佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2009/05/18 絵図力・図解力の効用を学んだ“私の図歴書”

 まず首相官邸ホームページの資料(「デジタル新時代に向けた新たな戦略三カ年緊急プラン概要」内)「国民電子秘書箱構想」のイメージ図を見てください(下図参照)。私たちに大変関係あるインターネットでの国民サービス計画がわかりやすく図示化されています。不十分な点もありますが、相当に公的作業の電子化を進める計画がわかります。1枚の図解の大きな効果を感じませんか。情報通信分野3か年3兆円投資緊急プランの目玉のひとつです。関連情報は、2009年5月18日号TOPICS「重要情報!!情報通信分野へ三か年3兆円政府追加投資緊急プラン」をご覧ください。

 この10年、こういう図解を産学官あらゆる分野で推進をしている第1人者が久恒啓一先生です。私の30代、図による経営定規作り方の先進事例を教えてくれた城功氏。40代、スーパーエンジニアつまりコンサルタントの役割と心得を教えてくれたワインンバーグ氏。何よりも、少年時代に、手塚治虫さんの絵と言葉は大きな夢を与えてくれた。本を通じた大きな出会いである。
 
 先週は、「言葉力」をテーマにしましたが、今週は「絵図力」「図解力」について“私の図歴書”のタイトルで書いてみます。皆様の“図歴書”を思い出してみませんか。

 「国民電子秘書箱構想」イメージ図↓
首相官邸ホームページより「国民電子秘書箱構想」
 参考書籍 参考書籍

(1)少年時代番外編:絵と言葉の世界的コンテンツ「マンガ」~手塚治虫『鉄腕アトム』

 江戸東京博物館で「手塚治虫展」(~6月21日)が開催されている。是非行ってみたいと思っている。『鉄腕アトム』(参考文献6)の颯爽としたデビューは、少年時代の大きい夢を運ぶ出来事だった。生き生きとした表情と機敏な動きの絵。時空を越えた広い四次元世界。ハキハキしたリズム感のある言葉の速射砲。心弾む思い出である。絵と言葉による少年少女の漫画は、今や世界的コンテンツ、世界的文化に発展している。

 このエッセイに漫画が似合うかどうかは、よくわからない。絵図力という単語から直感的に連想したこともあるが、手塚治虫自身のマンガ論に頷くことがあったことも大きい。手塚さんは、マンガはアニメと違うと述べる。

「これは、僕の持論ですが、マンガというのはクロスカルチャーであると思います。そして、ぼくのいうマンガというのは、静止した絵からメッセージなどを表すもので、あくまでも紙面に印刷されて発表されるものであるのです。・・(略)・アニメーションというのは、映画のジャンルなんです。視覚芸術であり、劇場やテレビ、ビデオで見るというように、マンガとはメディアが全然違うんです。」(参考文献7:4~5ページ)

 漫画力の源泉について、よく理解できないでいたが、手塚さん自身の解説に出会った。リアリティーある絵の意味とマンガパワーの構造を説明している。

「マンガはよく夢を描いているからおもしろいっていうのですけど、これは言い方をかえると、マンガほど読んでいる人間をその世界に取りこんでしまうメディアはないということなんですね。自分が主人公になってしまうという錯覚を起こす。つまり同化してしまうんですね、その世界に。これは子どもマンガの独自の魅力なんですね。・・(略)・・同化できるのはなぜかというとね、非常にリアリティーがるからなんです。マンガには小説以上にリアリティーがあるとぼくは思う。小説というのは観念の世界ですよ。つまりひとつひとつの単語に全部読者がイメージづけなくては読めないわけです。・・(略)・・マンガの場合は、われわれが見ている実際の世界じゃないんだけれども、そこに立体的な新しい宇宙があるわけなんです。・・(略)・・空想の世界というより現実の世界なんです。だから読み手が非常にとけこみやすい。」(参考文献7:172~173ページ)
 

(2)30代:図解力触発したバイブル~城功『ソフト・マネジメントの方法』『見えないものが見えてくる「経営定規」の作り方使い方』

城功氏の読書ノート

 上図は、城功氏の読書ノートである。PCなかった時代に複写機での編集作品である。

『D・A・ドンデイス著「形は語る」(サイエンス社刊)を読んだ時に作った読書ノートです。「形は語る」とつけられている書名からも創造いただけると思うのですが、この本には沢山のイラストが出ています。・・(略)・・当然読書ノートも、イラストを中心にまとめなければ意味がありません。このような時、私は必要な図解を1ページずつ複写をし、必要な部分だけを切り抜きます。・・(略)・・切り取られた紙片は「B4」用紙に合わせてレイアウトし、解説を入れたり記号を入れたりして整理します。この再構築が非常に勉強になります。』(参考文献3:204ページ)

 日本能率協会チーフ・コンサルタントを経てマネジメント・サイエンス研究所を設立。流通産業の急成長時代に、IE(インダストリアルエンジニアリング)技術を基盤に製造業だけでなく当時のイトーヨーカ堂等流通企業を指導したコンサルタント城功氏。

 当時、同じ流通ビジネスで教育・TQC、人事等幹部を歴任した30代に学んだバイブルである。商業理論の一般のコンサルタントと違い、流通ビジネスに科学的経営改革の原理を提唱、ノウハウを創造していた。『ソフト・マネジメントの方法』(1978年)『見えないものが見えてくる「経営定規」の作り方使い方』(1982年)は、今でも書斎にあり、赤ペンの線引き跡が一杯である。

