佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2010/10/18 「30~40代ミドルのgood apple「光るリンゴ」とbad apple「腐ったリンゴ」

-BIP第3期『事業リーダー実践塾』が、11月18日BIP佐々木、12月6日近藤先生の講義から始まります-

 10月2日~3日、学習院大学で開催された2011年度組織学会『創立50周年記念年次大会』に出席しました。正会員として研究・交流をしています。

 その中で取り上げられたテーマの一つに組織におけるgood apple「光るリンゴ」とbad apple「腐ったリンゴ」現象の議論がありました。心理学的アプローチによる組織研究の分野は大変面白かったことの一つです。学説を学ぶと同時にその成果を待つまでもなく、私たち企業の実践者は毎日答えを出さなければなりません。

 人口減少、市場減少の低成長時代に30~40才代のミドルのgood apple「光るリンゴ-傑出するメンバー」(佐々木訳)とbad apple「腐ったリンゴ-ネガティブメンバー」をどう考えるかは、企業の将来と死命を左右する大きな課題です。30~40代のミドルの皆様、同時に現在において未来に責任を持つ社長、役員、本部長、部長等経営幹部の皆様はどう考え、実践しているのでしょうか。

 BIP第3期『事業リーダー実践塾』(詳細はこちら>>)開催は、その課題にも逃げずに正面から支援したいという熱い思いで始めました。

 1ケ月後の11月18日(木)私BIP佐々木が『企業業績を抜本的に変えるビジネスモデル創造の事例と理論』、12月6日四画面思考研究所所長近藤修司氏(前北陸先端科学技術大学院大学知識科学教授)が『永続する企業進化のOS!実績広がる四画面思考による改革実践力!』講義等全5回夜学コースが始まります。10月29日(金)末まで早期割引もあります。早めにお申し込み願います。

 企業の持続的成長とは、企業の連続的事業開発・経営改革実践によって実現すると思います。BIエッセイでも、シャープの「液晶TV・携帯電話・太陽電池」連続改革成功(2008/10/06 詳細はこちら>>)、アップルのiPod、iPhone連続改革成功(2009/09/14 詳細はこちら>>)を紹介しました。僭越ながら、前職ネットワンシステムズ(株)の連続的事業開発、改革成功体験も教訓に満ちています。(2008/05/13 詳細はこちら>>

 企業の連続した改革実践、イノベーションマネジメントは天才ではなく、継続的に学び地べたを這う実践をする者が実現するのだと思います。その真髄を一緒に学びたいと思います。
参考資料 佐々木講演風景 近藤氏講演風景
写真 ①組織学会『報告要旨集』学会誌『組織科学』②BIP佐々木講演の様子③近藤修司氏講演の様子

(1)30~40代のgood apple「光るリンゴ」か、bad apple「腐ったリンゴ」か!?
-30~40代ミドルはどう自己育成すべきか、経営幹部はどう対応すべきか-

図1 good appleとbad appleへの対応イメージ(参考文献1:11ページ 古川久敬氏)
参考資料

 円高、景気政策の減少等で日本経済は、再び経済減速化の可能性が高くなってきました。
個人も企業も、政府・日銀のマクロ政策への適切な発言・提言を強めるべきと思いますが、それだけに期待する訳には行きません。

『第3期事業リーダー実践塾』参加のお勧めをして多くの企業の方とお会して、「教育予算が減らされた」「現場側で研修コースが自由に選択できなくなった」という嘆きと訴えが増えています。ところが、一方で経営側や人事教育部門サイドの企画する一般的マネジメント教育やスペシャリスト教育というこれまでやってきた教育や「目標管理」「組織活性化」「コーチング」「ファシリテーション」等の教育費用は多く使って社員教育で繁忙の場合もあるようです。

 経営が厳しい時代に教育費用総枠を減らす必要はよく理解できますが、短期と中長期の両面から効果を厳密に考えないで、最も重要な企業業績を「押し上げ」する中核人材育成への教育投資を余り実施しない企業が少なくないと率直に感じています。

 第1は、短期的中期的業績政策を「目標管理強化」「組織活性化」「コーチング」等ミドルの一般的マネジメントスキル向上に傾斜して、経営側の事業開発、経営改善施策を放棄・軽視している例があります。

 第2は、現在においては社員自ら自己投資してキャリアも磨く自己啓発で良いものにも意外と多くの会社費用が湯水のように浪費されていることもあります。もちろん、一部支援は良いですが、自分で費用を払わないと本気で勉強しないのも人間の自然な現実です。自己啓発面での教育支援で、経営側が教育責任を免罪されるものではありません。

 第3は、どの研修も、社員の選抜制が少なく全員一律実施という形が多く、費用対効果を考慮しない場合が少なくないようです。もちろん、一律参加方式の研修がむしろ必要な場合も承知していますが、新規技術、新規事業開発への研究投資した企業が勝ち組となる時代には、それが可能な人材を選別して教育投資するのは公正で効果的で当然の経営責任だと思います。

