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財団法人社会経済生産性本部技術経営センター主催の第5期『製品開発・事業創造イノベーター研究フォーラム』の1月例会(1月15日)は、能代山本スポーツリゾートセンター アリナス館長 加藤廣志氏(元・能代工業高等学校 バスケットボール部監督)がゲストでした。コーディネーターは、神戸大学大学院経営学研究科 金井嘉宏教授です。

「30年の監督経験から考える、『人が育つ、人を育てる』とは」のテーマで90分にわたって高校バスケット常勝監督の実際をさらけ出した情熱溢れる講演と、60分にわたる質疑に引き込まれました。世界遺産「白神山地」のふもとに育ち、小学校でバスケットボールに触れたことから始まる加藤氏のバスケットボール人生。無名の能代工をインターハイ、国体、選抜の3大タイトルで全国制覇33回達成。アメリカプロバスケットボール「NBA」で日本人として初めて登録された田臥勇太選手始め、多くのトップ選手を育て、また国内外の多くのバスケットボール指導者を生み出した。更に、「能代カップ高校選抜バスケットボール大会」開催が実現し、街づくりまで発展した。加藤氏の体験と指導者論は、スポーツ界にとどまらず、企業、組織の持続的勝利、組織づくり、人づくりに共通するヒントや糸口をたくさん提供してくれている。

 「人生の成功やチームの勝利は、縁や運を大事にする。そして挑戦への情熱がつくるのではないか。」加藤氏自身の言葉の通り、能代工の奇跡は、加藤氏とその人間関係の歴史と一体に刻まれている。直筆でサインを頂戴した『日本一勝ち続けた男の勝利哲学』(加藤廣志 幻冬舎文庫 平成19年6月初版)を早速読んだ。その真因を探究する宝庫である。企業経営には、人間論、リーダーシップ論が重要なことは論を待たない。しかし、その教育は簡単ではないが、加藤氏は、すばらしい語り部であり、本は良い教材であると思った。

日本一への秘訣には、なるほどと考えさせられる多くのアイデアが多い。それ以上に“全国制覇33回の常勝チーム”をつくるのは並大抵ではないと大変興味を抱いた。大病から指導方法を改革した。マネジャー制の役割、ブロックサインシステム、合理的練習方法、非情さと背水の陣、勝利の青写真とサブシステムの練習方式創造等。49歳で後輩へ監督譲る決断とその後の後継者育成のあり方への探究と極意。24時間考える熱い熱い信念が、無限の可能性を拓く。

 『秋田県北部の海岸線に位置する能代市は人口五万の小都市です。戦前は「東洋一の木材都市」と言われたのですが、今や「バスケの街」で通ります。・・(略)・・全国の強豪校を集めた「能代カップ」は地域挙げてのイベントとして定着しました。バスケットが街作りの核に位置づけられ、いつまでもその魅力を発信し続ける中心地でありたいと願っています。』(同書247ページ)バスケの名匠は、バスケの名勝の伯楽でもある。すごい人がいると思うと同時に、人はすごいことができると改めて思った次第である。
以上

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