佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2010/09/27 未踏の金字塔!心躍る「努力の天才」イチロー10年連続200本安打!

 イチロー選手、遂にやりましたね。9月23日、マリナーズのイチロー選手がトロントでのブルジェイズ戦で5打数2安打して自らの大リーグ記録を更新する10年連続200本安打を達成しました。「未踏の金字塔」と書いた複数新聞の通りすばらしい偉業ですね。

「おめでとう!」「すばらしい!」「すごい奴だ!」「よくやってくれた!」などいろいろな思いがこみ上げてきました。今年は心配した時期もあり、「よかった、よかった。」とファンの一人として安心もしました。

 仕事帰りに普段は見ないスポーツ新聞も買って読みました。各紙はどんな記事を書くのか楽しみであり気がかりでもありました。私には普段ありえない行動です。私が25日(土)夕方からこのエッセイを書いていたら、翌日26日(日)には、読売新聞、産経新聞が祝意の社説を掲載しました。日本国民多くの思いを感じ取ってくれたと大変嬉しい気持ちになりました。

 私にとってのイチロー選手は、もちろん私より若い36歳ですが、ファンであると同時に憧れの「努力の天才」「プロフェショナルの鏡」なのです。
参考資料 参考資料

(1)「前人未踏の金字塔!」 新しい記録に黙々と挑戦し続けるイチロー選手

【シーズン200安打の連続年数記録】
参考資料

【シーズン200安打の達成回数記録】
参考資料

 イチロー選手は、昨年米国大リーグ9年連続シーズン200安打を達成し、W・キーラー選手の持つ8年連続記録を超え、新記録を樹立しました。そして、今年更に10年連続シーズン200安打の新記録を達成したのです。まさに「前人未踏の金字塔」ですね。

 シーズン200安打達成10回の記録は、大リーグ記録通算4,256安打を放ち「安打王」といわれたピート・ローズに並ぶ最多記録となりました。「安打王」ローズでさえ、在籍24年間で10回だったというのですから、どんなに大変なことなのかを強く感じさせられますね。

新聞報道によるとイチロー選手は、“10年連続200安打の達成感は”の質問にこう答えています。
「かんたんじゃないことは僕が一番知っている。それなりの思いがある。」

(2)私の好きなイチロー選手:「努力の天才」「プロフェショナルの鏡」

【イチロー選手200安打達成日】
参考資料

私も若い頃は体育会系で、中学・高校とインターハイ目指して卓球部6年、就職後の職場野球ではピッチャーやショートを楽しんでいました。スポーツで毎年トップの結果を出し続けることの大変さを知っているつもりです。まして、米国大リーグという世界一流の野球選手がプロ同士競う厳しい世界です。

アメリカでも日本人イチローには多くの子どもたちはもちろん、親のファンが多いそうです。挑戦者、何か成し遂げた英雄を米国人でなくても尊敬する米国の奥深さを感じますね。私は、もちろんファンですが同時に「努力の天才」「プロフェショナルの鏡」として深く尊敬しています。

産経新聞に掲載された200安打達成日の表に注目しました。じっと見て下さい。2004年に年間262本安打を放って大リーグ新記録を樹立しました。一方で、2002年が208本、2005年が2006本でした。今年と同様に200本超えが厳しい年がありますね。それでも、10年連続200本安打という「結果」「成果」を出した男、それがイチロー選手です。

“今年は投手優勢と言われたが、結果を残せたのは”との質問にイチロー選手はこう答えています。技術の進化への絶え間ない研究とトレーニングの積み重ねを告白しています。

「僕の中に、いろんなオプションがあるということ。それが武器になる。投手の変化に対して対応する引き出しもあり、幅を生む。それがないと対応が難しい。」(日経新聞2010年9月25日号)

プロの眼からイチロー選手10年連続200安打をどう評価しているのかも紹介します。

【試合に品格 プロ精神の見本】
「以前メジャー球団は「日本選手は長いシーズンを戦えない」と偏った見方をしていた。イチローの成功は、様々の国の選手が米国でプレーすることを促進した。低迷するチームで、シーズン終盤でもあきらめない姿勢を見せるイチローはまた、試合に品格をもたらす。ほかにこんな選手はいない。
一生懸命な姿勢、我慢する態度、基本に忠実な練習。彼は日本で普段から行われていることを、見せているのだと思う。子供らはイチローを好きな選手に挙げ、親にとってもプロ精神の手本になっている。もはやイチローは「米国の選手」だ。」(日米野球史等を研究する、米カリフォルニア州立大サムエル・レガルド教授 日経新聞2010年9月25日号)

【必死にプレーし、守備にも優れた偉大な打者】
「芸術的ともいえる打撃と永続性、野球に打ち込む姿勢。イチローが成し遂げたことが無視できない段階に入ってきた。・・(略)・・圧倒的多数のアメリカ人がイチローは打撃の天才であり、MLB史上最も偉大な打者の1人だと考えるようになった。守備にも優れ、必死にプレーする姿が感動を与えている。」(ロバート・ホワイテイング「サクラと星条旗」特別編 夕刊フジ2010年9月25日号)

