佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2010/04/05 群集の桜笑顔に溢れる4月「新年度」スタートに寄せて

 日本には1月「新年」と4月「新年度」があり、“新しい事始め”が年2回ある国ですね。
学校・大学は4月入学、国・自治体も4月新年度であり、企業も4月新年度が多い。TVの4月新番組も多いが何故かは知らない。

 1年という季節のサイクルに合わせて、先人は仕事と生活を組み立ててきました。現実に日本で4月が年度の変わり目になったのは明治の中頃なのだそうです。

桜の花見の時期が、卒業や入学、入社、年度初めと時期的に重なっているのが日本らしい。桜列島日本の春は、群集の桜笑顔に溢れる。

(1)4月1日入社式~新入社員の明るく弾ける笑顔

参考新聞
 日本経済新聞2010年4月2日号(朝刊)は、入社式トップ訓示を報道しています。危機モードから脱却し、新たな成長戦略やグローバル化推進に通用する人材へ期待する声が多かったという。

 NTT三浦社長   ネットワークキャリアからサービス創造企業へ
 日立製作所中西社長 新興国の発電所・交通網等社会インフラ整備はビジネスチャンス
 パナソニック大坪社長 新興国中間所得層攻略。世界に通用する専門能力を
 武田薬品長谷川社長 世界30カ国販売体制の確立
 三菱自動車益子社長 相矛盾する「環境先進技術」と「コスト低減技術」に挑戦

 私の4月入社式への関わりは変わったが、新入社員に対する「我が子の旅立ち」のような熱い思いは変わらない。

 昔、人事や教育の責任者をしていた時代は入社式の主管部門としてあらゆる準備に奔走し、短時間だが緊張した入社式を無事終了した時にはホッとしたものである。何よりも新入社員の明るく弾ける笑顔と純粋な若々しいエネルギーが組織をリフレッシュしてくれることを知った。入社式は大事ですね。

 役員や社長となってからは、挨拶や入社時教育の講話で何を話すかを思案した記憶が強い。社会や仕事の深さ、広さ、面白さ、厳しさ、厚遇、不遇、成功、失敗等を知らない世代に何を伝えるべきなのだろうか。上記の訓示の如く会社の方向を明確に示すことは当然である。

 同時に「笑顔」「夢」を失うなと言ったと思う。その後、「朋」を加えた。『朋(とも)』は、「いつも親しく交わっている仲間」(新潮日本語漢字辞典)という意味はもちろんであるが、もっと広がりをもった気持ちを込めている。何よりも多くの人との出会い、再会、交流を通じて、公私の“人の絆(縦横な人的ネットワーク)”そのものが人生ではないかと現実の体験で感じたからである。男女を問わず『朋(とも)』との出合いほど心躍るものはない。

 産経新聞2010年3月26日号「小さな親切 大きなお世話」のコラムの中で、作家の曾野綾子さんが日本人の挨拶しない傾向を危惧して述べた言葉が忘れられない。

 「私は生涯に実にすばらしい人たちに会い、ほんの数分の間にも小説の一部分になりそうな会話を交わしたことも多い。それは多分、平凡な挨拶から始まったのだ。挨拶なしに、生涯記憶に残る会話や運命を変えそうな出会いに発展することなど、ほとんどないのである。」(参考文献5)

 その点では、単なる「笑顔」を「笑顔で挨拶」に表現を変えて伝えた方が良いかもしれない。

「笑顔」「夢」「朋」は、今私のモットーとなっている。忘れないように携帯電話の長文メールアドレスにもその言葉を使っている。モットーとは、入社式の時に年1回話すだけのものではなく、携帯電話のように毎日使うものだと思います。皆様のモットーは何でしょうか?
 

(2)4月1日新計画、新予算、新組織、新人事~新リーダーの自信と責任感溢れた笑顔

参考書籍
 多くの企業は、3~5年毎の中期経営計画を基本に、1年間の変化を修正して新事業計画と新予算を策定する。最近、企業様への助言、支援をしていて気になることは、経営企画、財務経理中心で事業計画、事業予算を作成する傾向があることです。詳細は今回論じませんが、企業経営は、販売、製造、開発、研究が事業開発と経営管理の中心であるべきです。もちろん、経営管理部門の役割は私も公開企業でその責任者を担当したのでよく理解しているつもりですが。

 その点について、元信越化学(株)常務で財務経理を長年担当し独立した経済評論家・経営評論家金児昭氏の著書『「利益力世界一」をつくったM&A』はすばらしい本だと思います。実録小説風で大変読み易く、現代における企業経営の王道を具体例を示して詳細に説いています。企業会計では、経営会計(管理会計)80%、制度会計(財務会計)20%と経営会計を重視すべきことも強く指摘しています。

 新組織、新人事はその実現のために行う。もちろん、各自のキャリア形成を深慮に考えるのが日本企業の長所であるが、その余裕は厳しい中でも堅持してほしいと願っています。
 新リーダーの笑顔は、一見難しいが内外に大きな影響を与える。自信と責任感を持った笑顔を自然につくれるリーダーは素晴らしい。見識はもちろん、実践を伴った胆識家でありたい。

