佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2013/06/03 佐々木流 BI経営進化論 第20回 コメディアン萩本欽一さんと事業に不可欠な「人間力」を考える

BI経営進化論

最近会う後輩達、友人達に「人間力」「人間力」「人間力」を連発しています。今回は、コメディアンとして有名な萩本欽一さんの著書『ダメなときほど運はたまる』を参考に事業に不可欠な「人間力」を考えてみたいと思います。

(1)事業は「SA」「SA」「SA」だ!「人間力」が大切な理由。

図1:学びのフレームワーク 「学ぶ3つのリテラシー」
学びのフレームワーク  「学ぶ3つのリテラシー」

私は事業リーダーにとって学ぶべき分野を「人間力」「専門力」「経営力」と思っています。後輩達、友人達は当然の如く「専門力」と「経営力」はすぐ首肯するのですが、何故私が「人間力」を掲げるのかをすぐには納得いかないようです。

最近、私は社内で“事業は「SA」「SA」「SA」だ!”を強調しています。「SA」
とは、“ソリューションとアート”の略語です。ソリューションとは言葉の通り問題解決のことです。サイエンス的論理が中心の自然科学世界に近い領域です。アートとは、美というよりはヒューマン的情理を中心した人間科学的世界に近い領域を指しています。事業は両方の混在した世界です。

事業経営に必要なことは、一般的に人間科学と自然科学の両面があります。また、その実践を時間軸で分析すると、過去の知識と経験を研究教育する領域及び現在と将来を創造する思考と実践の領域の2つの領域がありますので、私は以下4つのマトリクスで考えています。

図2:事業経営の知的基盤・経験基盤の統合フレームワーク
参考資料

『人間力』の重要性についてピンと来ない理由の一つが、経営学に関して、学会の研究者が目指すことと、企業現場が求めることとの違いへの誤解が依然として大きいことが原因かもしれません。

世界の経営学の研究者はサイエンンスとしての発明、発見、理論創造をミッションとして競争しています。日本の研究者も同様と考えて良いと思います。図2でいうAとBが中心です。

過去の先行研究と過去の企業行動から普遍的な理論や傾向を発見・創造することに集中しています。その成果は、当然次世代への知識教育として還元されることは言うまでもありません。当然、企業幹部は、AとBの優れた知識を学ばねばなりません。

ところが、企業は現在と未来に生きています。従って、未だ理論として知識になっていない仮説や経験によって計画策定・意思決定・実践活動をし、ユニークな価値や新しい製品・サービスを創造します。しかも、言語・宗教・文化や習慣・制度の違う海外の人たちと一緒に活動する時代です。

これは、各企業が自社で「実践経営学」とでも呼ぶべき分野を担っていることを示しています。CとDの領域です。新たな創造の現場ともいえますね。日本企業の多くは、適正なコストでAとBの領域を手に入れ、C+Dも身につける方法を求めていると思います。

私の言う『人間力』は、Aの領域(知識と経験)とCの領域(思考と実践)です。過去の先賢から学び、そして実践しながら創造し続ける必要があります。『人間力』は家庭教育、義務教育、高等教育を基礎に、事業のためにも、自分の人生のためにも生涯学び続ける必要があることはおわかりのことと存じます。でも、その事を意外にも忘れがちなのも人間です。

(2)コメディアン萩本欽一さんの著書『ダメなときほど運はたまる』で『人間力』を考える

参考資料

コメディアンという職業は、皆さんご存じの通り人気商売ですね。エンターテインメントビジネスは極めて人間科学的世界での事業です。その頂点を極めた萩本欽一さんの著書『ダメなときほど運はたまる』は、この世界での成功の肝について教訓に満ちています。

【1.「運」という偶有性に満ちたキーワードで仕事と人生を語る】
萩本欽一さんは、本書の第6章で“仕事も人生も「運」で生きてきたと語っています。運については、拘れば有ると思う方と無いと思う方も両方いると思います。この際の「運」は、自分一人の力だけでなく、多くの他人に支えられている。或いは、世の中や組織の中でのタイミングもあるというザックリした理解で考えて良いと思います。

