佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2007/09/13 経済は変調か?

米国サブプライムローンの信用破綻増加を契機にした世界的信用不安が続いている。
また、数年ぶりで、米国雇用が減少し、実体経済が下降しつつある可能性が起きつつあるかもしれないという景気基調の変調を心配する心理も増幅する機運が起きつつある。そうした中で、9月17-18日FRBは、利下げに向かうか注目されつつある。

日本の金融市場も影響を受け、為替の円高とそれを嫌気した株式市場の不安定が続いている。

10日発表の4-6月GNPがマイナスに転じた。一時的なものか、基調の変化かの検証や議論が起きつつある。
 
「経済は変調か?」と、今や投資家だけでなく、世界の多くの人々が注視し始めたことは確かなようである。
 
冷戦後のフラットな世界の進展の中で、世界の大規模なインフラ投資と国境を越えた貿易の増加は続いていると思われる。
 
しかし、金の流れに何かが起きている、あるいは何が起きているか不明なので不安であるいう不安心理が発生し、投資家心理が悪化している気配はあると思われる。金は、弱虫で、リスクに対して敏感である。
 
その解明や理解は、本質的対策のために重要であることは自明である。しかし、残念ながら、経済現象は、即時的に解明が困難な場合が多いだけでなく、事後的にもすべて解明されることがない場合も多い。

従って、詳細の解明は十分でなくとも、起きている事象への対応は必要である。
金融の相場変動は、極めて大きな影響があることを、「バブルの崩壊」後10年に渡る日本経済の苦境で、頭では知っているがノドもと過ぎると忘れるのが人間の現実でもある。
 
FRBが利下げ、日銀は利上げしないで、投資家の不安心理を沈静化し、実体経済への悪影響を絶対に阻止する毅然とした対応をとるかどうか市場は見ていると思われる。
欧州ECBは、当初9月金利上げ予定を取りやめた。

次は、米国と日本が動く時である。
 
日本は、サブプライムの直接的影響はわずかで、無視できる範囲であると思われる。しかし、欧州、米国、アジアの金融機関、ファンドの資金調達の発生が、外国投資家の日本株式売却を誘因して、日本の株式市場は影響を受けた。関連する為替の円高が、米国、欧州株式市場以上に日本の株価低下が起きている。一方、中国の株式市場はほぼ戻っている。

金融資産の価値低下は、消費抑制へ続くリスクがあり、早く芽を摘む必要がある。
我々、国民の年金資産への影響も大きい。

資本市場は、金持ちが関係あるが、庶民は関係ないと言った間違った議論や誤解は、表向きなくなったが、経済のグローバリゼーションの中に日本があることに視野を持つ前向きな対応策の動きは鈍いように感じられる。
 
中東、ロシア、中国は、原油高、輸出で膨大なカネが蓄積され、好景気と公共投資で絶好調である。観光地はどこも一杯である。飛行機とホテルの予約は大変なのだ。

先進国の富が、流出しつつあったが、先進国の国債や株式市場への環流を通じて景気基調をファイナンスしてきた。このカネの流れの動向も注目すべきと思う。
 
資源カルテルによる世界的景気後退が、世界経済協調という先進国サミットを生み出したという記憶を思い出した。

ロシアを正式メンバーにし、中国を招待するサミットが昨今である。一国の動きで世界が影響する時代である。世界協調に、多くの国を巻き込む努力と思われるが、仮に協調しようと考えていない国に過度な寛容は、我が儘を容認していると誤解される場合もある。新しい協調への模索の時代である。
 
日本のGNPは、海外貿易と海外投資含めた外需と設備投資の両輪がエンジンである。先日の法人企業統計は、4-6月設備投資の減少を示した。ただ、7月の機械受注統計をみると好調である。春の国内設備投資計画は増加基調であった。投資実行時期が、若干遅れているのであろうか。
 
実態経済を反映する上期企業決算の公表まで、不安定な市場環境は続く可能性がある。
 
日本人の我々は、世界と一体で生活している現実にもっと目を向けて、世界が現実にどう動いているのかを冷厳に見つめることが大切だと感じる昨今である。

先週、ヨーロッパ旅行をして、数世紀にわたって戦争を繰り返し、国境線の変更の中で生きてきたヨーロッパの人々は、数世代を超える家族の生存のため、自国でなく、他国への笑顔と共に厳しい目を常に失わない人間が常識人だと理解しているように感じた次第である。

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