佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2008/07/10 Web時代の言葉力を求めて。刺激をくれた池上・子駒・上原3氏の本

-7月10日は、BIエッセイの誕生日-

昨年7月10日、BIPビーアイピーのホームページを開設し、BIエッセイ(明るく楽しくイノベーション)第1号を書きました。「新しい出会い、世界との出会い」、そして「成功との出会い」のコミュニティーになれれば幸いと考えました。ちょうど1年間でBIエッセイを27回書きました。1年は54週ですから、隔週平均で執筆したことになります。
 Webライター1年生が、言葉力を求めて呻吟した楽しい1年でもありました。

 本日7月10日より、第15回東京国際ブックフェアが開催されています。
 Web時代の文章力はどうすべきか、失敗し、悩み、考えた時、結局取った行動は、相当数の読書でした。刺激をくれた多くの本の中から、エキスに溢れた智慧を与えてくれた3冊を紹介します。

(1) 伝わっているか?NHK「週間こどもニュース」担当者の珠玉のメッセージ
  (池上彰 『伝える力』PHP研究所 2007年5月発行)
 
 まず経験者に聞く。学ぶ時の鉄則である。池上氏は1994年から11年間NHK「週間こどもニュース」でお父さん役を務めた記者と言えば、ご存知の方も多いと思います。こどもに伝わるだけの技術力は、簡潔だが網羅的で奥深い。新書1冊を読みながら、何回納得の頷きをしたか分からない程である。
 
 「“伝える”ために、大事なこと。それはまず自分自身がしっかり理解することです。・・・
“書く”行為や“話す”行為をアウトプットとすると、インプットは“読む”行為を言えます。質の高いアウトプットをするためには、インプットが欠かせません。」

 同感である。謙虚に調査し、他者から学ぶことがコミュニケーション能力の初めなのだ。BIエッセイのお陰で、私の各種媒体への好奇心や読書量も飛躍的に増えた。
 相手の心をつかみ、優れた文章を書くにはどうすれば良いのか。池上氏は、記者時代に上司や先輩の文章を研究し、何回も書き写すことを徹底してやったそうです。映画や新聞・雑誌の連載記事から“つかみ”方を学ぶと言う。小説は、イメージが掴める。また、各人のフォーマットやスタイルがあります。良く知られる脳科学者の茂木先生のブログを真似て一度書いてみましたが、編集スタッフに即座に却下されました。自分らしいオリジナルが大事なのですね。
 書いたら、寝かせる。声を出して読み返す。プリントアウトして推敲する。良い文章の秘訣のこの行動は、私も同じく続けている。

「しかし、もっとも大切なのは、“中身”“内容”です。」


(2)『新潮日本語漢字辞典』を買った。辞典を作った方が書いた本が実に面白い。
  (子駒勝美『漢字は日本語である』新潮社 2008年3月発行)

 「いままで無かった!日本語の漢字のための初の本格辞典。」
 昨年秋に買い、重宝しています。本当かいな、この宣伝文句の意味を理解し、日本語の歴史とデジタル時代の可能性を教えてくれた画期的な著作と出会った。子駒氏は、新潮社の校正のプロフェショナルである。1996年より企画始めて、11年間で『新潮日本語漢字辞典』を完成させた方である。

 『漢字は日本語である』というタイトルの意味は、ちょっと説明がいる。

 「“漢字が日本固有の文化だって? 漢字は中国で生まれたものではないか”という反論が聞こえてきそうだ。・・(中略)・・たしかに漢字のルーツは中国である。・・(中略)・・しかし、現在、日本で使われている漢字は、長い年月を経て、さまざまな日本式改良をされた、わが国独自のものである。中国にない訓読を駆使し、送り仮名という画期的発明を加え、見事に日本語の中に組み入れたのは、まぎれもない日本の英知なのである。・・(中略)・・一方、本家本元の中国で、漢字の字体を大幅に簡略化した“簡体字”が使われているのはご存じの通りである。」

 日本の過去の漢和辞典は、古代漢語の漢和辞典であった。日本語になった漢字のための日本語漢字辞典が2007年初めて完成したのである。

 日本語漢字は、デジタル技術の進化で新しい価値を生み出す可能性を持ち始めた。日本語漢字の特徴は、訓読と音読の両用の妙にある。音読は、ひらがな、カタカナという記号であるが、訓読は意味を持った言葉でありメタ認知を一瞬で可能にする。マッカーサーの“漢字廃止令”とJIS規格とデジタル技術の初期は、日本語表現が制約された。ところが、世界でインターネット技術の進化によって“ユニコード”と通称される規格ができてきた。

「これは、世界中の文字を一つのコード体系にいれてしまおうという規格で、・・(中略)・・この規格に入っている漢字は、なんと二万一千文字近くに及び、現在もさらに増殖を続けている。」

日本語は、社会的、技術的制約から脱皮し、Web時代に自由な価値を生み出す基盤を手に入れたのである。


(3)ピタっといつも適切なアドバイスをする編集スタッフのWebライティングバイブルに学ぶ
 (上原佳彦 『Webライテイング成功の法則60』翔泳社 2007年12月発行)

 「検索エンジンやキーワードに象徴されるように、インターネットは言葉が支配する世界である。そんなインターネットで読まれたときに理解されやすく、共感される文章の書き方や編集・校正技術はもちろんのこと、読まれる見出しの書き方や検索エンジン対策、Web2.0を意識した細かなテクニックまで、WEBサイトに最適化した文章設計のポイントをわかりやすく60の法則にまとめました。」

 この宣伝文句にケチをつけるだけの網羅的知識を持っている方は少ないと思う程、実務的に大変役立つ有益なバイブルの一つである。企画編集スタッフが勉強している著作から、推薦して頂いて読んでみて、目からウロコである。

 ホームページ企画やエッセイ作成に携わって、他の媒体との違いを理解する必要性を痛感した。私は、原稿作成に集中し、企画・編集は信頼するスタッフに任せるという基本は間違っていない。しかし、指摘されることの背景を知っていることが大切だと感じたのは、半年過ぎた頃であった。ヤフー、グーグル始め検索エンジンの画面と言葉の体系、各社のホームページ、有名なブログをこんなにみたのは初めてであった。良い勉強になった。

 著者の上原氏は、音楽業界のライター出身で、2003年よりWebライターの世界の先駆者である。「Web時代の新・文章術」が本の帯のメインコピーである。読むのが1年遅れたのが悔やまれるという思いも少しあるが、編集スタッフのプロフェショナリズムに対抗する気持ちはない。

以上

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