【技術の積み重ねと日々の自己管理】
「大記録達成おめでとうございます。ひとえに日々の準備とケアのたまものだと思います。素晴らしい記録であるのはもちろんですが、大きなけがをすることなく10年続けてこられたというところにすごさを感じます」(ヤンキースで年間MVPに輝いた現エンゼルス・松井秀選手 産経新聞2010年9月25日号)

「200本はイチローさんの技術の積み重ね。けがをせずグランドに1年間立ち続ける。その準備がすごい。来年もプレッシャーの中で記録に挑戦していただきたい。」(マリナーズで一緒にプレーした現阪神・城島選手 同上)
 
イチロー選手に関する本や雑誌が多く出版され、いくつか読んでみましたが私にとってのイチロー選手への思いは、やはり「努力の天才」「プロフェショナルの鏡」という2つの言葉に集約されます。スポーツの世界だけでなく、ビジネスの世界、そして人生にとって共通する大事なことを今目の前で挑戦し続けている「若きサムライ(武士道精神体現者)」かもしれませんね。

 私は臆病なので、イチロー選手を書くのはおこがましいという気持ちもありましたが、イチロー選手を書いてみたいという強い思いを遂げようと無謀にも文章を紡いでみました。作家川上弘美さんの「複数読むということは、つまりいくらかは知る、ということだ。」(参考文献9:464ページ)という言葉に励まされて、複数の新聞、複数の本を読む努力はしたつもりです。イチロー選手ファン、読者の皆様のご寛容をお願いします。

(追記)お薦めの本3冊

参考資料

【イチローが米大リーグにもたらした変化を語る-ロバート・ホワイテイング『イチロー革命』】 
 かつて、ベストセラー『菊とバット』(1977年)『和をもって日本となす』(1990)で日本野球をアメリカに紹介したロバート・ホワイテイング氏。2004年に出版した『イチロー革命』を読んだ。詳細な調査で日本野球とイチローを緻密に分析し紹介する素晴らしい読み物でした。そして、イチロー選手が、野球の本場アメリカ人の野球観をも変えつつある新現象の本質を余す所なく伝えています。日本と米国の架け橋として、専門家の鋭い眼から日本野球の長い歴史と国民的広がりに深い愛情を注いでいるのが感じられます。

【野球技術、選手間交流、身体ポリシー、食生活など野球職人を綿密に取材-小西慶三『イチローの流儀』】
 日本でオリックス時代からシアトル支局に赴任してマリナーズ時代まで、10年間イチロー選手を取材してきた共同通信記者小西慶三氏の著書。緻密な取材でイチローの野球職人の全貌を知る好著である。2001年から全米野球記者協会の会員。
 大打者ラミレス等へのイチローの野球講演会の様子で始まる。ストライクゾーンへの考え方。両手首を残すことの大事さ。身体は筋トレでなく柔軟性を重視。打席で決まった仕草を繰り返す。慣れた食事へのこだわり。スランプ脱出法・・・・・。

【イチローの1、000以上の言葉分析から人生に生かすこと-児玉光男教授『この一言が人生を変えるイチロー思考』】
 この本のすごさを知るには、文庫本ですぐ読めますので読んでもらうことが一番ですが、児玉光男氏の略歴を知ることも大事です。1947年、兵庫県生まれ。京都大学工学部卒業後、カリフォルニア大学ロザンゼルス校(UCLA)大学院に学び、工学修士号取得。米国オリンピック委員会スポーツ科学部門の客員研究員としてオリンピック選手のデータ分析に従事したユニークな職歴です。現在、鹿屋体育大学教授、日本体育学会会員、日本スポーツ心理学学会会員。20年以上プロスポーツ選手のカウンセラーを務め、プロスポーツ選手・スポーツ指導者のコメント分析のエキスパート、「スポーツ天才学」分野の第一人者だそうです。私は、このような専門研究家がいることを初めて知りました。

以上

(参考文献)
1.夕刊フジ   2010年9月25日号(9月24日発行)
2.東京スポーツ 2010年9月25日号(9月24日発行)
3.日本経済新聞 2010年9月24日号(夕刊)、25日号
4.読売新聞   2010年9月25日号、26日号
5.産経新聞   2010年9月25日号、26日号
6.ロバート・ホワイテイング『イチロー革命』(早川書房 2004年10月15日初版)
7.小西慶三『イチローの流儀』(新潮社 2006年3月30日発行)
8.児玉光男『この一言が人生を変える イチロー思考』(三笠書房 2009年9月10日第1刷)
9.川上弘美『大好きな本 川上弘美書評集』(文春文庫 2010年9月10日第1刷)

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