佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2011/10/17 第48代横綱大鵬・第69代横綱白鵬が『致知』誌上対談!「吾、相撲の道を極めん」

 昭和の大横綱大鵬(納谷幸喜)氏と平成の大横綱白鵬翔氏の初めての「二鵬」対談が、定期購読している『致知』11月号に登場。

 人間学を学ぶプラットホームである雑誌『致知』がこの10月に33周年を迎えました。その記念の意味を込めて、10月発行の11月号に「人生は心一つの置きどころ」を特集。「二鵬」対談は、そのメイン企画です。大変感動しましたので、皆様にその一部をご紹介します。
参考資料

(1)昭和と平成の大横綱 大鵬と白鵬の「二鵬」対談

「二鵬」対談は、9月5日「大鵬道場」で行われました。

もちろん正式対談は初めてですが、白鵬関が横綱昇進時に大鵬親方を訪ね、指導を受けて以来の交流が続いていたそうです。

【横綱の役目~稽古土俵に出て、下の者に稽古をつけよ!】
 
横綱の役目を問うた白鵬関に、大鵬親方はこう教授したという。
 
大鵬「あの時は、必ず稽古(けいこ)土俵に出て、下の者に稽古をつけてやってくれよと言いましたね。そうやって下の者を三役から大関、そして横綱に引き上げてやるのが横綱の立場、役目ですから。」

 自分だけが良いだけでなく、一門や仲間などを育て、背負う役目を果たせということ。至言ですね。

【横綱の宿命~想像を絶する責任】

 大鵬親方が21歳で横綱に昇進した時にまず考えたのは引退することだったという。その上がない者の宿命であるが、なってみてその責任の重さがわかる。
 
大鵬「プレッシャーが全然違いますよ。これはなった者でなければわからない。・・(略)・・己との闘い。私も45連勝までいったことがあるけれども、苦手な相手でもないのに、なんでこんなに力が出ないのって自分での驚くようなこともある。」
 
白鵬「私も大関の頃は一つ位が違うだけだと思っていましたが、やっぱりなってみると全然違う。・・(略)・・五月に賭博問題が発覚して、続く七月の名古屋場所は開催するかどうかも直前までは分からない状態で、稽古にも集中できず、なんというか、心と体を一つにすることが難しかった。・・そうして迎えた初日、皆さんから本当に大きな声援をいただいて・・・。「横綱、待っていたぞ!」「がんばれ!」「いい相撲をありがとう!」って。ああ、こういう方々がいるから我々は相撲が取れるんだなぁと感動しました。あの名古屋場所で自分の中の相撲観のようなものが変わったように感じています。」

(2)“人生は心一つの置きどころ” 大鵬「要するに自分に克つか負けるかということ」 白鵬「相撲の勝敗と相撲人生を決める」

 お二人の人生には、それぞれ運命のような縁がありました。

 大鵬親方は、戦後樺太から母が三人の子供を連れて、実家のある北海道を目指した。小樽経由で乗船予定の船が魚雷で沈没した。母が船酔いで乗らずに陸路にしたので生きて北海道に着いた。貧しく、厳しい北海道の生活があったので、稽古はつらかったが腹一杯食べられたから逃げ出さなかった面があったと率直に語っている。

 白鵬関は、日本観光の気持ちが強い中で、モンゴルからの稽古ツアーに来日。ひ弱だったので、どの部屋からも声がかからなかった。ところが、明日帰国という日の夜に宮城野部屋から電話があった。モンゴル出身の旭鷲山関が親方に掛け合ってくれた。親方は一度も見ないで許されたという。白鵬の相撲人生は、周囲の熱意・善意があって始まった。

【1年二場所時代の69連勝双葉山~「我、木鶏を目指さん」】

 双葉山関の1年二場所時代の69連勝は、1年六場所になった今も未だ破られていない。お二人は、偉大な双葉山関から必死に学んでいました。

 白鵬「私は双葉山関の本を妻から読んで聞かせてもらいながら勉強していますが、七十連勝できなかった時、「ワレイマダモッケイタリエズ」と安岡さんに電報を打ったとありました。この、「我、いまだ木鶏たりえず」という言葉が、すごく印象に残っています。」

