佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2010/01/12 2010年初夢(個人編):「働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び」の生きる喜び「三喜計画」を描く-2010年は「再スタート元年」-

 2010年は、社会も個人も「再スタート(リニューアル)元年」だという気がします。
 人生での戦術はもちろんですが、人生戦略プランを見直しする良い時期かもしれませんね。

 私は、初夢は残念ながら見られなかったので、正月の起きている時間に描いた2010年初夢(個人編)を書いてみたいと思います。ちょっと長期の夢になりました。

 静謐な正月に、「生きる喜び」は何かと自分と対話して、「働く喜び、学ぶ喜び、遊ぶ喜び」という心の声が聞こえました。それで「三喜計画」と名付けました。皆さまの初夢は何でしょうか?

(1) 働く喜び計画:「人生3分法」によるⅢ期、「BI(ビーアイ)経営」普及で一隅を照らす
 -「企業・組織の中の個人の時代」から「個人と企業・組織共創の時代」へ-

参考文献

図1:「人生3分法」のライフステージイメージ
図1:「人生3分法」のライフステージイメージ

準備期( 0~20歳)動物から人間への家庭教育、学校教育、地域教育で成長する時代
Ⅰ期 (21~40歳)大人として仕事で生きる職業能力実践習得、家族形成の時代
Ⅱ期 (41~55歳)領域一番で日本・世界で活躍し、子供の高等教育をする時代
Ⅲ期 (56歳~生涯)個人の適性・生き方に沿って、「生涯現役社会」に生きる時代

 今年2010年1月5日、BIPビーアイピー創立3周年を迎えました。50台後半に創業し、新しい職業を始めて3年経ちました。あらためて次の10年を考えてみました。

 意外かもしれませんが、2007年に職業紹介責任者と派遣元責任者の資格を取りました。キャリアデザイン、キャリアコンサルタントの事業も考えていました。

 また、2007年にはBIP講演・教育研修のテーマ『夢とアイデアに恋した生き方-75才職業時代のキャリアデザインを考える』(詳細はこちら>>)を提案しています。この中で、大人になってからの人生を上記図1のように3期に分けて、75歳職業時代のキャリアデザインを提案しました。高齢化社会への変化と自分自身の生き方の実体験から生まれた素直な気持ちであり、熟慮の結果でもあります。

 昨年の暮れ、日刊工業新聞2009年11月23日号12面の「書窓」記事を見てビックリしました。日本弁理士会会長筒井大和(つつい・やまと)氏が「人生三分法」を説いた民法学者末川博氏(元立命館大学学長)の自叙伝『彼の歩んだ道』(参考文献1)を紹介する内容だったからです。人生の岐路に立った大学2年の時、大きな影響を受けたと述べていました。私の「人生三分法」と、ほとんど同じ考え方に触れ、大変うれしい思いをしました。ちょっと長いですがその記事を引用します。

『著者が掲げる「人生三分法」は一日24時間を三つに分け、8時間は眠り、8時間は働き、8時間は自分のために使うという提案だ。人生を75年とし、25年区切りの三つの期間に分け、25歳までは人の世話になって一人前にしてもらう期間、50歳までは世の中で何かに奉仕して働く期間、50歳から後は、自分の好むところと適するところに従って使える期間と提唱している。折りに触れては、この「人生三分法」を思い出し、人生の区切りをつける目安となっている。50歳を超えた今、三分論を自分なりに咀嚼し、「これまで勉強や仕事でお世話になった親兄弟や社会に対して恩返しをする時期」と位置付けた。末川氏が本書を書いた時代よりも人間が長生きできる現代では、例えば65歳以降に自分の人生を楽しむ「第4の期間」を設定してもいいかもしれない。』(参考文献2)


 前職ネットワンシステムズ(株)、そして現職BIPビーアイピー(株)の経験を通して、「BI(ビーアイ)経営」という言葉・概念を普及することの大切さを痛感しました。「BI経営」とは、ビジネスインテグレーション(事業開発)とビジネスインテリジェンス(経営管理)の両輪経営である。実践知である“佐々木二刀流経営論”の極意でもあります。

 人生の第Ⅲ期を「BI経営」の深化・普及を通じて一隅を照らすことができればと思いました。人生論のベストセラーである藤尾秀昭『小さな人生論』では、伝教大師最澄(でんぎょうだいしさいちょう)『天台法華宗年分学生式』の冒頭に出てくる言葉「一隅を照らす」を取りあげて、その重要性を説いています。恥ずかしいですが、私は人生Ⅲ期を迎えて初めて、その言葉の重みを知りました。

(2) 学ぶ喜び計画:人間力、社会力(科学技術、経済、歴史、政治)、経営力の「3大リテラシー」を改めて勉強する
 -2010年国民読書年を機にアウトプット目指したインプットを-


図2:学ぶ3つのリテラシー
図2:学ぶ3つのリテラシー
①人間力リテラシー ②社会力リテラシー(科学技術、経済、歴史、政治) ③経営力リテラシー
  
 日本は、未来への見本がない新しい世界の始まりに戸惑っているような気がします。「政権交代」はマニフェスト賛成もありますが、同時に「変化」への期待という声を多く聞きました。素直な国民意識を反映したものでしょう。ところで「どんな変化が大切か」「どんな社会をつくるのか」は、十分な国民的議論・合意が尽くされていないような気がします。

 激変時代のリーダー像を見つめる多くの国民の目は熱い。NHKTV大河ドラマ『龍馬伝』が1月3日夜から放映が始まり、自宅近くの大型書店の「坂本龍馬関連本」コーナーは、100種以上の本で溢れている。司馬遼太郎『坂の上の雲』人気も根強い。私も下級武士の世界を見据えた志と勇気に心躍り、TVの前で声援を送りたくなる。男の不甲斐ないこともあるのか、若い“歴女”が颯爽と登場している。温故知新もリアリストの女性主導か。

