佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

 INDEX 

2009/06/08 情報通信月間に寄せて~「グリーンIT完全理解!熱と省電力に挑む」を読みましたか?

 情報通信月間(5/15~6/15)である。情報通信業界も大きなテーマの一つは、グリーンITである。ITproグリーンIT取材班『グリーンIT完全理解!熱と省電力に挑む』(参考文献1)は、グリーンIT理解に役立つ本です。ちょっと、専門的要素が多いですが、情報通信月間に免じてお許し願いたい。2008年6月に出版され、すぐ買って読んだ。

今回、改めて皆様に紹介しようと思った理由が2つある。
 
私は、7年前に、グリーンITの基盤であるITファシリティビジネスモデル創造に関わった。幸いにも成功し、大きな先進的貢献をする機会に恵まれた。実際に体験して、今や情報通信業界は、ITファシリティー技術格差が企業競争力の格差の大きな要素になっていることを改めて深く理解して頂きたいと思った。

 日本は、固定系、モバイル系ブロードバンド普及の先進国である。世界の「ガラパゴス島」ではなく、世界の情報通信先進国「未来島(フューチャーアイランド)」だと思っている。先進国経済苦境の根源にエネルギー高騰があることが世界の人々に認識され、エコへの価値観転換は加速している。シリコンバレーのベンチャー投資の40%は、環境、とりわけ省エネシステム開発に集中している。情報通信先進国日本は、グリーンITで先進国になれるのか。世界への模範を発信する絶好の舞台である。また、事業革新の豊穣な市場を提供している。多くの方に、グリーンITへのイニシアチブをお願いしたい。
参考文献

(1) ITファシリティー技術格差が、情報通信業界の競争力格差の時代

 私は、ネットワーク業界で2002年からITファシリティー、つまり自前あるいは商用データセンターの有線・無線システム、電気、空調、耐震、建物という物理基盤ソリューションのビジネスモデル創造に関わった。当時、ネットワークファシリティーエンジニアリング(略称NFE)という概念を開発した。今や、ITファシリティーという概念に発展している。事業領域の垂直統合と水平統合にチャレンジし、数年間年率30%の事業成長をもたらし、ビジネスモデル革新につながった。ハイブリッドSE(システムエンジニアリング)である。

 IDCを基盤に上位層からの垂直統合アプローチもあり、私はハイブリッドSI(シンステムインテグレーション)と称している。Saas,クラウドコンピューティングへの基盤を提供している。

 IT基盤への投資は、大きく5つに大別される。①建築物(内装含む) ②電気・空調・耐震設備と電気代 ③有線ケーブルシステムと無線システムの通信基盤 ④IT機器とその維持費 ⑤運用人件費である。

 情報通信のIPパケット(インターネット上で送受信されるデータの単位)は毎年20~30%増加している。映像増加と共に加速される。同じ速度での、ルータ、スイッチ、サーバー、ストレージ、電気・空調設備の増加は、物理的にも、経済的にも不可能である。

必要は発明の母であり、この分野の技術革新は急速である。技術革新は、当然事業機会の土壌であり、ビジネスモデル改革の機会である。各領域別の事業会社が併存した時代から、IT基盤トータルソリューションの設計、施工、運用ができるハイブリッドSI(システムインテグレーション)、SE(システムエンジニアリング)の黄金時代である。
詳細は、講演テキストをご覧頂きたい。
 講演(L1)「NGN・MBB時代におけるハイブリッドSI・SEの黄金時代」
 講演(L4)「ビジネスモデル革新と経営革新の成功事例に学ぶ」

(2) 情報通信先進国「未来島」日本は、グリーンITでも先進国へ

 2008年5月にグリーンIT推進協議会主催のグリーンIT国際シンポジウムが開催された。その場で、グリーンIT推進協議会は、米国のITの省エネルギーを目指す非営利団体「Climate Savers コンピューテング・イニシアチブ(CSCI)」とデータセンターの省電力化を目指す業界団体「グリーン・グリット」と長期的協力関係を築くことで合意したと発表された。

 グリーンITは、3つの取り組みと言われる。
「1つ目は、・・(略)・・サーバーなどのIT機器やデータセンターの省電力化に取り組むことだ。2つ目は、ITを利用することでビジネス・プロセスや産業構造、さらには社会構造を変革し、資源エネルギー効率を高める仕組みを作るアプローチである。例えば、遠隔ビデオ会議システムやSCM(サプライチェーン・マネジメント)の活用で、人やモノの移動を効率化するというものだ。3つ目は、IT機器の3R(Reduce,Reuse,Recycle)を進めること。」(参考文献1:21ページ)

『グリーンIT完全理解!熱と省電力に挑む』の構成は、以下の通りである。
第1部 初級編
1. 今なぜグリーンITなのか 
2. グリーンITの3つの取り組み
3. ITを活用してCO2排出量を削減する
4. 事例:目で見るCO2排出削減
5. IT機器の廃棄/リサイクル

第2部 トレンド編
1. 今から始めるグリーンIT
2. 数字で測るグリーンIT
3. 米国で相次ぐ巨大データセンター

第3部 技術解説編
1. グリーンITを支えるテクノロジ
2. 省電力プロセサと消費電力制御技術
3. PCサーバー、UNIXサーバー
4. ブレード・サーバー
5. ストレージ
6. 電源とUPS
7. プロセサやラックに施す冷却技術
8. 仮想化がグリーンITに寄与する
9. データセンターの取り組み

 付録1 データ/資料集 
 付録2 キーワード解説
 付録3 グリーンIT腕ためし

 あらゆる分野の経営陣・幹部・一般社員の誰でも理解できるように良く説明している。グリーンITに関わる網羅的理解ができる良書であると思う。是非、手に取って頂きたい。
以上

(参考文献)
1.ITproグリーンIT取材班『グリーンIT完全理解!熱と省電力に挑む』(日経BP社 2008年6月)

トップへ

サービスのご案内

無料相談会

お問い合わせ

コラム「ミニ講座」

BIエッセイ

特集コラム

採用情報

無料メルマガ

無料メルマガ
BIPニュース
配信中!

BIPからのお知らせ、ビジネスに役立つ情報、佐々木昭美のBIエッセイ要約等、月2回配信!

メールアドレス:

東北復興支援

ページ上部へ戻る
Top