佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2008/02/18 『倭人』(わたし)の『和』体験

愛読する和の2大雑誌『家庭画報』『和楽』を、自宅隣のコーヒー専門店“フーデリア”で読むのがOFFの楽しみである。今回は、『倭人』である私が、『和』雑誌に触発された雑感である。

日本人の私が日本風の自己体験というと言葉は自己矛盾を示すが、実際の生活が洋風化し、改めて『和』が新鮮に感じるから不思議である。海外の和ブームと同じなのだろうか。自分の『和』を感じる体験を手繰(たぐ)って、その正体に近づいてみたいと思いました。皆様も、自分の体験を思い出しながら、自由に感じてください。



(1)和歌
   -「皇后美智子さまと黒田清子さま-御歌(みうた)に込められた響き合うこころ」『家庭画報』創刊600号

『家庭画報』2月号が創刊600号となったという。1958年3月に創刊し、日本の伝統の美の継承と大きく美しい誌面で読者への具体的夢を提供し、戦後50年の歳月を輝いていたことになる。愛読者として、おめでとう!そして、ありがとうと言いたい。


創刊600号記念企画は、「皇后美智子さまと黒田清子さま-御歌に込められた響き合うこころ」である。「和歌はこころの有様を言葉に託した自己表現であるとともに、伝え聞いた人は思い出やその想いを共有することができます。」「「和歌」――という日本固有の詩形を尊び、1000年の長きにわたって継承してこられた天皇家へ嫁がれた皇后さま」


母と娘の情愛とこころの交流が、三十一(みそひと)文字の和歌から静謐な心地よい旋律となって伝わってくる。目を閉じてみると、言葉の余韻が音楽のように全身に響く。外国人は絶対感じられないと思う。民族のアイデンティティーや心の深層とは、言葉とその形式と分かち難く紡がれているのだと、改めて体で知った。


和歌が、親子の情愛を表現する詩形として、また四季の自然を表現する最小の言葉として本当に美しいと思った。海外に日本語教室を増やそうという政府・民間の動きが新聞で報道されているのを思い出した。日本への理解を広げる試みである。親子の情愛と自然への共感は世界共通である。和歌が日本大使となって、こころの交流が広がる夢が実現すればすばらしい。


もちろん、英語での日本情報の海外発信が不足なのが最大の課題である。実は英語の『家庭画報』国際版があるのをご存じでしょうか。私は、前職時代に海外のリーダーに贈呈し喜ばれた思い出がある。映像と言葉で日本を伝える質感のあるものを探して見つけた珠玉の贈りものであると信じている。



(2)和陶磁器収集-茶器とコーヒーカップ


私は茶道の習いはない。それでも、茶道に必須の陶磁器に興味を持ち始め10年程になる。九州出張の週末に唐津をゆっくり旅したことがキッカケである。日本茶碗とコーヒーカップを購入した。コーヒーカップは和陶磁器と言えるのか専門的分類は不詳であるが、私は産地論である。ささやかだが、日常生活の道具の美に新鮮な楽しさを覚えた。


その後、国内旅行時の陶磁器収集は密かな楽しみとなり、病みつきになる程の頻度はないが、自然に趣味のひとつになりつつある。各地の茶器は自宅に飾り、コーヒーカップは自宅隣のコーヒー専門店“フーデリア”に置いて頂いている。わがままな楽しみを味わっていることは、2007年8月9日エッセイ「OFFの充電は、コーヒーNO.1のナンバーワン」に詳しい。


(3)日本美術
  -日本一の「名園」と「名画」に出会った島根・足立美術館



趣味と聞かれて、旅行の次が美術館めぐりと答えることが多い。この10年程前から内外の美術館めぐりは、私の人生の一部になりつつある。美術品収集は、まだ序の口で、もっぱら鑑賞小旅行といった方が良い。海外旅行も、できるだけ美術館めぐりをしたいと計画する。美術ファンにとって、和洋あらゆるジャンルの美術に接することのできる日本は素晴らしい国だと思う。


 3年前、ゴールデンウイークに親子旅行で足立美術館を訪れました。「足立美術館には現在、日本、いや世界に誇れる財産がふたつある。一つは近代日本画の巨匠・横山大観の一代コレクションであり、もう一つは広さが一万三千坪にもおよぶ純日本庭園である。」(足立全康『九十坂越えてますます夢ロマン』財団法人足立美術館)

「大観美術館」と異名をとる日本一の横山大観コレクションに心を癒やされた。また、広大な日本庭園は米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」が実施した庭園ランキングで、2003年から5年連続で日本一に選ばれている。美味しい茶菓を味わいながら眺めた庭園の広がりと、職人の手入れの完璧さによる自然美と人工美の織りなす庭園芸術の粋。足立全康氏のロマンに触れると、人間の思いのすごさに感動し、しばし全身が震え、茫然と立ち止まる。


