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2013/01/16 名宝体感!世界の江戸創成した武と雅の徳川大名文化

新春、両国の江戸東京博物館で開館20周年記念特別展『尾張徳川家の至宝』を鑑賞しました。(1月2日~2月24日)(詳細は、特別展公式HP:http://www.tbs.co.jp/owari-tokugawa2013/)世界の江戸・東京を創成した徳川大名文化を体感できる貴重な体験でした。

徳川美術館(愛知県名古屋市)が所蔵する尾張徳川家ゆかりの道具類のうち、太刀や鉄砲などの武具類、茶の湯・香・能などの道具類、和歌や絵画・楽器など教養に関わる品々など大名家の歴史と格式を示す約230件の名品が展示されています。国宝「源氏物語絵巻」、国宝「初音の調度」も期間限定で特別公開中です。

徳川家康公の貴重な遺品(駿府御分物-すんぷおわけもの-)などの貴重な展示品から大名文化を体感し、その時代に思いを巡らす。近世大名の今の世にも通ずる美意識を肌で感じる事ができました。日本の文武時代を振り返る、綿々と繋がる日本の書画・工芸品・調度・着物の美意識に浸る、自分事に時空を置き換えて江戸文化を顧みる、また奇想なアイデアがひらめいたりする事があるかもしれませんね。以下、公式画像をご覧になって、是非江戸東京博物館を訪ねてほしいと思います。

参考資料 参考資料 参考資料

(1)尚武 太刀や鉄砲などの武具

参考資料
徳川家康所用具足、徳川義直所用具足、松平忠吉所用具足の華麗な装いに驚く。徳川家康所持の刀と短剣、徳川家康・徳川義直所持の太刀。徳川家の弓、馬具、銃砲、陣中道具。

「大名は武力でその支配権を確立した武士であり、軍事戦闘集団の長であった。太平の続く江戸時代 においても大名はあくまでも武士であり、常に戦闘の準備は怠りなく進められていた。大名家では様々な 「いくさ道具」を準備すると同時に、格式に相応しい武具を取り揃え、武家の象徴として大切に守り伝えてきた。」(参考文献1)

参考資料
画像:徳川家康画像(東照大権現像) 伝狩野探幽筆 江戸時代17世紀( 1/2~1/27展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:銀溜白糸威具足 徳川義直(尾張家初代)所用 江戸時代17世紀( 全期間展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:[国宝] 太刀 銘 国宗 鎌倉時代13 世紀(全期間展示)徳川美術館蔵

(2)清雅 茶の湯・能・香

織田信長・豊臣秀吉・徳川家康所用茶入や茶壺、豊臣秀吉・徳川家康所用花生、徳川家康・徳川義直所用の一休宗純墨蹟や藤原定家書状など、歴史上の人物が所用した名品が揃う。また、徳川美術館には、名人の作品である能面126面、狂言面30面が所蔵される。

「武家の政権は武力によって打ち立てられても、それを維持する秩序が必要であった。秩序は武力を背景としながらも、社会を組み立てる上に必要なあらゆる分野におよび、芸能もまた例外ではなかった。・・・なかでも茶の湯は武家の故実・礼法として修めるべき教養とされた。能は徳川幕府の式楽に位置づけられ、公式行事における重要な演目となった。また、香は儀礼の贈物と同時に、武家の教養として重視されていた。」(参考文献1)

参考資料
画像:[重要文化財] 藤原定家書状「山門状」 建保6年(1218)( 1/29 ~2/24 展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:古瀬戸肩衝茶入 銘 横田 大名物 織田信長・豊臣秀吉・徳川家康所用 室町時代15 世紀(全期間展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:[重要文化財] 古備前水指 銘 青海 大名物 武野紹鷗所用 室町時代15 世紀(全期間展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:古銅砧形花生 銘 杵のをれ 名物 豊臣秀吉・徳川家康所用 中国・元- 明時代14-15 世紀(全期間展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:秋の野蒔絵十種香箱 邦姫(尾張家八代宗勝五女)所用 江戸時代18 世紀(1/2 ~ 1/27 展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:[重要文化財] 銀檜垣に梅図香盆飾り 江戸時代17世紀( 全期間展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:能面 小面 伝是閑吉満作 江戸時代17世紀( 1/29 ~2/24 展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:紅・白段金霞枝垂桜に扇文唐織 江戸時代19 世紀( 1/2~1/27展示)徳川美術館蔵

(3)教養  琴棋書画(きんきしょが)

国宝「源氏物語絵巻」「初音の調度(三代将軍家光の娘千代姫が、尾張徳川家二代光友に婚嫁する際に持参した蒔絵の施された調度)」をじっくりと観ました。

大名やその夫人・子女は、能や茶といった公の場で嗜む教養の他に、個人の素養として特に「琴棋書画」は君子の徳として重んじられたという。また、大名道具には、公の場で用いる「表道具」の他に、私的生活の場である「奥」で使用する「奥道具」があり、日用道具、教養の書画、琴・琵琶などの楽器、囲碁・将棋・双六・かるたなどの遊戯具があった。

