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『BI Lab News』発行に当たって

 BIPは、2008年2月よりお客様の顧客満足度向上を目的に毎月自社研究会である「IC(イノベーション&コーポレートガバナンス)研究会」を開催してきました。今年6月より将来の「BI経営研究所(仮称)」設立を視野に「BI研究会」と改称し、調査・研究・交流活動を強化しています。

 これまで、研究会の成果は、「BIPレポート」等順次提供致してきましたが、公開可能な有益情報は一層多くの方に提供すべきと考え、BI研究会に参加するコンサルタントの研究員、客員研究員、講師の方々を中心に「BI Lab News」を不定期ですがBIPWEB上で掲載することにしました。まだまだ未熟なレベルであることは十分承知しておりますが、意を汲んで頂き、参考にしてご活用頂ければ幸いです。
BI研究会代表 BIP代表取締役社長 佐々木昭美
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調査レポート(要約)

「情報通信専業的トップ3社決算(NTTデータ、ネットワンシステムズ、NECネッツエスアイ)にみる6つのキーワード」
――地域社会、グローバル、MBB(モバイルブロードバンド)、ITFE、クラウド・IDC、BI(ビジネスインテリジェンス)――

ビジネスインテグレーションパートナーズ(株)
                 代表取締役 佐々木 昭美
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(1)はじめに
 今年7月から8月にかけて、上場各社の2010年度第一四半期(4~6月)決算が発表されました。情報通信業界の動向を、近似的に表現する専業的トップ3社(敬称略 NTTデータ、ネットワンシステムズ、NECネッツエスアイ)決算資料、報道資料を参考にして市場動向、中期的成長事業分野、競争力要素等を調査研究しました。

 その結果、6つのキーワードが浮かびました。地域社会、グローバル、MBB(モバイルブロードバンド)、ITFE、クラウド・IDC、BI(ビジネスインテリジェンス)です。

【図1】
BI経営参考資料

 弊社ビジネスインテグレーションパートナーズ(株)(以下略称、BIP)は、BI経営を提唱し、2つのBIをキーワードに企業改革を支援しています。ビジネスインテグレーション(事業開発)とビジネスインテリジェンス(経営改善・現場改善)の両輪経営です。

 今回は、持続的成長を創造するビジネスインテグレーション(事業開発)の視点を中心に調査研究しました。本レポートはその要約です。

(2)専業的トップ3社の事業領域・市場ポ-トフォーリオとBIP事業モデル分析シート

【図2】
PDCE

PDCE
PDCE
 
 BIPは、情報通信企業の事業モデルを簡易に分析するシートを作成しています。(図2)
各事業領域を、主要業務・技術レイヤーに階層化して、業界の標準とされる呼称で示しています。 
 
 今回選んだトップ3社は、システムインテグレーション或いはシステムエンジニアリングと呼ばれる垂直統合ソリューションを展開していますが、各社が専業会社とも言える特に強い領域を持っています。(図3)また、3社市場セグメントの多くが、グローバル、エンタープライズ(民間大企業)、キャリア(通信事業者)、パブリック&リージョナル(地域社会・公共分野)に区分公表されて比較分析がしやすい特徴を持っています。(図4)

 従って、専業的トップ3社の事業分析は、近似的に業界の動向を把握できると思量します。特に、受注高、売上高の近時確定情報を正確に知ることができるメリットは極めて重要です。決算説明や関連報道資料を総合的に分析して有意な情報を提供できると思っています。

(3)市場別概況
①エンタープライズ(民間大企業)市場全体は横ばいも、クラウド・IDCは好調、ITFEは回復基調

 一番大きな市場であるエンタープライズ(民間大企業)は、一部回復もありますが設備投資の慎重さが続いており、3社共に全事業領域にわたって各社業績は横ばいです。

但し、クラウド・IDC事業を展開するNTTデータはこの分野は順調としています。日本全体のIDC市場は年率9%前後の成長と調査機関が発表しています。また、8月16日経済産業省は、クラウドコンピューティングを活用することで、広告や小売り、教育、健康管理などの分野で2020年までに累計40兆円市場を創出できるとする報告書を発表しました。
 
 NECネッツエスアイは、民間企業のオフィス移転・統合、オフィス省エネ、環境分野などでITFE分野は着実に伸びています。

②キャリア(通信事業者)市場は、固定系キャリア設備投資は減少し、MBB設備投資は好調

 キャリア(通信事業者)市場は、固定系キャリアの設備投資減少の影響等で全体としては減少傾向ですが、スマートフォン市場の急増とLTEによるモバイルブロードバンドサービスの設備投資競争によってモバイルブロードバンド分野は好調です。NTTドコモは、12月から開始するLTEサービスの3ケ年設備投資計画約3000億円を前倒しで投資すると7月ワイヤレスジャパンで発表しています。KDDIもLTEサービスを2011年開始する予定です。ソフトバンク系モバイル会社も収益向上によって、過去抑制していた設備投資を現状の2倍以上に投資する予定です。