 新人事は悲喜こもごもと言われるが、個人の将来に関わるという意味ではその通りであるが、企業内世界だけの時代でなくなりつつあり、企業外世界でのキャリアの可能性が増えた。特に、転職を勧めているわけではないが、必要な場合があることも事実である。欧米だけではなく日本でも、「医者」「弁護士」と同時に「エグゼクティブサーチ(幹部人材紹介業)」は必須であると言われるようになった。自分が切り拓いた足跡が道なのかもしれない。


 現代は、左遷が新たな成功の起爆剤となって人生をつくる方がいるのも事実である。○勝△敗と、負けのない人はいない。「七転び八起き」、最後に舞台に立っていれば良い。Jリーグ初代チエアマン川淵三郎『「51歳の左遷」からすべてが始まった』は、苦境でも負けずに、不遇をチャンスに変えた体験を赤裸々に書いており、ビックリするくらいである。

 よく「権限」があればできると暗に昇進・昇格を主張する中堅幹部が意外と多い。そういう方は「権限」を与えてもできないことが多いように思います。まずは、「パワー(権限)」の前に「オーソリティー(卓越性)」を内外で持つことである。どんな分野や職種であれ「日本一」「世界一」の「オーソリティー」を目指すことである。「パワー(権限)」はその後に付いてくることが多い。

(3)桜列島日本(1月沖縄一番早い開花~6月根室一番遅い開花)~職場、地域、家族が集う笑顔

桜 桜 参考資料
 4月初旬に都内の桜が満開になりました。弊社は1月「新年度」であるが、私もパートナー・スタッフと一緒に、靖国神社・千鳥が淵の満開の桜の中で、そして群集の桜笑顔の中で「花と団子」を楽しみました。

 讀賣新聞2010年3月25日号(夕刊)、産経新聞2010年4月2日号(朝刊)に、国際日本文化センターの内外都市文化研究の権威である白幡洋三郎教授の「花見と桜」に関する記事が掲載された。花見という独特の雰囲気は日本にしかない習慣・文化だという。

 「日本の花見を構成する重要な3要素は、群桜(ぐんおう)と飲食、群集というのが私の持論です。1本とか数本のサクラではなく、群れ咲く花の下で大勢の人々が、詩歌などの教養ではなく飲食を伴いながら愛(め)でる。長屋の花見のような都市民衆文化の光景が広まったのは、江戸時代の享保期のことです」(参考文献4)
   
 全国にいる読者の方々を考慮し、日本のサクラ前線の北上を調べてみました。最近3月20日に出版された丸谷馨(まるやかおる)『日本一の桜』が詳しい。

 日本一早く開催されるのが沖縄県の桜まつり。1月後半から2月前半にかけて行われます。通常、桜前線の標準木は染井吉野ですが、沖縄県では台湾、中国南部を原産とする寒緋桜(かんひざくら)なそうです。

 九州長崎県には、重弁で華やかな大村桜と玖島桜の名勝地があります。3月下旬から染井吉野が咲き、4月の大村桜に合わせて桜まつりが開催されます。

 京都は日本で最初に花見が行われたところだという。京都御所の左近の桜、円山公園の祇園枝垂れ桜、清水寺の山桜・染井吉野、平安神宮の八重紅枝垂、「哲学の道」の桜並木、祇園白川のライトアップされた宵桜など。3月から4月は京都市内の至るところが桜、桜、桜である。

 奈良県吉野山一帯は、古(いにしえ)からの桜の聖地で、今では約200種、3万本を有するといわれます。その多くが白山桜という品種である。4月上旬から下旬に見頃となる。

 東京は、徳川吉宗時代に上野に加え、飛鳥山、隅田堤、品川御殿山、小金井に植樹し、庶民に広がった。現代の名桜地は、新宿御苑、靖国神社・千鳥ヶ淵、六本木アークヒルズ外周の桜坂・スペイン坂等。3月下旬から4月上旬満開となる。

 長野県伊那市にある高遠公園は、吉野山、弘前公園と並んで日本三大桜名所といわれます。高遠固有の「タカトオコヒガシザクラ」命名され、4月上旬から中旬に盛りとなる。

 4月下旬から5月上旬は、津軽平野に広がる「弘前さくらまつり」である。人手は日本一で200万人を超え300万人に近づいているという。桜満開と好天の重なったピークには、18万人の城下町に50万人近くが訪れるという。

 6月上旬、日本で一番遅い花見が北海道根室市である。南千島や樺太に自生する千島桜が咲く。

 1月沖縄から6月根室まで、新暦で冬から夏の半年の間、日本列島は桜列島である。満開の群桜と群集の桜笑顔に出会う花見は本当に毎年楽しみですね。

以上

(参考文献)
1.金児昭『「利益力世界一」をつくったM&A』(日本経済新聞出版社 2007年9月)
2.川淵三郎『「51歳の左遷」からすべては始まった』(PHP新書 2009年7月)
3.丸谷馨『日本一の桜』(講談社現代新書 2010年3月)
4.讀賣新聞2010年3月25日号(夕刊)
5.産経新聞2010年3月26日号(朝刊)、4月2日号(朝刊)
6.日本経済新聞2010年4月2日号(朝刊)

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