佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2009/06/01 映画「天使と悪魔」を観ましたか?本と映画、二重の楽しみはいかがですか

 トム・ハンクス主演映画『天使と悪魔ANGELS & DEMONS』を観ました。実に面白かったですよ。3年前に観た映画『ダ・ヴィンチ・コード』はもの足りなかった記憶が残っていて、余り期待していませんでしたが、今回は進化がすごい。2時間18分連続してスリリングな楽しい時間を過ごしました。仕事の息抜きに最適です。

10数年前に家族旅行で訪問したあのバチカン市国が舞台である。若いスイス衛兵がいて、暑い夏で半ズボンの娘が長いスカートを借りて巻いた記憶がある。

新ローマ法王が選ばれる神聖な儀式のその時、秘密結社イルミナティが、今にも教皇候補の暗殺を計画しているという。宗教象徴学者ラングドンと科学者ヴィットリアは、その計画を解く鍵であるバチカン書庫にあるガリレオ文献の発見と解明に挑む。

映画の余韻の中で、原作『天使と悪魔』を一気に読んだ。ダン・ブラウンという作家に興味をもった。しばらくぶりで、私は、映画と本の順番で二重の楽しみを味わった。既に本を読まれた方は多いでしょうね。
映画館にて 参考文献

(1)トム・ハンクス主演 映画『天使と悪魔』

 息詰まる展開に心臓と頭脳が震動する。イルミナティ、反物質。宗教と科学を帯びた謎めいた言葉が現実に存在する驚愕。ハーバード大学宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授役のトム・ハンクス。時間がない!長い足が疾走する、明晰な頭脳が回転する緊迫感。生物物理学の女性科学者ヴィットリア役のアイェレット・ゾラー。強い意志と知性を感じる美貌の顔立ちと魅惑的な目が伝える怒り、恐れ、期待、絶望、安堵、喜びの臨場感に引き込まれる。最後のドンデン返しまで、推理の楽しみも満載である。

 映画『天使と悪魔』公式ホームページサイト(参考文献1)で、映像と音声交えてイメージを描いています。参考になると思います。(『天使と悪魔』公式ホームページサイト  http://www.angel-demon.jp/)

また、映画メディアである「シネマトウディ」は、ホームページでこう紹介している。
「ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演の大ヒット作、『ダ・ヴィンチ・コード』の続編となる歴史犯罪ミステリー。イタリアのローマで400年の時を超えてよみがえった秘密結社・イルミナティによるバチカンへの復讐(ふくしゅう)を阻止するべく、ガリレオの暗号コードに挑む宗教象徴学者・ラングドンの活躍を描く。ヒロインには『ミュンヘン』のイスラエル人女優アイェレット・ゾラーを抜てき。ほかにユアン・マクレガーやステラン・スカルスガルドなど、国際色豊かな実力派俳優たちが脇を固める。原作の張り詰めた緊迫感を、より臨場感たっぷりの映像で見せてくれることに期待したい。」(参考文献2)

(2)ダン・ブラウン著 越前敏弥訳『天使と悪魔 上・下』

 原作を読み、ダン・ブラウンはすごい作家だと一層興味を持った。

タイムリミット・サスペンス(参考文献3:表紙カバー)という言葉を初めて知ったが、その通り内容と構成が緊迫感もって一気に読ませるサスペンスエンターテイメントである。TV報道局のディレクターが、多くの進行する現場を編集しながら報道するように場面が瞬時に切り替わる。最後は、137コマである。

『1 ギザの大ピラミッドのはるか頂上から、若い女が笑いながら呼びかける。「ロバート、さっさとして!まったく、もっと若い男と結婚すればよかったわ」その笑みは魔術だ。』(参考文献3:12ページ)
『2.「興味を持っていただけましたね」ようやく電話に出たラングドンに、男の声が言った。』(参考文献3:17ページ)
『3.数千マイル離れた場所で、ふたりの男が落ち合っていた。中世風の、暗い石造りの部屋だ。』(参考文献3:19ページ)
『137.コロセウムの階段のいちばん上から、ヴィットリアが笑いながら呼びかける。』(参考文献4:334ページ)

しかも、宗教と科学の深い専門知識がバックボーンにあり、結果としてではあるが歴史や科学を多くの人々に知ってもらう教養小説にもなっている。その映画化の影響力はもっとすごいと思う。主演のトム・ハンクスは、その点をインタビューでこう答えている。

『Q:今は科学の学力の低下が問題になっていますが、「天使と悪魔」のような作品によって、少しでも子どもたちが科学に興味を持つようになると思いますか?

A:「イエス」と答えたいところだけれど、ダン・ブラウンの描く科学は反物質を使ってローマの上空で大爆発を起こし、人々に衝撃を与えるっていうところがまずいね。でも現実は・・(略)・・セルンにはものものしい警備はないよね。それは、何も盗むものがないからだ。盗むべき秘密もない。たとえ誰かがセルンの秘密を持って逃げたとしても、光の速度で機能する粒子衝突器を建設するのに4,500億ドル(約45兆円)が必要なわけだ。でも、この映画を作ることによってセルンの活動を広め、何かいいことが起こるきっかけになるとしたら、映画の力は偉大だと思うよ。ささいなことを映画がカッコよく見せる力を侮ってはいけない。粒子とは一体何かを理解できる子どもたちもいるだろう。この映画を観た後、化学や物理の時間に「『天使と悪魔』に出てきた大型ハドロン衝突型加速器みたいなのはここにないの?」って聞く子が、必ずいるよ。先生は目を白黒させて「はいはい、粒子加速器みたいなものならありますよ」って答えるかもしれない。素晴らしいことだよ。素粒子物理学なんて、理解できる人は誰もいないよね(笑)。僕らはみんなこれに惑わされる。いったいここで何が行われているのかを説明するために、それに似た物やメタファーを探すのに苦心しているんだ。』(参考文献2)

 更に、その事実性への完璧さに舌を巻く。本のトップページの著者注記を読んでほしい。
 「ローマの美術品、墓所、地下道、建築物に関する記述は、その位置関係の詳細を含めて、すべて事実に基づくものである。これらは、今日でも目にすることができる。イルミナティに関する記述もまた、事実に基づいている。」(参考文献3:7ページ)

ダン・ブラウン自身が、ラングドン教授ではないのかと思えてくる。小説の一人称が設定されると、小説は動き出すという話を聞いたことがある。

実は、出版された四作を米国での刊行順に並べると,以下のようになる。
Digital Fortres (1998) 日本語訳『パズル・パレス 上・下』(角川書店2006年)
Angels & Demons (2000)日本語訳『天使と悪魔 上・下』(同上 2003年)
Deception Point (2001)日本語訳『デセプション・ポイント 上・下』(同上 2005年)
The Da Vinci Code (2003)日本語訳『ダ・ヴィンチ・コード 上・下』(同上 2004年)
以上

(参考文献)
1. 映画『天使と悪魔』公式ホームページサイト http://www.angel-demon.jp/
2. 「シネマトウディ」ホームページ http://cinematoday.jp/index.html
3. ダン・ブラウン著、越前敏弥訳『天使と悪魔 上』(角川書店 2003年)
4. ダン・ブラウン著、越前敏弥訳『天使と悪魔 下』(角川書店 2003年)

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