佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2008/01/15 明けましておめでとうございます(後編)-100年・1000年の智慧・誤解を学ぶ-

1月7日号の続編です。
先週の雑誌に続き、今週は本の読書とその周辺について書きます。
⑥飯倉春武『日本人のしきたり』青春出版社
本日、1月15日は「小正月」(こしょうがつ)です。平成11年までは、15日「小正月」が成人の日でした。
この日の朝には小豆粥(あずきがゆ)を食べる習慣があったそうです。

1月1日から7日までを「大正月」「男の正月」と呼ぶのに対して、1月15日は「小正月」または「女の正月」と呼んだそうです。
子供の頃、わたしの故郷の宮城県北部の正月には「小正月」があり、我が家も大事な正月行事にしていました。良き伝統と習慣が永遠に続いてほしいと思います。

⑦ジョン・グリシャム『最後の陪審員』上・下 新潮社
海外で最も好きなリーガル・サスペンスの巨匠の作品が、久々に出版された。映画化も多く、皆さんも、『ペリカン文書』『評決のとき』『ザ・ファーム/法律事務所』『依頼人』など観た作品があるでしょう。

舞台は1970年台のアメリカ南部。23才の主人公トレイナーは倒産した地方新聞社を買収し、経営者・記者・主筆を兼任して辣腕をふるう。残忍な殺人事件が発生した。

私は、内外のリーガル・サスペンスの愛好家である。グリシャムとの出会いは、10数年前である。現在、東証一部上場企業役員であるA氏は、来社時にいつもグリシャムとアーチャーの文庫を持参し、勧めてくれた。熱烈なファンになった。皆さんにも、私が自信を持ってお勧めできる数少ない作家の一人である。

⑧砂川 稔監修『オペラの魔力』青春出版社
遠くから憧れる高貴な美女のような存在だったオペラ。2年前の夏のオーストリア・チェコ・ドイツ旅行の時に、ホテルのすぐ近くにウイーン国立歌劇場があり、舞台の中を見学して親近感をもった。2002年に音楽監督に就任したマエストロ小澤征爾は、「僕は、音楽を魔法だと思っている」と書いている。(Musical Gift for Kids)


パヴァロッテイ・ドミンゴ・カレーラス『3大テノール 世紀の競演』CDに聞き惚れる時間がある。昨年、パヴァロッテイがこの世を去り、生のオペラ鑑賞ファンの1年生になりたいという思いが強くなった。

傑作作品、世界的歌手、マエストロ、音楽構成、歌手のパートの違い等、オペラに関する基本的知識について知っていた方がオペラの魅力を堪能できるという。映画女優のような美貌のアンジェラ・ゲオルギューの写真に魅入った。今年は、ヨーロッパのオペラが続々来日する。



⑨阿川弘之『大人の見識』新潮社
『大人の見識』というタイトルと目次に惹かれて、買いました。ゆったりと人間の叡智に触れたいという方にピッタリの新書です。説明として、目次の言葉を記します。

信玄の遺訓と和魂/幸福であるための4条件/ユーモアとは何か/武士道とジェントルマンシップ/われ愚人を愛す/ノブレス・オブリージュ/ポリュビオスの言葉/自由と規律/温故知新・・・・・

 NHK大河ドラマ武田信玄の遺訓 
 「主将の陥りやすき三大失陥」

  一つ、分別あるものを悪人とみること
  二つ、遠慮あるものを臆病とみること
  三つ、軽躁なるものを勇豪とみること


⑩黒川伊保子『LOVE brain 行為を紡ぐ男性脳 言葉を紡ぐ女性脳』PHP研究所
女性の黒川さんと男性の茂木さんの、「脳」論というより「情緒」システムコードを読んだ。二人ともに、コンピユータの元AI(人工知能)システムエンジニアである。ある若いビジネスプロデューサーに勧められた。

男女共に、20代・30代・40代・50代・60代のどの年齢の方が読んでも唸らせる本である。ふむふむと声が出そうになり、通説の誤解を解き放つ魔法に引き込まれる。「男と女に起こる、すべての喜劇と悲劇を語り尽くしている」。

男性脳と女性脳。この二つの脳の決定的な違いは脳梁一カ所、女性脳が太く男性脳が細い。この太さの違いによって、男と女は、まったく違う世界を見ているのだそうです。 

「ロマンスは、恋と女の賞味期限を永遠にする、脳の奇跡である。」という。



⑪茂木健一郎『欲望する脳』集英社
人間のいろいろな欲望の正体を、孔子の『論語』の中の「七十にして心に欲する所に従って、矩をこえず」をキーワードに、本質に迫る。

生きることの本質は「偶有性」であり、さまざまな出会いの「セレンデイピテイ」(偶然の幸運)である。自分の欲望をとりあえず肯定するということは、恐らくは人間性の本質に即したことであるし、社会全体にも資することであるという。