大鵬「実は、双葉山関が相撲協会の時津風理事長となられていた時代、直接ご本人から木鶏の話をお聞きしたことがあります。・・(略)・・この方はこういう境地を目指しながら淡々と土俵を務めたのだと思って、あまりの気高さ、理想の高さに身震いがしました。」

【相撲や武道は、心・技・体】

相撲と人生について語る「二鵬」は、心のあり方の大事さを強調しています。

 大鵬「私は弟子たちには“相撲社会に入ったら、一般社会の考えは捨てろ”と言っています。要するに、“相撲バカ”になれということです。愚直に体を痛めつけて、自分の体で覚えろ、自分の体で体得せよ、と。・・(略)・・相撲取りが心をつくるのは、土俵でしかないんです。」

 白鵬「相撲や武道は「心・技・体」が大切だといわれますが、「体・技・心」でもない、「技・体・心」でもない。やっぱり心が一番上です。体をつくることや技を磨くことと比べて、心を育てるのは難しい。
だけれども勝つにためには心が八割、技が二割、体はゼロじゃないかと思います。」

【心の置きどころが、相撲の勝敗、相撲人生を決める】

 体次第とまではいわないが、相撲は体中心と思っていた私でした。「二鵬」が体と心の関係を語っています。

 白鵬「相手もみんな厳しい稽古を積んできた関取ですから、横綱といはいえ、ちょっとでも気持ちが弱くなって相手に自分の型に持っていかれたら負けます。」

 大鵬「結局、その心を調節できなければ負けるわけです。調節できるようになるためには、やっぱり自分の体で稽古をするしかないと思います。」

 白鵬「稽古だからどうとか、本場所だからどうということなく、一瞬一瞬の心の置きどころが相撲の勝敗を決めるし、それが積み重なって相撲人生が決まるわけです。」

 大鵬「“人生は心一つの置きどころ”とは、要するに自分に克つか負けるかということでしょう。」

(3)人間学を学ぶプラットホーム-雑誌『致知』33周年

図:学びのフレームワーク 「学ぶ3つのリテラシー」
 2年前に、「致知」『荒川博・王貞治師弟対談:「世界の王」はこうしてつくられた』を紹介したこともあります。(詳細はこちら>>

 ホームラン世界記録868本の偉業を成し遂げた王貞治(おう・さだはる)氏(福岡ソフトバンクホークス球団会長)。その王さんを「世界の王」に育てた荒川博(あらかわ・ひろし)氏(日本ティーボール協会副会長)の誌上対談です。王さんのホームランに歓喜した世代である私にとっては、大変興味深く画期的企画でした。

 特集「人生は心一つの置きどころ」を掲載した『致知』11月号の多くの記事に感銘を受けました。

◆「経営の神様とともに歩んだ 松下むめの心の持ち方」(松下幸之助元執事 高橋誠之助)
◆「極限状況を生き抜いた フランクルの生き方に学ぶもの」(対談 鎌田實諏訪中央病院名誉院長 永田勝太郎財団法人全人医療研究所理事長)
◆「驚異の百五歳・現役園長 人生は自分自身との戦いである」(しいのみ学園理事長・園長 曻地三郎)
◆「はじめにフロソフィあり」(京セラ相談役 伊藤謙介)
◆「すべてはゼロからの出発だった-佐久長聖高校駅伝部全国制覇への道のり」(東海大学陸上競技部・長距離駅伝監督 両角 速)

『致知』は、本当に多様な職業、業界の方々を人間力の視点から取り上げています。私は、人間学を学ぶプラットホームとなる有益な雑誌だと思い、愛読しています。理論でなく人生体験の紹介記事が中心であるところがいいですね。

(参考文献)
1.『致知』2011年11月号(致知出版社 2011年10月1日発行)
2.佐々木昭美のBIエッセイ2009年7月21日号 『「致知」荒川博・王貞治師弟対談:「世界の王」はこうしてつくられた』を読んで

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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