NECネッツエスアイ、ネットワンシステムズのキャリア向け受注は、上記のように大きな割合を占めていた固定系キャリアによるNGN関連のIP基本設備投資が減少した影響、モバイル系各社の基本設備投資の一巡などを受けて全体として減少していますが、LTE、WIMAX関連は順調としています。但し、システム追加型が多いと推測され、単位当たり投資金額は基本設備投資時代より縮小する可能性があります。
 
③地域社会市場は、好調

 NECネッツエスアイ、ネットワンシステムズの地域社会、自治体関連事業は好調となっています。警察、消防、防災、病院等地域社会ネットワークインフラ施設の設備更新需要が多い。また、地域情報化の公共投資が政権交代時の遅れ、見直しが解消し、予算執行が続いています。特にITFE分野にわたる設備投資が多い。

 NTTデータは、従来のクラウド事業が地域金融機関中心に好調で、医療クラウドの取り組みも始まっています。

 今後、ネットワーク利活用が遅れていた地域医療クラウド、自治体クラウド、教育クラウドが中期的に予定され、地域社会、自治体市場は全事業領域にわたって大きな事業機会になると思われます。経済対策にある病院耐震化による病院建て替え計画も注目です。3社共に2010年度地域事業本部を更に強化しています。

④グローバルへのM&A活発

 NTTグループの中期ビジョンの一つがグローバルである。NTTデータは1000億円未満の海外事業を中期的に3000億円規模にする目標でM&Aを積極的に展開している。事業セグメントをグローバルITサービスカンパニーとして、日本の海外展開する企業と同時に、欧州、アジア、米国3極の地元企業をターゲットとしています。当面、SI事業での世界トップ10達成をめざし、更なる目標を描いているといわれます。

(4)事業領域別概況
①AI(アプリケーションインテグレーション)事業は、クラウドと共にBI(ビジネスインテリジェンス)コンサルティング事業強化に邁進

 AI事業会社は、クラウド事業と共にBI(ビジネスインテリジェンス)分野の事業開発を急いでいる。NTTデータは、2010年約600名体制を確立し、2015年200億円事業をめざすという。「変える力」をキャッチフレーズにITを業務・企業変革に活用するコンサルティング事業を推進する計画です。

②SP(システムプラットフォーム)事業は、ITメーカーの草刈り場=戦略分野

 サーバ、ストレージ、基本ソフトを中心とするSP(システムプラッットフォーム)分野は、メーカー・SI系各社の戦略的分野となっています。HPとデルによる大型ストレージメーカー3Par社争奪戦が報道されている。ネットワークトップCiscoもサーバ・ストレージ、アプリケーション分野参入を開始し、IBM、HP、オラクル等との総合力競争の時代に入った。日本では、AI事業に強いコンピューターメーカー、SI事業会社が以前強いが、M&A次第で上位順位は入れ替わる変化の時代を迎えています。

 NTTデータは、SAP、オラクル等ソフトベンダーとの提携を進め、海外のERP、BI分野に強いSI会社の買収を実施しており、競争力、事業シナジー拡大をねらっています。

③NI(ネットワークインテグレーション)事業は、全般に横ばい傾向である。唯一の成長は地域社会市場とモバイル市場。

 NI事業は、最大の市場である固定系キャリアの設備投資が一巡し、事業進展ペースの速度となっています。NECネッツエスアイ、ネットワンシステムズ共にモバイルキャリア系の一部は増加傾向も固定系の減少をカバーできていない。

 民間は昨年とほぼ横ばいで過去の水準に回復していないが、地域社会市場はITFE事業と一体となった統合ネットワーク設備受注で伸びています。NECネッツエスアイ、ネットワンシステムズ等ITFE分野が強い企業はNI事業も一体でなんとか維持しているようである。

民間企業、大学のコアネットワークは、数年前に10G高速ネットワークにほぼ更新終了しました。遅れていた地域社会分野は、10G高速ネットワークへのシステム更新は大学除いて現在更新段階にある場合があるようです。そのため、必須の光ケーブリング10G化通信工事、電源設備等IT設備基盤の更新と合わせた案件がみられます。

④ITFE(ITファシリティーエンジニリング)事業は、地域社会、LTE、IDC、グリーンIT分野で好調

 ITFE分野に強いNECネッツエスアイは、民間もオフィス移転・統合ニーズへのソリューション、仮想化・クラウド志向のグリーンIT化、次世代データセンター需要、省エネ基準強化に対応した省エネ・環境ソリューション等で着実に回復しつつある。地域社会分野、官庁・自治体インフラ分野は極めて好調のようである。消防・防災システム高度化、地域情報化が伸びているようです。通信建設業界と類似した面も持つキャリア事業は、固定系基本設備、モバイル系基本設備は減少しつつもLTE、WIMAX分野が伸びています。

ネットワンシステムズは、昨年ITFE分野の区分を変更したので詳細は不詳であるが、地域社会分野の好調からしてITFE事業は好調と推測できる。IDC、グリーンIT化に対応して、空調、省エネ、監視分野のソリューションを増やしています。

以上

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