人間の欲望は、もし最高のものを求めようとすれば、瞬間性、一回性にある。その脆弱で管理不可能な一回性と予見可能な情報ネットワーク性の間の何らかの創造的妥協が、人間の目指すべきものである。ドーパミン放出による快楽原理は、学び(成熟)のためにあるのではないか。欲望を基本的に肯定することこそが、現代の時代精神であるという。


⑫若林栄四『黄金の相場学』講談社
東京銀行の外国為替デイーラーから出発して、35年間相場の世界の方である。冷戦後20年の間に、世界的にデフレが進展し、モノの国際貿易中心から資金・資本移動の世界的な巨大化・瞬時性が進んだ。相場の理解が大事だと感じる昨今である。

「この世の中には、壮大なミスコンセプトがある。それは、経済学が相場を律しているというものだ。しかし、そうではない。相場はあくまでリズムであり、相場のことは相場に聞かなければわからない。」そこで“相場学”という言葉を提唱してきた。複雑な生きた経済を有効に説明する理論モデルの完成は未だと再認識して、地道に研究し続ける謙虚さを忘れるなと教えてくれる。



⑬長谷川慶太郎・田原総一朗『日本の大逆襲』PHP研究所
異色の組み合わせの対談。田原氏が、内外の混迷の原因と明るい未来を知りたい時は、長谷川氏に会うと率直に述べている。これ程明快に経済・政治を大局的観点で縦横に切れるエコノミストは少ないと思う。20数年来、長谷川先生の著作に接しているが、最近毎月ある勉強会で博学で元気な声に直接接する機会があり励まされている。

理論家の多くが、解明すべき事象を既存理論を適用しようとして間違うことがあるが、その際も理論は正しいと弁明する。長谷川先生の特徴は、現実事象のメカニズム・質量・影響等をまず事実分析することであり、次にどういう解釈をすべきかを考えることのように思う。



⑭大浦勇三『イノベーションノート』PHP研究所
BIPの2007年活動の中から、イノベーションの事例を広く調査・研究し、生きたエクササイズの必要性を痛感した。多くの情報から、イノベーションに関する理論・実践知を3階層150テーマに整理した先駆的著作と思う。

1993年に出版されたアーサー・D・リトル社編『高収益革命のデザイン』『コンピュータ関連企業の高収益革命』という素晴らしい本に、ネットワークビジネスに参加したばかりの私は、非常に多くの刺激とアイデアを頂いた。大浦氏は、元アーサー・D・リトル社主席コンサルタントである。

最近「Innoversity」という言葉が米国で使われ始めたという。多様性をもつイノベーションからきているが、企業の成長は持続的な多様性なイノベーションという私と同じ考え方に出会った。「イノベーションは一見苦しくストレスがかかる。しかし、エンターテインメントとしてやってしまう文化風土を早くつくりあげたほうが勝ちである。」BIPの掲げる明るく楽しくイノベーションに通じる気がする。



⑮ロナルド・A・ハイフェッツ/マーテイー・リンスキー著
竹中平蔵監訳『最前線のリーダーシップ』ファーストプレス

「リーダーシップを発揮するということは、危険な生き方をすることである。」改革リーダーは危険であり、防衛策が必要であるという認識は、リーダーシップの最前線に長年いる実感とも合致する。危険発生のメカニズムと護身術のバイブルである。

事業開発と企業統治は、企業成長の両輪だと思う。王道であるが、リーダーの戦略的作業が必要である。「本書ほど、このリーダーシップの本質的な作業を包括的かつ詳細に扱い、多くの実践的な技術を伝える本は他にないだろう。」(竹中平蔵)



 年末とハレの正月の読書は、100年・1000年の智慧・誤解を学ぶいい機会だと思う。

年が改まると魂の浄めの感情に満たされ、失敗したドグマや自己の間違ったこだわりを、穢れをすてるように楽な気持ちで変更することができる。新年という時と空間の読書三昧のもう一つの不思議な効用です。

松岡正剛氏の表現を借りると、

情報の豊穣を集中して吸収する正月は、本日の小正月で終わりです。
さあ、情報編集による新しい知の関係と新しい人間関係構築の2008年スタートですね。(松岡正剛・茂木健一郎『脳と日本人』文藝春秋)

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