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2011/06/20 「MBB未来島日本」を東北から――「ICT復興支援国際会議」に参加して

昨日19日(日)、仙台国際センターで開催された「ICT復興支援国際会議」に参加しました。地元東北はじめ全国から約300名が出席し、盛り上がりました。USTREAMでも中継されました。

(1)「ICT復興支援国際会議」の概要

<開催趣旨>
東日本大震災にて被災した東北地方における、ICTを活用した災害対応、産業活性化を含めた被災地復興のあり方を、被災地の実情を理解した上で広く議論するため、全国からキーパーソンを招き、復興の機運向上および業界、地域の枠を超えた幅広い連携をはかります。同時に、被災地の地元ICT企業が各種復興事業の当事者となるようなビジネスマッチングの機会を創出し、復興事業が地域経済の自立につながる動きを促進します。また、仙台開催とすることで、国際会議を含む大規模フォーラム開催に耐えうる東北の中心都市・仙台の復興を広くアピールします。

<日時・場所>
2011年6月19日(日) 10:00~18:30
会場 :仙台国際センター
WEBサイト:http://ictforumtohoku.jp/
主催 :みやぎモバイルビジネス研究会
共催 :BeB協議会(MICE推進)・日本Androidの会・仙台市・財団法人仙台市産業振興事業団
総合監修 :大津山訓男(アットマークベンチャー株式会社代表取締役)
運営 :ICT復興支援国際会議実行委員会
後援企業:
参考資料
観光庁 独立行政法人情報処理推進機構 宮城県 東北総合通信局 東北経済産業局
宮城県高度情報化推進協議会 財団法人仙台観光コンベンション協会
特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 社団法人宮城県情報サービス産業協会
朝日新聞仙台総局 毎日新聞仙台支局 読売新聞東北総局 東北OSS利活用検討会
産経新聞社東北総局 NPO科学協力学際センター(順不同)

第一部 講演 / パネルディスカッション
[1] 災害と情報をめぐる今回の教訓 〜次の災害に向けてICTは何をすべきか?
[2]復旧から復興へ 〜今、被災地で何が必要か?
[3]ピンチからチャンスへ 〜ポスト3.11、ICTの新しいビジョンとは?

内容
<ICTリーダーによる災害復興施策 >
(基調講演:20分×4名 パネルディスカッション:20分 会場からのFAQ:20分)

コーディネーター: 大津山訓男
パネリスト(五十音順):
丸山不二夫氏(日本アンドロイドの会 会長) 活動報告
篠崎雅継氏(日立オートモティブシステムズ株式会社 理事) ITS活用
谷脇康彦氏(総務省情報通信国際戦略局情報通信政策課 課長)クラウド施策
山下哲也氏(株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ スマートコミュニケーションサービス部コンテンツ 
推進室 コンテンツ支援担当部長)スマホ活用施策

<パネルディスカッション: ソシアルネットワーク活用災害支援 >
コーディネーター: 大津山訓男
パネリスト(五十音順):
内山幸樹氏(株式会社ホットリンク 代表取締役社長)
川島優志氏(Google アジア太平洋ウェブマスターマネージャー)
佐々木陽氏(株式会社Gclue 代表取締役社長)
佐々木智也氏(株式会社デジタルガレージTwitterカンパニーEVP
兼株式会社CGMマーケティング取締役COO)
中川具隆氏(Ustream Asia株式会社 代表取締役社長)

<地元プログラム(パネルディスカッション)ピンチからチャンスへ 〜支援活動からの事業創出>
コーディネーター:
林雅之氏(ITmedia オルタナティブ・ブログ ブロガー(NTTコミュニケーションズ勤務))
パネリスト(五十音順):
佐々木賢一氏(株式会社トライポッドワークス 代表取締役社長)
千葉大貴氏(有限会社マイティー千葉重 代表取締役)
三浦宏之氏(株式会社プラスヴォイス 代表取締役社長)
ほか、県外支援者、地元自治体関係者など を予定

<地元プログラム:復興支援事業プラン発表会 >
地元企業/国内大手企業/海外事業者

第二部 ビジネスマッチング/復興関連事業アピール


(2)「MBB(モバイルブロードバンド)未来島日本」を東北から

会議の様子は、USTREAMで中継されましたので、詳細は省略します。(USTREAMについては、こちら>>

私は、新幹線が復旧した5月に、故郷宮城県を2回4日間に渡って調査し、そのレポートをBIエッセイでも更新しました。
・BIエッセイ2011/05/16 ふるさと宮城県大崎市訪問レポート――『東北人の魂は耐えて、震えている』(詳細はこちら>>

・BIエッセイ2011/05/23 宮城県視察レポート(2)――日本未曾有の大震災であり、全国民、全産業、国・全自治体の持続的復興支援が必要です。(詳細はこちら>>

沿岸部、内陸部両方の被害状況を「現地・現物・現認」した上で今回の会議に参加できたことは、多方面からの情報を統合し、より精緻な認識をする上で大変有用であったと思います。

【1】ICTインフラ自体の復旧がすべての前提である。
多くの発言は情報基盤があった上での議論であったが、名取市長や地元企業の報告では、中古PC設置支援などから始めなければならない場合が多い現実を指摘しています。

・沿岸部の一部を除き、固定系、モバイル系の通信基盤は代替え措置含めほぼ4月に復旧した。停電による停止の影響が大きく代替電源や蓄電能力対策が重要である。基地局自体の破壊があり、広域無線、衛星無線などの複線システムも必要である。

・大手企業の情報システムは、全国支援で早期に復旧した。しかし、中小企業は、追加投資が実施できた企業とできない企業の2極化があり、設備そのものへの支援が必要である。

