佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2012/09/18 佐々木流BI経営進化論 第14回 「心技体」は、心が8割、技体は2割

BI経営進化論
 定期購読している人間学を学ぶ雑誌『致知』10月号が届いた。『致知』は本号で創刊34周年になるという。本号特集「心を高め、運命を伸ばす」に登場した京セラ名誉会長・日本航空名誉会長稲盛和夫氏と第69代横綱白鵬翔(はくほうしょう)氏との誌上対談を読み、深く心に響くものがありました。

 稲盛和夫氏が経営再建の指揮を執った日本航空(JAL)が明日19日、東京証券取引所第1部に再上場する。資金調達額は6630億円と、国内の新規株式公開(IPO)では2010年4月上場の第一生命(約1兆円)以来の規模となります。JALへの公的資金投入などについて様々な意見があるのは承知していますが、大企業の経営破綻を短期に経営再建した真髄の一端を知りたいと思いました。

 白鵬関は、モンゴル国ウランバートル出身の第69代横綱ですが、史上2位の63連勝を記録するなどの大横綱です。昨年、稲盛名誉会長が塾長をしている「盛和塾」の会員になり、学んでいるという。

 経営と相撲と道は異なりなすが、心を高め一道を究めることの重要性や人間の運命について語っています。一緒に考えてみたいと思います。
参考資料 参考資料

(1)心が変われば会社は変わる――「心技体」は、心が8割、技体は2割

 私自身は、京セラのアメーバ経営等ある程度の知識はありましたが、稲盛哲学の詳細を承知しているわけではありませんでした。しかし、経営と心の関係は大変重要なテーマと考えている一人です。

 JAL再建に当たって、経営と心の関係について、両氏の誌上対談の一部を引用します。

「白鵬 どうやって短期間に大きな会社を変えたのですか?

 稲盛 従業員の皆さんに一生懸命話をしました。「私はたまたまお世話にきたけれども、皆さんが目覚めて立ち上がり、自分たちで会社を立て直そうとしなければ誰もできませんよ」と、再建の主役は自分自身であるという、いわば当事者意識を持つことの大切さを説きました。・・・会社というのは全社員の心をどうやって一つにして経営するかに尽きます。

 白鵬 経営も心ですか。

 稲盛 心ですね。確かに、経営のテクニックというものもあるんです。でも、それは先ほど横綱が「心が八割、技や体は二割」とおっしゃったように、二割程度のことで、心が変われば会社はガラっと変わります。」

 そして、企業の永続的発展のために大切なことについて、稲盛氏は3つを挙げています。いずれも心のあり方を広く同時に具体的に捉えているように感じますね。

①謙虚にして驕らず、更なる努力を(頂点を極めた人が没落するのは傲慢になった時)
②思念は業(ごう)をつくる(どんな思いを抱くかが事業に影響するのでとても大切)
③宇宙の心と一体となる(宇宙の心が支援してくれるような考え方が発展の流れを促進する)

(2)懸命に打ち込んだことで運命が変わった――人生は出会いのおかげ

 両氏共に人生は自分の力というよりは、出会いのおかげと率直に自分の略歴と体験を語っています。そして、両氏共に懸命に仕事に打ち込んだ局面から運命が好転したという。本当に驚く出会いを知り、自分もどうだったかと考えてみた程です。皆さんも自分史を思い出してみて下さい。

 稲盛名誉会長は、結核を患う、中学受験に2度失敗する、大学受験も失敗し、就職した会社も遅配する程の赤字会社の体験をした。しかし、先生との出会いで進学、兄のお陰で就職、人様のご支援で京セラを創業できたという。

「稲盛 ずっと自分はついていない人生を送っていくものとばかり思っていましたが、心のありようを変え、懸命に仕事に打ち込みました。研究室に寝泊まりし、ごはんもそこで炊いたりして、文字どおり寝食忘れて研究に没頭する時期が二年くらい続きましたが、すべてを忘れて研究一途に打ち込んだことが、私の後々の人格形成の原点となったし、運命が好転していったきっかけだったと思っています。」

 白鵬関は、日本に来日したが当時体重が62㎏で声がかからず、帰国前日のさよならパーティー最中に宮城野部屋から電話があり部屋入りが決まった。「部屋にモンゴル出身の龍皇がいるが、彼より年下がいたら部屋にほしい」という理由で、白鵬関は唯一年下だったことが日本相撲界での人生という運命となったという。

「白鵬 自分もまったく同じですね。私は十六歳で初土俵を踏み、十八歳で新十両に上がりました。その間の二年半が濃かったんですね。昼夜を問わず相撲のことに打ち込みました。あの二年半が自分の足型をつくったというか、あの時間があったからいまの地位があるのかなと思っています。」

 心のありようというと抽象的に捉えてしまって、考える入り口と出口が見えずに戸惑い、考えること自体を止めてしまうテーマのように感じられますね。しかし、この誌上対談で身近な出来事として考える契機を頂きました。是非、一読をお薦めする次第です。

また、ご興味のある方のために、「盛和塾」での稲盛氏の経営問答が出版されていますので参考文献に紹介しておきます。

 残暑が厳しい日が続いていますが、お体を大切にお過ごし下さい。

以上

(参考文献)
1.月刊誌『致知』10月号(致知出版社 2012年9月1日発行)
2.稲盛和夫著・盛和塾事務局編『新版・実践経営問答 こうして会社を強くする』 
(PHPビジネス新書 2011年4月 第1版第1刷)

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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