 依然として、日本企業の多くはデフレ時代20年、欧米・中国・韓国企業との競争に多くの面で負けつつある現状から問題点をリアルに受け止めていない傾向を脱していないようです。彼ら30~40代の標準キャリアは、理工学部修士出身で就職し、更に20~30歳代にMBA・MOT修士を取得する。日本人の優秀な高齢者人材を個別的にも引き抜き、或いはM&Aで戦略的人材確保を進めます。

 私は、これらの現象の多くは、組織におけるgood apple「光るリンゴ」とbad apple「腐ったリンゴ」現象の議論に対する日本の産業界、学会の中に理論的・実践的躊躇があると思います。

 「組織は、一部の卓越者によってよりよくなるのか、一部の最低者によって壊れるかの議論である。優位者をさらに「押し上げ」るのと、低位者の「底上げ」とではいずれが効果的であるのか。そして、それは組織レベルと職場レベルのそれそれでどうなるのか。図1は、good appleと「押し上げ」によって卓越さを高める方式と、bad appleにならないように「引き上げ」によって標準にする方式のイメージを示している。(古川、2010より)。近年の人事処遇の基調は「押し上げ方式」、二昔前までのそれは「引き上げ方式」であったといえる。」(参考文献1:11ページ)と古川氏は述べていながらも、依然として学会の解明すべき重要テーマとなっている現状を取り上げています。

 職業生活約35年の私的経験では、昔から「押し上げ」と「底上げ」の両方はそれぞれ重要と認識され、対処の施策もそれぞれ実行されてきたと思います。日本と世界の優れた企業では、実践理論上は既に解決されています。

 「押し上げ」を組織全体としても職場としても鼓舞し、「底上げ」は職場別、個別に適切な支援と対処をするのを基本として来た多くの企業が成功していると思います。日本企業も欧米企業もその点では普遍的だと思います。誤解を恐れず、端的にいうと「総花的教育」より「公平な人事」、すなわち「押し上げ」できる中核人材採用や中核人材育成への「選抜的教育」投資が必要だと思います。 

(2)30~40代リーダーたちが連続改革成功を推進したシャープの「液晶TV・携帯電話・太陽電池」事業、アップルのiPod、iPhone事業

 企業の持続的成長とは、事業の連続改革によって実現すると思います。目の前にある最近の事例として、日本のシャープと米国アップルについて、BIエッセイで以前に書きました。改めて、一部紹介します。

 シャープの液晶TV、携帯電話、太陽電池連続改革は、部門連携する30~40代中心の緊急プロジェクト成功事例として有名である。そのメンバーが経営者候補に育っていく。

「町田氏がシャープ社長に就任したのは、今から10年前の1998年6月。前年に山一證券の破綻、その年には日本債券信用銀行や日本長期信用銀行の国有化など金融危機と不況の時代である。7月に役員会で、8月には記者会見で「国内で販売するテレビを2005年までに液晶に置き換える」と宣言した。

 町田社長の宣言は、“液晶のシャープ”というトップブランドとして現実となった。続いて、最後発で参入したカメラ付き携帯電話で日本トップシェアになり、更に世界一の太陽電池メーカーへと連続改革に挑戦するシャープ。夢物語でなく、世界競争に生きる現実の生々しい改革実践を知ることができる。」(BIエッセイ 2008年10月6日号 『シャープ町田会長が語る液晶TV、携帯電話、太陽電池の連続改革』詳細はこちら>>

 また、若い人だけでなく経営者の多くは、アップルの連続改革に強い関心を持っています。

「2001年発売のiPodは、20世紀王者ソニーのウォークマン市場を変え、アップルを21世紀世界一の音楽プレーヤー総合企業に変革した。そして、2007年発売のiPhoneは、アップルを通信・メディア総合企業への変革を示唆している。変遷の激しいデジタルテクノジー業界において、新しいビジネスモデルを連続創造する最新アップルの秘密を知りたいと思った。BI(事業開発)のケーススタディーが目の前にある。

 1990年代前半、私はクパチーノの明るいアップル本社を訪ねた。Macが一際輝いていた時代、記念にカラフルなTシャツを買った思い出がある。再び、アップルは挑戦的である。

 スティーブ・ジョブズのCEO復活からiPod成功までを詳細に追ったスティーブン・レヴィ『iPodは何を変えたのか?』、大谷和利『iPodをつくった男』を読んだ。竹内一正『スティーブ・ジョブズ 人を動かす神』は、20代で栄光と挫折を経験し、成熟し、復活したスティーブ・ジョブズを追っている。

 2007年発売したiPhoneは、世界的にブームを引き起こしている。日本でも発売され、iPhoneは何ができるか、何を変えるかのガイドブックがどんどん発売されている。スマートフォンと言われる「新しいケータイ」に、多くの皆様が関心を寄せ、すでに利用している方も少なくないと思います。」(BIエッセイ 2009年9月14日号 『iPod・iPhoneと連続するAppleビジネスモデル創造の秘密を探る』詳細はこちら>>