何故ならば、「中国では往古より、“君子は学問に親しみ書斎の生活を楽しむを以て好し”とされてきた。我が国でも古代からこの中国の好尚を至上の教養とし、武家社会においても為政者の必須の徳目として位置づけてきた。大名自身をはじめ武家の者は、和歌を詠み絵・楽や文学に親しむのを一つの価値観・人生観としたため、数多くの作品や道具類が大名家に所蔵されていた。」(参考文献1)

参考資料
画像:箏 銘 小町 名物 春姫(尾張家初代義直正室)所用 室町時代15 世紀(1/2 ~ 1/27 展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:[重要文化財] 斎宮女御集 伝源俊頼筆 鎌倉時代13 世紀( 全期間展示、頁替あり)徳川美術館蔵

参考資料
画像:[国宝] 源氏物語絵巻 柏木(三) 詞一・二 絵 平安時代12 世紀(1/2 ~ 1/15 展示) 徳川美術館蔵

参考資料
画像:[国宝] 源氏物語絵巻 東屋(二) 詞一・二 絵 平安時代12 世紀(1/29 ~ 2/11 展示) 徳川美術館蔵

参考資料
画像:[国宝] 初音蒔絵貝桶 千代姫(尾張家二代光友正室)所用 江戸時代寛永16年(1639)(1/2 ~ 1/27 展示)徳川美術館蔵

参考資料
画像:[国宝] 初音蒔絵鏡台 千代姫(尾張家二代光友正室)所用 江戸時代寛永16年(1639)(1/29 ~ 2/24 展示) 徳川美術館蔵

(番外編) 杉浦日向子さんが語る江戸っ子の正月

参考資料
江戸博の常設展示も観て、江戸っ子の正月を知りたくなり、ミュージアムショップで杉浦日向子『お江戸風流さんぽ道』を購入。現在と異なる意外さが見えてきます。

【初日の出を拝む】
大晦日から夜通し呑んで騒いで、初日の出を見てから眠る。日の出と共に今年1年分の吉運が天から降ってくると信じられていたそうです。

【庶民は寝正月、武士は挨拶まわり】
年に一度の骨休みですから、元日は湯にも入らず掃除もせず、おせち料理をつまんで朝から酒を酌み交わし、ひたすらごろごろする。三が日、庶民はただ寝るばかりが果報に徹する。 武家は上役への挨拶回りで忙しかった。上役への年始参りは忠誠心の証。

【恵方参りと七福神巡りが人気】
神社仏閣への混雑した初詣ではなく静か。十五日の松の内までに、氏神様へ詣でる程度。
但し、厄除けの恵方参りは平安朝以来続いていた。江戸中期以降は、文人・俳人たちが遊びから始めた七福神巡りが大流行となった。

【笹の門松】
今の門松は松飾りともいい、松が主体ですが江戸時代は笹が中心。笹を束にして、まわりに松を巻いていた。共同住宅では、一家族として共同で作りました。

【質素なお節料理】
「お節は、日持ちのする味の濃い煮しめが主で、おかずというより、お酒の肴です。お雑煮も、江戸式になるとごくシンプルです。醤油のおすましに焼いた四角い餅を入れ、小松菜に油揚げ(または鶏肉か蒲鉾)を少々。なぜ、こんなに質素なのかというと、徳川家康公が“貧しかった頃を忘れず年頭にはこの雑煮を食べよう”と決意したせいでした。江戸中がそれにならい、将軍家でも代々、この雑煮を食べました。」(参考文献3)

大名と庶民両方の江戸文化に触れた新春でした。

以上

開館20周年記念特別展『尾張徳川家の至宝』
会期:平成25年1月2日(水)~2月24日(日)
※会期中、展示替があります。展示期間については都合により変更となる場合があります。
※前期展示=1月2日(水)~1月27日(日)
後期展示=1月29 日(火)~ 2月24日(日)

会場:江戸東京博物館 1階展示室 (東京都墨田区横網1-4-1)
電話番号:03-3626-9974(代表)
・JR 総武線 両国駅西口、徒歩3分
・都営地下鉄大江戸線「両国駅(江戸東京博物館前)」A4出口、徒歩1分
・都バス:錦 27 ・両 28 ・門 33 ・墨 38 系統・
墨田区内循環バス「すみだ百景すみまるくん・すみりんちゃん (南部ルート) 」
「都営両国駅前(江戸東京博物館前)」下車、徒歩3分
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
(土曜日は午後7時30分まで) 
※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし、1月14日・1月21日・2月11日は開館)、2月12日(火)
特別展公式HP:http://www.tbs.co.jp/owari-tokugawa2013/

(参考文献)
1.江戸東京博物館 開館20周年記念特別展『尾張徳川家の至宝』図録 
2.東京新聞2013年1月7日号
3.杉浦日向子『お江戸風流さんぽ道』(小学館文庫 2005年7月)

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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