2年前、広島出張の帰りの週末に倉敷の大原美術館を訪れた。事業家大原孫三郎が日本最初に、西洋美術中心の私立美術館を設立した。工芸・東洋館を偶然観ることになった。和の秀作には、日常生活に美のうるおいを掲げた日本民芸運動の息吹が息づいている。一昨年夏、アメリカ東部の一人旅で、ボストン美術館、メトロポリタン美術館をめぐり、日本の絵画、陶磁器などの素晴らしい作品に出会い楽しい時間を過ごさせて頂いた。

数年前、前職時代に営業職業績優秀者30名余の研修旅行団長として、ハワイで数日滞在する時間があった。一人で半日自由時間を過ごしたホノルル美術館は、クック夫人がファウンダーのすばらしい美術館である。丁度、ある茶道家元の世界大会が同時期に開催され、数百年前から継承されている本当に貴重な茶道の歴史的道具の特別展示をみることができた。偶然の幸せにめぐり逢った。イタリア、フランス、スペイン、オランダ、ドイツ、東欧の旅行は当然西洋画であったが、アメリカ・日本では、和洋半々の美術を観る。



(4)祇園と「京都美味遺産」(『家庭画報』2月号)


 日本料理は、今や世界の人気料理の一つである。地域や季節に彩られ多種であり、紹介するまでもない。『家庭画報』2月号の、特別編集「雅の心を育んだ京都美味遺産」が面白い。私も、関西出張の週末に先輩と祇園で京都料理を楽しんだ思い出が懐かしい。銀座の女将に紹介されたからだろうか、有名な祇園の割烹であったが日曜日夜に京都祇園の雰囲気に酔うことができた。
第1部 「平安から現代までの京料理の歴史絵巻」が圧巻である。誌上ならではの再現企画である。歴史を知ると同時になにより楽しめるのが愉快である。 

 平安時代  清少納言を虜にした甘味
 室町時代  一休宗純の百年忌の精進料理
 桃山時代  千 利休の懐石
 幕末・明治 元勲の好んだ京の名物料理(山県有朋、伊藤博文、岩倉具視)
 昭和・平成 祇園の美食家が愛する京料理


第2部「京都の食通が選んだ京の名物料理100」は、地元のアンケートによる愛される料理100を紹介している。現代の京都人の好む、日本海側の地形が産する季節の和料理と文明開化を受け入れたハイカラ好みの洋食両方をみていると、京都散策と夜の祇園がまた恋しくなる。

第3部「味の名家に伝わる家庭料理」では、美味は、日本酒、味噌、酢、醤油という日本の伝統的味の源と切り離せないことを改めて教えてくれる。世界の多くの方にもっと味わってほしいと念願する。日本食品メーカーの粘り強い海外開拓の歴史ロマンをTVでみたことを思い出した。日本文化の地道な伝道者に尊敬の念を感じる。


(5)日本温泉-「旅鍋の温泉宿」(『和楽』2月号)


 外国人の日本温泉人気が急上昇のようだ。先日、ヨーロッパの経済人とのパーテーで温泉のことが話題となった。和食人気はもうかなり当たり前で、「温泉」は外国人にとって今ナウイ体験のようだ。ヨーロッパにも温泉があるではないかと挑発してみた。全然問題にならない、日本の温泉に勝るものはないと全員が大きな口で叫ぶ。日本に長く住む外国人は特にそうだった。『和楽』2月号は、さむーい今の季節に合わせてピッタリの「この冬、旅鍋に惹かれて」のタイトルで旅鍋の温泉宿を紹介している。ぽかぽかと心身を暖める鍋と温泉のダブル発想ですね。
 ふぐちり(大分県観海寺温泉)、かに鍋(石川県山中温泉)、あら鍋(壱岐湯の本温泉)、きじ鍋(群馬県梨木温泉)、すっぽん鍋(岩手県湯川温泉)、あんこう鍋(茨城県五浦温泉)、味噌鍋(京都大原温泉)、しょっつる鍋(秋田県戸賀温泉)


 今年の2月は寒さが続き、鍋がピッタリの季節である。暖かい部屋で湯上がりの温泉気分でジャパンポップスを聴きながら、脳の中に蓄積された『和』の体験を思い出してみました。明治の「文明開化」以来和洋融合が進み、今や、現代に生きる我々はどちらも生まれた時から現実であり、触れない原産地種文化自体は他国文化と同じに新鮮に感じるのだろう。知識はもちろんだが、心と体の深層に宿る言語と文化・伝統とは、教え、伝える行為が不可欠なことを痛感した。和美術専門の銀座一穂堂サロンが、3月ニューヨークにGallery IPPODO New York オープンの案内が来た。若々しく明るい活動的女性オーナーの挑戦に激励の拍手を送りたい。

以上

フーデリア上小店 さいたま市大宮区上小町1039 TEL048-643-8530

 〃   本 店  http://www.foodelia.com/

銀座一穂堂サロン 銀座1-8-17 伊勢伊ビル TEL03-5159-0699

         http://www.planup.co.jp

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