 日本技術連盟等と協力して、流通業のTQC活動を創造・展開した活動はなつかしい。 
 

(3)40代:絵と言葉のカップリング効果満点~ワインバーグ『コンサルタントの秘密』『コンサルタントの道具箱』

 40代でネットワーク業界に転じて、スーパーエンジニアつまりコンサルタントの役割を勉強している時に出会ったのが、ジェラルド・M・ワインバーク『コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学』。この本はまだ言葉中心であったが、絵とキーワードが一体で頭に残り印象的で秀逸であった。

『コンサルタントの道具箱』は、15年経って執筆した続編である。「そのワインバーグ氏が、問題解決や交渉術などコンサルタントの心得を「法則」にして軽妙なタッチで綴った」(参考文献5:259ページ)本である。各法則を絵と言葉とカップリングし、読者に優しい本に更に進化している。

一例を紹介します。読後、絵のイメージがはっきりと残り、言葉の意味も味わえます。素敵でしょう。
「イチゴジャムの法則」イメージ図
イチゴジャムの法則
「食パンにラズベリージャムをたっぷりのせても、塗り広げるとどんどん薄くなる。ところが、イチゴジャムで同じことをしてみると、どれほど塗り広げようとしても、イチゴの粒が残ることに気がつくはずだ。これこそが「イチゴジャムの法則」である。・・(略)・・イチゴジャムに粒があるように、すばらしいメッセージには話し手がある。しゃべったり書いたり抱きしめたりと、自分自身の体を使って濃厚なメッセージを伝えれば、広げても際限なく薄まることはない。」(参考文献5:3ページ)

ブドウゼリーの法則
「今はイチゴジャムの時代ではない。アメリカのレストランでトーストによくついてくるのは、粒どころか、小さな種も入っていないペースト状のブドウゼリーである。味もまるでない。だから苦情もでない。・・(略)・・ブドウゼリーなら不測の事態は起きないし、製造コストもイチゴジャムより安い。この二つの特徴を組み合わせると、「ブドウゼリーの法則」になる。」(参考文献5:4ページ)

(4)50代:図解思考の効用がこの1冊でわかる~久恒啓一『図で考える人は仕事ができる(実践編)』

 久恒啓一先生は、「図解思考」の全国的普及活動をしている。2008年4月より多摩大学経営情報学部教授に就任。2009年4月より多摩大学総合研究所所長。またNPO法人知的生産の技術研究会理事長として活躍中である。

2002年5月『図で考える人は仕事ができる』、12月に『図で考える人の図解表現の技術』、そして2003年8月『図で考える人は仕事ができる(実践編)』とシリーズ三部作を出版して以来、「図解思考」は産官学に広範に浸透しつつある。

『図で考える人は仕事ができる(実践編)』(参考文献1)は、36のケースを取り上げ、どんな図が使えるかの実践事例を示している。目次が、その36ケースである。

1章 理解力や実行力を高める
  1文章を図読する 2努力目標を図解する 3社是・社訓・理念を図解する
2章 会議の効率をよくする
  4会議の進め方を図解する 5会議の資料を図解する 6会議の報告書を図解する
3章 相手にうまく伝える
  7上司への報告を図解する 8プレンゼンテーションを図解する 9「お知らせ」を図解する
4章  商談を円滑に運ぶ
  10セールス活動を図解する 11営業活動を図解する 12ビジネス交渉を図解する
5章  仕事の生産性を上げる
  13仕事の攻め方を図解する 14仕事のスケジュール管理を図解する 15職場の年度目標を図解する
6章 企画力を強くする
  16図解でアイデアを出す 17企画立案を図解する 18企画書を図解する
7章 問題解決力や論理力をつける
  19図解で問題を把握する 20図解で問題を解決する 21 図解で改善する
8章 事業構想を成功させる
  22プロジェクト推進を図解する 23新規事業を図解する 24事業計画を図解する
9章 PR効果を高める
  25案内板を図解する 26広報活動を図解する 27広告を図解する
10章 魅力のあるホームページをつくる
  28個人のホーページを図解する 29物品販売のホーページを図解する 30会社案内のホーページを図解する
11章 教育の現場に生かす
  31授業(英語)を図解で教える 32教材を図解にする 33 学習発表を図解で行う
12章 公共的な生活環境をよくする
  34役所の仕事を図解する 35「交通安全」を図解する 36「患者のための病院」を図解する
以上

(参考文献)
1. 久恒啓一『図で考える人は仕事ができる(実践編)』(日本経済新聞社 2003年)
2.城功『ソフト・マネジメントの方法』(産業能率短期大学出版部 1978年)
3.城功『見えないものが見えてくる「経営定規」の作り方・使い方』(PHP研究所 1982年)
4.ジェラルド・M・ワインバーク『コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学』(共立出版 1990年)
5.ジェラルド・M・ワインバーク『コンサルタントの道具箱』(日経BP社 2003年)
6.手塚治虫『鉄腕アトム』(講談社 手塚治虫漫画全集 1981年)
7.手塚治虫・石子順『手塚治虫 漫画の奥義』(講談社 手塚治虫漫画全集別巻9 1997年)

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