・沿岸部で役所自体が破壊された自治体は、その復旧に相当苦労してやっと回復しつつある。

【2】地震後の救援、支援情報の提供では、TVとソーシャルメディアの役割が大きかったが、東北は利用が少なかった。
ソーシャルメディア企業の情報提供は大変役立つものでした。

・停電時TVが見られない時に、ソーシャルメディアの役割は大きかった。当日から翌日までにNHK、民放の多くはUSTREAMへのニュース配信を決断した。TVの映像ソースは最も要望の強いコンテンツである。

・世界のどの自然災害時と比較しても、ツイッター、フェイスブック、グーグル等への世界的アクセスは爆発的なものであった。多くは、日本と米国、豪州、欧州等先進国とのトラフィックであった。従って、先進国への正確な情報の提供が大事であることがわかった。海外メディアの間違った報道も多く、政府、日本企業、日本メディアの海外発信・報道について抜本的改善が求められる。

・ソーシャルメディア会社は、積極的に支援アプリ、コンテンツ整理を提供した。残念ながら、利用者は都市部が中心で、東北は利用が少ない地域であり、通信基盤が崩壊したこともあって、災害時に東北での利用は少なかった。携帯電話を配布し、利用方法を教育した所では活用が始まった。

【3】震災時初動の政府発表は実態と乖離した内容であった。個人、団体の物資支援は情報ミスマッチが大きかった。
・震災直後、政府は、民間企業やボランティアの物的、人的支援は控えるようにと発言していた。その為、阪神震災の教訓もあり、支援活動をする事を控える人が多くいたが、被災地からのメールで物資が届いていないことがわかって、独自に支援物資を届けた。この為、数日間何も届かない地域があったという。また、当初高速道路はガラガラだったそうだ。政府サイドの物的支援は機能していなかったのではないか。

・物的支援の必要が理解され、今度は全国から独自の情報とルートで物資支援が行われた。有り難いことであったが、ミスマッチが多く、膨大な物資が山と積まれていた。善意のシステムは、自治体は臨時の体制もとれずに機能しないことが明らかになった。政府が機能していないので、今回は各自支援するしかなかったが、大手の流通、生協の協定は機能していたので、専門企業の組織的活用や臨時店舗網の設置などが必要と思った。特別な地域へは予備自衛隊の活用含め専門家ネットワーをもっと活用すべきと思った。

・大震災の危機の時に、法的行政的手順で瞬時に実施することを嫌がり、ボランティアで多くの物事ができるかのようなイメージは、全くの幻想であり、被災者の生命を危うくする政治であることが明白となった。もちろん、ボランテイア自体は大切であるが。

・住民ニーズを把握し、必要な支援を発信する「市町村」という基礎自治体の機能が打撃を受けたことが、機能不全の原因であったが、自力での回復は不可能なことも明らかである。近隣自治体が機能しない場合の広域自治体支援は、順次強化され効果を上げているが、今後制度化する必要がある。

【4】地元ICT企業の復興支援への努力は一生懸命であるが、事業再建の現状は厳しい
・東北の情報通信従事者は、全国平均と比べると低いが、仙台に関しては高い地域であり、発展への人的基盤はある。

・地元中小企業や自治体ビジネスだけでは、事業規模が小さい。東京の大手企業の下請けが多い実情にあった。

・地元ICT企業も競争だけでなく協業意識が生まれ、独自のアプリ開発で成果をあげる企業も出ている。特に、LTEというMBB(モバイルブロードバンド)環境での映像、音声含めたアプリケーションがスマートフォンで提供する事例が始まっている。

・震災によって、経済自体の縮小が最大の障害になっている。


私は、先月5月9日にBIエッセイで『デジタルネイティブ時代の「大震災とネットの役割」を考える』(詳細はこちら>>)を書きました。その最後の文章を再掲します。

「 日本はインターネット「未来島」。積極的な進化・革新の先頭に
今回の大震災で、改めて認識したことは、日本の固定系、モバイル系のインターネットインフラ環境整備は世界トップを走っており、その点では「未来島」だということです。確かに、ハード、ソフト製品は米国勢に圧倒され、日本メーカーの製品「ガラパゴス」戦略は反省点でしたが、産学公一体のe-Japan戦略も寄与し、インターネットインフラ環境は確実に世界一の社会システムになりました。

今大切なことは、その基盤を活用して、文字通りにインターネット利用の「未来島」に挑戦することだと思います。20~30才台は、インターネット当たり前の世代となり、既に日本もデジタルネイティブの時代に入っています。老若格差、地域格差等デジタルデバイドを克服する社会的課題解決へのアイデアや技術、政策等によって、「クールで安心な日本を支えるインターネット未来島」に貢献すべきと感じた次第です。

既に、携帯メールでの安否確認、SNSでの情報共有、被災地への救命・救援支援、復興支援SNS、自治体・メディア公式ツイッター、電力利用状況モニターサイト等多様な活用が始まっています。携帯電話に緊急地震速報システムが標準装備されつつあります。新たに生まれたアプリケーションやシステム、技術、制度、枠組み等はきっと世界に役立つと思います。」

改めて、その問題意識は間違っていなかったと痛感しました。

東北を単に一時的な復旧興支援に終わらせるのではなく、「MBB(モバイルブロードバンド)未来島日本」を目指す日本の先進地として、全国の企業、国、自治体、個人が積極的に人的、資金的に投資してほしいと思いました。東北出身者として、強くお願い申し上げる次第です。

その意味でも、今回被災地仙台の地で「ICT復興支援国際会議」が開催されたことは大変有意義であったと思います。開催に尽力された皆様に敬意を表する次第です。

がんばれ東北! がんばれ日本!

以上

>>佐々木昭美へのご相談はこちら


thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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