佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2012/06/18 大人はもとより、中学生・高校生・大学生必見!国立西洋美術館「ベルリン国立美術館展~学べるヨーロッパ美術の400年~」

今年の夏は上野公園に集う!先週末、国立西洋美術館「ベルリン国立美術館展~学べるヨーロッパ美術の400年~」(6/13~9/17)を鑑賞しました。

私にとっては、6年前の夏に古代遺跡中心のペルガモン博物館訪問以来のベルリン国立美術館群との出会いです。今回は、絵画・彫刻・素描の3つの美術館の重要な作品を統合して西洋美術の歴史を概観できます。

初公開で大人気のフェルメール作品《真珠の首飾りの少女》、巨匠レンブラント《ミネルヴァ》はもとより、リーメンシュナイダーの木彫、ボッティチェッリとミケランジェロの素描、デューラーの肖像画等、合計107点の作品が来日。15世紀イタリア・ルネサンスから18世紀ロココ時代まで、約400年に渡るヨーロッパの美術を展望する貴重な特別展となっています。公式画像15点と共に紹介致します。

JR上野駅公園口出てすぐの国立西洋美術館で9/17(月・祝)まで開催しています。大人はもとより、夏休みを利用して中学生・高校生・大学生の皆さんにも、友人・学校仲間・家族と是非鑑賞してほしいと思いました。
参考資料 参考資料

(1)壮大なベルリン国立美術館群について~6年前にペルガモン博物館訪問以来の出会い

ベルリン国立美術館群は、ドイツの首都ベルリンの中心部に集まる15の美術館・博物館群の総称。

私は、6年前の夏にベルリン国立美術館群の一つであるペルガモン博物館を訪ねました。「ゼウスの大祭壇」、青いレンガのバビロニアの「イシュタール門」はじめ、発掘された古代の建造物がそのまま館内に展示されている壮大さに圧倒された記憶が残っています。

1830年完成の旧博物館に、時のプロイセン君主の膨大な絵画コレクション展示が始まりました。ベルリン国立美術館群は、70万年前から現代に至る人類の文化遺産を所蔵しています。今回は絵画館、ボーデ美術館、素描版画館の3館から合計107点の作品が来日。3つの美術館の重要な作品を統合して西洋美術の歴史を概観できます。

「本展覧会は、日本の観客にヨーロッパ文化とその発展を紹介し、それを通じて、イタリア・ルネサンス期の邸宅の様式の確立、17世紀ヨーロッパの戦争、オランダの黄金時代とアメリカ大陸の発見、そして啓蒙時代へと続くヨーロッパ初期近世の複雑な歴史が辿れるように構成しました。」(ミヒャエル・アイセンハウアー ベルリン美術館群総長など 参考文献1)

(2)日本初来日! ヨハネス・フェルメール「真珠の首飾りの少女」は大人気

参考資料
ヨハネス・フェルメール《真珠の首飾りの少女》1662-1665年頃 ベルリン国立絵画館

3月のエッセイでもご紹介しましたが、今年私が注目している企画展の一つが、3つの「フェルメール展」です。今年は、フェルメールの作品を扱った企画展が東京で3つ予定されている。その中の1つが「ベルリン国立美術館展~学べるヨーロッパ美術の400年~」です。(詳細は・・・BIエッセイ2012/03/05 今年必見のフェルメール展鑑賞。5つのフェルメール名画と東京で会える贅沢!

フェルメールの作品は現在世界中に約36点しか現存していないといわれています。そんな貴重なフェルメールの名画が生で見られるとあって、会場には多くの方が訪れていました。今回の特別展で日本初来日となったフェルメールの作品「真珠の首飾りの少女」は展示会場の中ほどに展示されており、多くの人達が足を止めて鑑賞していました。

「女が真珠のネックレスに付いたリボンをつまみ上げ、壁に掛かった小さな鏡の前でポーズをとっている。若く美しい女と鏡とくれば、伝統的には「虚栄」を暗示している。しかし、フェルメールにあってこうした教訓的な意味が主旋律をなしているわけではない。この絵をもっと魅力的なものにしているのは、鏡の下のテーブルにひっそりと置かれた大きな中国磁器だ。・・(略)・・フェルメールの作品には、17世紀オランダと東洋の密接な関係が反映されているものが少なくない。その中にあって本作品は、最高級に魅力的な傑作である。」(参考文献1)

当時のオランダの日常の室内画を中心に描いてきたフェルメール。この作品でも巧みな光の効果を用いながら、穏やかなオランダの日常を垣間見る事が出来ます。鏡を見つめる少女の姿、そして光の射す明るい室内の空間に思わず引き込まれてしまった。

(3)ルネサンスからロココまで~ヨーロッパ美術黄金の400年を総覧

参考資料 参考資料
今回の特別展では、6章構成で作品を展示しています。公式画像を交えながら一部作品をご紹介します。

<第1章 15世紀:宗教と日常生活~イタリアで生まれた聖母子の図像、ルネサンスの彫刻>
15世紀イタリアで聖母子の図像が生まれ、後年まで影響を与え続けた。同時に、理想の女性の美しさが追求されるようになったそうです。ドナテッロは、15世紀初期イタリア・ルネサンスを代表するフィレンツェの大彫刻家。大理石だけでなく木やブロンズなどにも傑作を残した。複数の素材を柔軟に扱ったそうです。

