佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2007/09/27 NGNとは?ICT業界のビジネスモデルは?

1.「NGNへの関心が急増」

最近、「NGNとは、本当はなにか?ビジネスはどう変わるのか?」について、分かりやすく説明してほしいという依頼が増えている。しかも、大手のICT業界の方からである場合が多いのが特徴である。

キャリアの通信機器、通信設備に関係する企業は必死でビジネスをしているが、ICT業界に携わる多くの方がビジネス論として、自社にとっての明確な事業戦略イメージをもてないでいることが正直多いと思われる。

本日、27日の日本経済新聞は、NGNに関わる日本、海外の通信機メーカーの開発技術やビジネス模様を取材し、報道しています。当然、関連業界にとっては死活的なビジネスであり、2008年商用化元年に向けて商戦はピークと思われます。

NGNについては、総務省のホームページ、キャリア各社の発表、内外メーカーのホームページなど最新の情報を提供がされています。

NGNは、既存通信網や既存IP網とも別の新しい統合通信網である。したがって、各社のビジネス部門も、情報システム部門も強い関心を持っている。NGNは、どんな通信網でどんなサービスが提供されるか、調査・研究の段階と思われる。

BIPオフィスがある大手町ファーストスクエアビルにNTTのNOTE(NGNを支える最先端技術とNGNで実現するサービスを、わかりやすく、より具体的に体験できる空間NOTE(NGN OPEN TRIAL EXHIBITION))があります。先日、見学したいと訪ねると、ホームページから予約してほしいと案内のカードを渡されました。2ケ月先まで予約が埋まっているとのことでした。メーカー各社も同様の展示センターをもっており、利用が活発であると言われています。



2.NGNは、世界的なユビキタスブロードバンド時代の始まり

NGNは、日本だけのことではない。ITUーT(国際電気通信連合)などで世界共通の技術基盤の標準化が行われている。英国BTは、2006年より世界初めてNGNのサービスを開始した。大赤字だったBTは、短期間で企業、国民の支持を得て、顧客基盤の拡大と収益の急回復を実現した。その骨格も発表されている。

日本は、今トライヤル実験が実施されている。来年2008年には、部分的かどうか不明だが、本格サービスが開始される予定である。

総務省の発表やメーカーのセミナーで理解したNGNの骨格は、一致しており、特徴を以下に4点列挙する。

2006年で日本のブロードバンド環境は、世界一となった。更に、今後は、FMCサービスと呼ばれる固定通信網と超高速無線通信網の統合とサービスの融合という未知だが、新しい希望のロードマップの時代である。また、膨大な統合された情報を処理する情報システム諸技術の革新も予測される。

 
①3階層の新通信システム網を新たに整備する。ネットワークインフラ、サービスプラットホーム、アプリケーションという3つの階層構造となるとされている。

②ネットワークインフラは、ADSL、FTTH、モバイル、CATV、高速無線などすべてのアクセス網を統合した高速・大容量な新しい通信基幹網を整備する。

③認証、サービスコントロール、課金管理などSDP(サービスデリバリーネットワークプラットホーム)と呼ばれるサービスプラットホームのシステムを整備する。

④NGNを利用した企業独自システムアップリケーション、キャリア独自のアプリケーション、サードパーティーのアプリケーションが自由に展開できる。


通信システムとしてどう違うのか、アプリケーションは、自前か、キャリア提供、サードパーティー提供でカバーできるのかなど、結構、全企業が慎重に調査する必要がある大きな変化であることは自明である。



3.ICT業界のビジネスモデルの二つの潮流

① 新たな統合システムのリーダーであるハイブリッドSI、SEへの期待

企業の情報システム部門から見れば、理論上は、既存の通信網による企業アプリケーション、NGN網による企業アプリケーション、NGNによるキャリアアプリケーションとう3つの選択と組み合わせという課題となる。3階層構造の新たなWANシステムをもっと透明性をもったものにしてほしいという要望は多いと思う。ネットワークインフラの各階層技術を統合する技術力は、そう簡単なものではない。

BTの経験から学び、もっとシンプルに考えたほうがよいのではないかと思えることもある。
世界は、安くて簡単でグローバルに使えるシステムを求めている。日本は、携帯電話で先進技術を実現したが、世界はちょっと技術的には遅れたが、安くてヒューマンインタフェイスの良い端末やサービスが主流となり、日本メーカーの多くが世界市場で敗退した。移行時の統合システムは、簡単なものではないとしたら、企業の投資意欲はどうなるのか。

大手企業の一部は自前で分析、対応策を考えられると思われるが、多くの企業は多くのSI、SEへ説明や提案を求めるものと思われる。

統合システム可能なハイブリッドSI・SE会社の黄金時代になるのだろうか。

 SI:システムインテグレータ 
 SE:システムエンジニアリング



②高度な専門テクノロジーサービスとコンサルテイングのSSI、SSE

企業の情報システムは、BPO、キャリアサービスを進める企業と自前でコーデネイトする二つの方向に向かうと思われる。たとえ、ハイブリッドSI、SE大手が統合システムの中心としても、すべての技術リソースを自社で持つのは、B/S効率の限界と直面すると思われる。サービスサイエンスの進化で対処すると思うが、顧客の変化にすべて自社リソースで対応するのは容易でない。

自社グループとアライアンスパートナーとの2方向での新しい協力関係が模索されると思われる。SI、SEは、システム製造サービス業である。しかし、その専門的システムモジュールが必須である。1社で、在庫資産投資、研究開発投資は限界である。

トヨタは、メーカーと部品メーカー両方が技術革新とサービス革新のため、協調して新しい製品とサービスを創造している。

ICT業界は、世界一の車産業という近くの実例にもっと学ぶべきことがあると思う昨今である。



新しいビジネスモデルで成長するビジネスチャンスの時代でもある。

シリコンバレーに投資する友人は、6年ぶりのベンチャー投資最盛で本当に忙しいと言っている。




 SSI:スーパースペシャリティー システムインテグレータ 
 SSE:スーパースペシャリティー システムエンジニアリング

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