外貨獲得のためである。

 北朝鮮は、日本にもアプローチして、拉致問題の最調査を約束して、外交交渉を再開した。

 大事なことは、北朝鮮が崩壊した時、韓国に北朝鮮難民が押し寄せる。韓国単独で支えられるのか? 隣国で韓国を支援できる国は日本しかない。

「北朝鮮崩壊」「中国崩壊」が万一起きた時、最も影響があるのは日本である。あり得ないと思考停止するのではなく、カントリーリスクに備える準備は必要ではないでしょうか。

以上

 

参考文献
1.長谷川慶太郎『2015年~世界の真実』(ワック(株) 2014年7月初版  本体900円+消費税)

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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