 この20年間、海外とのビジネス、また海外旅行をして外国を知れば知るほど、日本を観る眼が変わりました。日本は、依然としてすばらしいユニバーサルな固有文化を持つ豊かな誇るべき国だという思いです。その日本において、何故悲観主義が強いのでしょうか。

 誰もが、生まれた時代の社会発展段階と制約の中で生きていきます。奈良時代以来の「和魂唐才」、明治時代以来の「和魂欧才」、昭和敗戦後の「和魂米才」と、日本ほどユニークでユニバーサルな文化を創造した海洋民族はないような気がします。日本は閉鎖的・一元的価値観という内外の批判は大局的には当たらないという思いが最近強くなりました。アジアの小さな一国が、試行錯誤しながらも東西文明から進取の気風で学び、先進国として20世紀に登場した世界史的意味は、教科書的理解を超えた大きなことだったような気がします。

 世界60億人が暮らす地球で、私たち日本人はどう生きていくのか、どんな未来を創るのか、一人一人が新たに学び直す必要があると考えました。「課題先進国」という学者もいます。見本のない新しいステージを自覚し、私自身新たな次元での学びを再スタートすることにしました。

 学ぶ分野を大きく①人間力リテラシー ②社会力リテラシー(科学技術、経済、歴史、政治) ③経営力リテラシーに区分しました。詳細は、今度具体化する予定です。

 人生の準備期は、学ぶだけのインプット中心ですが、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期と学ぶことが自己目的ではなく、成果つまりアウトプットを求める学びに当然比重が移る。ところが、意外なことに学ぶことが得意な方・好きな方の中にはアウトプットが抜け落ちている場合が少なくない。2010年国民読書年を機に、自戒しつつアウトプット(成果志向)型のインプット(学ぶ喜び)を味わいたいと思いました。

(3)遊ぶ喜び計画:見る美、聞く美、創る美の「三美体験」を広げる
 -人間のささやかだが多色の美体験に「出遊」する-


図3:多色の見る美、聞く美、創る美
図3:多色の見る美、聞く美、創る美

見る美:旅、自然、花、美術・建築、遺跡、映画など
聞く美:生のコンサート、歌舞伎・オペラ・芸能など
創る美:出合いの場、縁、美遊、交流、カメラ、エッセイ、カラオケ、食事など

 物心の余裕や時間がなかったせいか、Ⅰ期、Ⅱ期には家庭や職場の遊びは頑張ってやってきましたが、自分の好きな遊びは50代以降になって少しずつ始まりました。仕事を超えた信頼できる交友、多様な趣味を持つこと自体大変な時間と努力がいることも知りました。若い方には考えられないかもしれませんね。

 正月に松岡正剛『白川静 漢字の世界観』(参考文献4)を読んでいて、「遊」という漢字から古代の世界観を解釈した「遊字論」の紹介に出合い、表意文字の漢字の持つ深い意味を教えられました。

 『白川先生は「遊」をこう書いています。「遊ぶものは神である。神のみが遊ぶことができた。遊は絶対の自由と、ゆたかな創造の世界である。それは神の世界に外ならない。この神の世界にかかわるとき、人もともに遊ぶことができた。・・(略)・・遊とは、この隠れたる神の出遊をいう。」「遊」は、氏族霊の旗を掲げて氏族の力のおよぶ範囲の外に旅する(出遊する)こと、自在に行動することがもとの意味なのだそうです。』(参考文献4 102ページ)

 私は、「遊」とは古代は危険の多い「出遊」であったが、現代は自分の未知のことに踏み込む楽しい遊び=「美遊」と考えてもよいと勝手に解釈しました。日本人は遊びも「道」までに極め、茶道、華道、芸道、書道、香道、文道、作法道、武道などに深化するすごい民族である。昨年から「美遊会」という交琉・遊びの会を試行始めました。遊びの場づくりです。
 
 遊びを図3のように「見る美」「聞く美」「創る美」3つの分野に整理してみました。アイデアは、節子・クロソフスカ・ド・ローラ『見る美 聞く美 思う美』(参考文献5)です。日本女性として落ち着いた人柄と深い知性が滲み出るすばらしい本です。

 【見る美】夏の海外旅行と春・秋の国内小旅行。美術館・博物館鑑賞に建築、遺跡、自然探索を加え、関東だけでなく全国への小旅行と組み合わせるのも面白い。
 【聞く美】CD・DVD鑑賞にプラスして、生のコンサート、歌舞伎、オペラ等体験を広げる。
 【創る美】創るは、「人間関係を創ること」と「創作すること」の2分野。未知への「出遊」を楽しむ
 
以上、私にとっては一見盛りだくさんですが、皆さまにとっては既に接していることが多いと思います。自分の「再スタート元年」を支えてくれる家族・社員・友人・お取引様を大切にして一歩一歩夢を実現したいものです。

(参考文献)
1.末川博『彼の歩んだ道』(岩波新書 1965年10月初版、1995年11月第20版)
2.日刊工業新聞 2009年11月23日号12面 「書窓」
3.藤尾秀昭『小さな人生論』(致知出版社 2003年9月第1刷、2009年6月第46刷)
4.松岡正剛『白川静 漢字の世界観』(平凡社新書 2008年11月初版)
5.節子・クロソフスカ・ド・ローラ『見る美 聞く美 思う美』(朝日文庫2007年12月)

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