佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

 INDEX 

2009/05/25 経済の先見力を常に求め続ける~21世紀はデフレ!

 「経済を見誤ると人生を見誤る」(参考文献3:1ページ)。21世紀はデフレであると以前から予見していたエコノミスト二人の新著を読んだ。やっと世界の多くの人々がデフレ基調を自覚しつつある。皆様はどう思っていますか。

 2008年10月17日BIエッセイ『エコノミストランキング6年連続第1位の著者が語る経済の真実』でみずほ証券チーフマーケットエコノミスト上野泰也氏の著書『デフレは終わらない』(参考文献3)を紹介した。需要サイドからのデフレ分析であり、続編『虚構のインフレ』(参考文献2)は供給サイドからのデフレ分析であった。その上野氏の新著『「依存症」の日本経済』。(参考文献1)日本経済の現状を10の「依存症」という切り口で観察している。

「経済に限らず、社会現象一般は、繰り返しがない。ということは、自然科学と違って社会科学には、正確な意味での実験ができないということを意味する。だが、現実の問題としては、いつの場合においても、すべての社会活動にとって、先見性、すなわち先を予測することが不可欠である。」(参考文献5:49ページ)
国際エコノミスト長谷川慶太郎氏の厳しいが当然の自他への警句である。その長谷川氏の新著『日本は「掃き溜めの鶴」になる』。(参考文献4)世界経済100年を概観し、経済危機後を予測する。
参考文献

(1)エコノミストランキング6年連続1位の上野泰也『「依存症」の日本経済』

 日本経済の未来への思いが、エコノミストらしく綿密な事実の把握に力を注ぐ。数字とグラフがわかりやすい。10の「依存症」という切り口はわかりやすいが、私には従属とか善悪の意味でなく、経済的に強い関連、繋がりという意味で使っていると思われる。処方箋を一緒に考えようという温かく、心広い姿勢にも多くの方が共感するのであろう。また、政策として少子化対策の重要性を今回も強調している。

 目次(10のテーマ分析)
 第1章:日本の個人消費は「女性依存」~婦人服売上高にカギがある
 第2章:お父さんのこずかい減少でわかる「交際費依存」体質~「消費弱者」に逃げ場はあるのか
 第3章:なお残る「建設業依存」と構造調整圧力~中小・非製造業は生き残れるのか
 第4章:食料の「海外依存」は本当に問題なのか~40%の食料自給率が意味するもの
 第5章:緩和への熱が冷め「規制依存」に逆戻りする日本~このままでは国ごと沈んでしまうのか
 第6章:教育はどこまで「学習塾依存」を強めるのか~ゆとり教育が生んだ3つの弊害
 第7章:景気判断や買い物で「マスコミ依存」する日本人~景気の波と報道の影響力の関係
 第8章:投資に移行しにくい家計運用の「預金依存」~間接金融中心で何が悪い?
 第9章:主導権を握れず「外国人依存」が続く金融市場~ブレークスルーを生む政策を打ち出すために
 第10章:日本経済はやっぱり「米国依存」~否定された「デカップリング論」

(2)省エネ型成長日本、冷戦終結、21世紀デフレ予測した長谷川慶太郎『日本は「掃き溜めの鶴」になる』

 いつも、長谷川氏の分析は具体的で明快である。数年間、毎月ある会合で先生から直接解説をお聞きする機会があった。新著は、下記の目次の通り100年単位の経済評論を縦横に展開しながら、同時に近時の予測が新しい。米国の消費者市場は、5月から節度ある回復を始めると述べる。物価は下がるが、日本経済は繁栄すると予見する。

目次
第1章:経済危機の本質を見誤っていないか
第2章:デフレとは何か
第3章:二十世紀の特徴~戦争と革命が連続した時代
第4章:二十一世紀の世界~インフレからデフレへの転換
第5章:日本の先駆性~戦後の改革とその成果
第6章:日本経済の「不況抵抗力」

●金融危機の原因は、「インフレ幻想」
「今度の金融危機の原因は、今世紀に入ってすでに本格化していた「デフレ」の定着の影響が、急速に金融市場の崩壊をもたらすとの認識が、ビジネスマンはもちろん、政府の経済政策担当者にまで欠けていた点にある。ほとんどの経済人は、「インフレ幻想」に支配されていた。その典型が「サブプライムローン」である。・・(略)・・この「ハイリスク」の商売を拡大させて要因が「証券化」の登場である。・・(略)・・こういう金融商品が市場で安心して売買された前提条件は、「インフレ幻想」である。」(参考文献4:3~4ページ)

● 米国消費者のデフレ対応は進んでいる。 
「二〇〇八年九月の「リーマン危機」以来、必要最小限度の生活を維持するための最低限度の食料品、あるいは日用品の買い入れに「クレジット・カード」を利用するという姿勢に、いっせいに全米の消費者が転換しはじめ、それが効果をあげつつあるのである。」(参考文献4:127~128ページ)

● 回復しはじめた米国「消費市場」
「おそらく二〇〇九年四月には、ほぼすべての米国の消費者はこうした「インフレ幻想」の持ち主ではなく、むしろ逆に徹底した消費の削減努力に成功する事態がだいたい固まったのではないかと思われる。さらに五月に入れば、オバマ政権が打ち出した八二五〇億ドルの「不況対策予算」のなかの最大項目、二七五〇億ドルの「減税」によって、「連邦政府の小切手」がどの家庭にも次々と舞い込んでくる。・・(略)・・ということは、五月から米国の消費者市場はある程度、回復の方向に向かっていく。」(参考文献4:128~129ページ)

 昨年のBIエッセイは、「100年の知恵を学ぶ」がキーワードであった。偶然に“100年に一度といわれる金融危機”が発生した。世界中のすべての個人、企業、国がその原因の解明と克服に対処している最中である。誰もがマクロ経済への先見力の重要性を痛感している。世界中の人々が、100年の智恵を求めて“調べる、学ぶ、考える、行動する”昨今である。
以上

 (参考文献)
1.上野泰也『「依存症」の日本経済』(講談社 2009年1月)
2.上野泰也『虚構のインフレ』(東洋経済新報社 2008年10月)
3.上野泰也『デフレは終わらない』(東洋経済新報社2008年5月)
4.長谷川慶太郎『日本は「掃き溜めの鶴」になる』(PHP研究所 2009年6月)
5.長谷川慶太郎『大上昇気流に乗る10の至言』(KKベストセラーズ 2009年5月)

トップへ

サービスのご案内

無料相談会

お問い合わせ

コラム「ミニ講座」

BIエッセイ

特集コラム

採用情報

無料メルマガ

無料メルマガ
BIPニュース
配信中!

BIPからのお知らせ、ビジネスに役立つ情報、佐々木昭美のBIエッセイ要約等、月2回配信!

メールアドレス:

東北復興支援

ページ上部へ戻る
Top