参考資料
ドナテッロの工房《聖母子とふたりのケルビム》1460年頃 ベルリン国立美術館彫刻コレクション

参考資料
ベルナルディーノ・ピントゥリッキオ《聖母子と聖ヒエロニムス》1490年頃 ベルリン国立絵画館

参考資料
ティルマン・リーメンシュナイダー《龍を退治する馬上の聖ゲオルギウス》1490年頃
ベルリン国立美術館彫刻コレクション

<第2章 15-16世紀:魅惑の肖像画~ドイツ・フランドルで商人が台頭>
アルブレヒト・デユーラーは、ドイツ・ルネサンス最大の巨匠と言われます。その生涯を刻明に辿ることのできる美術史上最初の芸術家だそうです。ネーデルランド美術だけでなく、イタリア・ルネサンスやマニエリスム美術も吸収して多彩な作品を残しました。

ルーカス・クラーナハ(父)はルターと親しかったという。宮廷画家として、宗教改革を支持したザクセン選帝侯にさまざまな宗教改革者の肖像画をもたらした。

参考資料
アルブレヒト・デューラー《ヤーコプ・ムッフェルの肖像》1526年 ベルリン国立絵画館

参考資料
ルーカス・クラーナハ(父)の工房《マルティン・ルターの肖像》1533年頃 ベルリン国立絵画館

<第3章 16世紀:マニエリスムの身体~ルネサンスからバロックへの移行期に誇張的表現>
「16世紀後半から末にかけての、ルネサンスからバロックへ移行する時期に、誇張の多い技巧的な様式の作品が多く生まれた。一般にマニエリスムという言葉と呼ばれる様式と時代である。ある既成の規範に則った形を踏襲してゆく芸術的志向である。その特徴は、長く延びた人体と、手足の長いプロポーション、そしてさまざまな方向へのねじれや回転を含んだ動きやポーズなどである。」(参考文献1)

イタリアに始まったマニエリスムはドイツ美術にも影響を与え、官能的で異彩な絵画や版画を制作した。

参考資料
ルーカス・クラーナハ(父)《ルクレティア》1533年 ベルリン国立絵画館

<第4章 17世紀:絵画の黄金時代~オランダ絵画のレンブラントとフェルメール>
レンブラントは、17世紀オランダを代表する画家で、後世の画家に強い霊感を与えたと言われます。注文をこなすために、レンブラントは大きな工房を組織し、多くの助手・弟子と共に制作を行った。

参考資料
レンブラント派《黄金の兜の男》1650-1655年頃 ベルリン国立絵画館
この他レンブラントの作品《ミネルヴァ》も展示されている。

参考資料
ヤーコプ・ファン・ロイスダール《滝》1670-1680年頃 ベルリン国立絵画館

<第5章 18世紀:啓蒙の近代へ~ロココ風から人間への洞察へ>
ジャン=バティスト=シメオン・シャルダンは、18世紀フランスのロココ時代を代表する画家ですが、華麗で官能的なロココ絵画とは一線を画して、日常生活の身近な情景や事物を飾り気のない簡潔な構図で描いた画家とされます。

ウードンは、ロココ美術から新古典主義美術へと移行する18世紀後半に名声を博した彫刻家。「対象の観察に基づく写実的表現とモデルの内面の心理表現によって、肖像彫刻で優れた技量を発揮した。」(参考文献3)

参考資料
ジャン=バティスト=シメオン・シャルダン《死んだ雉と獲物袋》1760年 ベルリン国立絵画館

参考資料
ジャン=アントワーヌ・ウードン《エビと魚のある静物》1777年頃 ベルリン国立美術館彫刻コレクション

<第6章 ベルリン国立素描版画館~ボッティチェッリやミケランジェロなど魅惑のイタリア・ルネサンス素描コレクション>
そもそも、素描とはイタリア語で「ディセーニョ disegno」と呼ばれ、芸術的発想力そのものを指す重要な意味を表す言葉だと知りました。

ベルリン国立素描版画館は、1652年にブランデンブルグ選帝侯フリードリッヒ・ヴィルヘルムの購入から始まり、55万点の版画、11万点の素描、水彩画、パステル画、油絵スケッチを所蔵し、幅広い百科辞書的なコレクションを形成。ウィーン、ロンドン、パリと並んで質量ともに世界で最も重要な素描版画コレクションです。

参考資料
サンドロ・ボッティチェッリ《ダンテ『神曲』「煉獄篇」挿絵素描より:愛の原理を説くウェルギリウス(第17歌)》1480-1495年頃 ベルリン国立素描版画館

参考資料
ミケランジェロ・ブオナローティ《聖家族のための習作》 1503-1504年頃 ベルリン国立素描版画館
All Images©Staatliche Museen zu Berlin

上野公園では間もなく6月30日に東京都美術館も全館グランドオープンとなる。リニューアルオープン記念に「マウリッツハイス美術館展」が企画されており、ここでも有名なフェルメール作品「真珠の耳飾りの少女」が公開予定です。今年の夏は上野公園で多くの西洋名画に出会えますね。

「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」
会期:2012年6月13日(水)~9月17日(月・祝)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金曜日は午後8時)
※入館は閉館の30分前まで
※開催日時が変更となる場合があります
休館日:月曜日(ただし、7月16日、8月13日、9月17日は開館、7月17日は休館)
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
*巡回先:九州国立博物館(福岡・太宰府)2012年10月9日(火)~12月2日(日)予定
WEBサイト:http://www.berlin2012.jp/

以上

(参考資料)
1.ベルリン国立美術館・国立西洋美術館・TBSテレビ編集「ベルリン国立美術館展」図録
2.読売新聞(2012年6月12日(火)25面)
3.高階秀爾・三浦篤『西洋美術史ハンドブック』(新書館 2011年4月 第9刷)

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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