 今年、グーグルOSのスマートフォンも発売され、スマートフォン端末技術はモバイルブロードバンド市場を牽引しています。

(3)30~40代ミドルの成長が未来の自分と企業をつくる
-今北純一『仕事で成長したい5%の日本人へ』のメッセージに寄せて-

参考資料
「今日の飯」と「明日の飯」を同時に考え、実践するトップとミドルのコラボにこそ企業発展の王道があると思います。結局、企業の持続的成長とは、地べたを這う人間臭い連続改革の成功と失敗の歴史と言っても良いと思います。企業に集う事業リーダーの生きがいや成長、経済的成功、社会的成功は、トップとミドルの価値観に大きく関連していることは自明です。

 若き日に日本から世界のビジネス界に飛び込み、個人として生き抜いてきた今北純一氏(旭硝子、スイスバッテル研究所、仏ルニー公団、エア・リキード社を経て現在コンサルティング会社「CVA」パートナー)の仕事への姿勢は、厳しいグローバル時代のビジネスマンの未来への示唆に富む。

 「「なぜ変わらねばならないのかわからない」。変わらなければならない理由はありません。本書で述べてきたように、変わることそのものが目的でないからです。ただ。もし毎日がマンネリズムのサイクルの中に閉じこめられていて、充実感や生き甲斐を感じられないのなら、選択肢は二つしかありません。自ら鼓舞して変わるのか、何もしないで生きるかです。すべて自分の自由意志で決めることです。」(参考文献 200~201ページ)

 一般マネジメント教育や専門教育だけでは、今必要とされる事業リーダー育成は困難だという国内外の声が強くなっています。事業経営においてそのリーダーには4つの力「事業企画力・経営技術力・改革実践力・リーダーシップ力」が大事だと考えます。ビーアイピーは、明快な理念と具体的な方法論を持ち、強いリーダーシップを発揮して変革を自主的に先導する人材育成を支援します。

 前職ネットワンシステムズ(株)での連続的事業開発・経営改善の教訓、BIP設立後約4年のアドバイザリー、コンサルティングでの体験、ベンチャー学会・組織学会、BI研究会等の研究交流から、30~40代事業リーダー育成の重要性を痛感しました。今回は、専門講師陣5名の協力で更に充実しました。10月29日(金)まで早期割引もあります。是非お早めにお申し込み願います。

 30~40代の皆様、自ら成長し、持続的成長を実現する事業リーダーを目指しませんか!? 自己啓発として最適ですので、是非自らご参加ください。

社長、役員、本部長、部長の皆様、自ら変革・想像を牽引する企業家的幹部を育てませんか!? 企業研修として、是非適任者の塾受講を派遣願います。

 よろしく、お願いする次第です。
 

<再掲>

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『 第3 期 事 業 リ ー ダ ー 実 践 塾 』 の 特 徴
  * I型人間からT型、Π型リーダーへ
  * コンセプチュアルスキル・ヒューマンスキル・テクニカルスキルの総合力育成


1.企業的事業リーダーとして知るべき知識と重点スキルを、事業実践成功経験ノウハウと、MOT(技術経営)最新理論の両方から学べます。

2.現場ですぐに使えて即時的継続的効果の高い重要技法・手法を提供します。経営改善と現場改善と統合した有用な業務改善の技法を得る絶好の機会です。

3.夜間コース(軽食、飲み物を用意します。)、全5回セットのプログラム(毎月1回)です。5回共に参加者同士の相互交流で学びあう場でもあります。
 
◆対 象
 ・30~40代の企業・各種組織の役員・中堅幹部及び候補
 ・将来のキャリアパスとして部長・本部長・取締役・社長などを意識する明るく向上心をもつ人
 ・スペシャリストからゼネラリストへの広がりを図りたい人
 ※会社研修としての参加、個人での参加、どちらでも受講可能です。
◆修了証
   参加者の皆様には、「事業リーダー実践塾修了証」を発行します。
◆ 場 所  ミーティングプラザ新橋
      東京都港区新橋1-13-12 堤ビル9F (JR新橋駅徒歩1分)
◆ 参加費  創立4周年特別価格 52,500円(税込)
   (内訳:参加費 50,000円、消費税 2,500円)
   ・お2人以上(同一企業)で参加の場合
    47,250円(税込)(参加費45,000円 消費税2,250円)
 
  **早期申込み割引** 10月29日(金)までにお申込みの場合
   42,000円(税込)(参加費40,000円 消費税2,000円)

  ・お2人以上(同一企業)で参加の場合
   39,375円(税込)(参加費37,500円 消費税1,875円)

  ※全5回セットの参加費です。
  ※個人参加、あるいは会社研修により、「分割払い」「請求先名」の相談に応じます。    
 ———————————-
 以上

(参考文献)
1.組織学会『2011年度組織学会 創立50周年記念年次大会 報告要旨集』
2.組織学会『組織科学 vol.44 No.1』(白桃書房 210年9月20日発行)
3.町田勝彦『オンリーワンは創意である』(文春新書 2008年9月)
4.スティーブン・レヴィ『iPodは何を変えたのか?』(ソフトバンク クリエイティブ(株)   2007年4月)
5.大谷和利『iPodをつくった男』(アスキー新書 2008年1月)
6.今北純一『仕事で成長したい5%の日本人へ』(新潮文庫 2010年5月20日)

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