運は成り行きとは違い、よく考え掴み取っていくという香りに満ちています。

①石の上にも五年で運が生まれる
「たいていのことは、努力すれば三年で達成できます。・・・でもね、三年間努力したり我慢すればたしかに状況は変わるかもしれないけど、そこに「運」はないの。せっかく三年間踏ん張ったんだから、ついでにあと二年続けていれば、そこに運が生まれます。」(参考文献1)

②番組出演者も運で選ぶ
「番組出演者の選び方にはいろいろな方法を試しましたけど、最終的にはやっぱり運を大事にしています。たとえば『欽ちゃんのどこまでやるの!?』を始まる前、お母さん役を選ぶために、女優さんの顔写真をたくさん見せてもらったんです。そのときふっと眼に止まったのが真屋順子さんの写真だったの。・・・順子さんの柔らかい笑顔が番組の中和剤になったし、あの番組が当たったのは60%ぐらい順子さんの運だと思っています。」(参考文献1)

【2.3つの運がある】
萩本さんは、運には3つの種類があると言っています。内容はよく吟味して考えてみて下さい。

①生まれながらの運
「大金持ちとか立派な仕事をしている家に生まれたから、運がいいわけじゃないんです。むしろ、その逆。・・・世間の人から、「かわいそうな生い立ちね」と言われる人は、僕から言わせればすごくラッキー。こういう人は、自分の境遇を恨まず、ごくふつうに生活を送っているだけで、必ず幸運がやってくるんです。その代わり、今目の前にある現実を嘆いたり、親を罵ったり、不平不満を言うたびに運はだんだんと消えていきます。」(参考文献1)

②だれかが持ってきてくれる運
「たとえば人から好かれている人には、ちゃんとだれかが運を持ってきてくれます。僕の場合、人から好かれていたかどうかはわからないけれど、坂上二郎さんが運を持ってきてくれました。・・・いやなことをじっと我慢している人にも、運は必ずきます。・・・人間関係に悩んでいる人、いじめられている人にも、大きな運がきます。それに、人を見る目が育つというおまけもついてきちゃう。」(参考文献1)

③努力した人の元にやってくる運
「「努力は人を裏切らない」という言葉がありますが、運の神様も努力している人を裏切りません。」(参考文献1)

【3.運をつかむための50のヒント】
それでは、運をつかむにはどうすればよいのでしょうか。萩本さんは50のヒントをわかりやすく述べています。このエッセイでは15項目紹介します。わかりやすい言葉ですが、含蓄がありますね。是非本書で50のヒント全て読んで、その内容を考えてみて下さい。

①失敗は運の定期預金
②怖い人には近寄っていけ
③運命の神様はすぐ近くにいる
④欠点から運が生まれる
⑤神様は性格がいい人に味方する
⑥貧しさの中に夢と運がある
⑦人に気をまわすと運が巡ってくる
⑧仕返しすると運は消えてゆく
⑨がっつくと運が逃げていく
⑩お金は汗水たらして稼ぐもの
⑪過分なご褒美をもらわない
⑫引いてゆく潮には逆らわない
⑬人とのつき合いは損から入る
⑭成功する人は素敵な言葉を持っている
⑮運をまわし合うのがチームプレイ

本書も運があり、啓文堂書店「2012年新書大賞」第1位のヒット作品となり重版を続けています。

今週のBIエッセイは『人間力』というテーマを、運のある萩本欽一さんの運にあやかって書きました。皆様にも萩本さんの運がまわるように強く祈念する次第です。

以上

参考文献
(1)萩本欽一『ダメなときほど運はたまる -だれでも「運のいい人」になれる50のヒント』(廣済堂新書 2011年1月 本体800円+税別)
(2)佐々木昭美 BIエッセイ2013/02/04 『佐々木流 BI経営進化論第16回 「稼ぐ」π型人材育成を自社で開催していますか?』

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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