佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2011/03/22 故郷宮城を思い、ツイッターで昼夜災害救援情報を発信!―「キュレーションの時代」を実体験した1週間―

 3月11日午後2時46分、東北太平洋岸大地震が発生しました。私は東京で“帰宅難民”となり、青山学院大学体育館で寒さの中で一夜を過ごしましたが、被災地の寒さと絶望感は言葉にならないでしょう。何かとてつもないことが起きた胸騒ぎを感じましたが、当初は全く状況が分かりませんでした。

 青山学院大学体育館のパイプイスに腰掛けて避難しながら、持参しているNTTドコモのギャラクシーTabでツイッターを開くとただごとでないツイートがどんどん発信されてきました。午後7時過ぎより故郷宮城県からの助けを求めるツイート、リツイートです。

「karemari Mar 11, 7:28pm
( 拡散希望) @kinki0226 仙台の七郷小学校にいますまだ、いまだに電気、なし、水分すらもなく、毛布すらありません)」

「 hisatune Mar 11, 8:09pm
RT @operasoprano: 【facebookから】【拡散希望】至急!! 車ごと津波に流されて今、龍和自工株式会社の倉庫の中のトラックの上にいます。 宮城県岩沼市下野郷新拓174 助けてください。 IさんTwitterより 東北方面で近隣の方、HELP出来ませんか!」(実名は省略し、Iさんに変更)

 それから1週間、固定電話、携帯電話、携帯メールが制約された中でもツイッターは24時間通信できました。モバイルインターネットは、140文字以内のテキストベースの小さな情報を途切れることなく通信し続けました。

 モバイル環境でツイッターがどんなに大きな役割を果たしたかを私の実際体験から一部をお伝えしたいと思います(充電器常備が重要)。1週間経って、災害復興と経済復興に少しでも役立とうと、18日からは「災害復興と経済復興」というタイトルでツイートを開始しました。是非、フォロー頂ければ幸いです。ツイッター登録は無料で即時に簡単にできます。匿名でもOKです。

 佐々木個人のツイッターID : bipsasaki
 http://twitter.com/bipsasaki

※ツイッター画面(抜粋) / ギャラクシーTab
参考資料 参考資料

(1)ツイッター仲間への祈るような発信――1ケ月で400名余のフォローしてくれているツイッター仲間

 私がツイッターを始めたのは2月12日からです。それからちょうど1ケ月後に地震が発生したのです。外出が多いので、ツイッターをモバイル環境で使うためにNTTドコモのギャラクシーTabを購入し、ツイートを始めました。

- 私(bipsasaki)のツイート(抜粋)
「故郷宮城で、トヨタ自動車の車両生産子会社セントラル自動車が宮城新工場(大衡町)を1月から稼動。先週開所式の新聞報道を見ました。輸出比率の高いトヨタにとって海外との競争に勝つ低コスト生産を徹底したらしい。新方式に注目したい。期待したい。」(2月19日 佐々木発信)

「(複眼二刀流) 昨日、みやぎ県製造業経営者育成研修でのキーメッセージです。独眼竜政宗の地で複眼を主張し、佐々木が宮本武蔵の二刀流を勧めました。ウケを狙ったのではなく、広がりと深さ、事業開発と経営改善、技術開発と顧客開発、現在と未来、人事と教育、強制と自主等、今経営の鍵ですね。」
(2月24日 佐々木発信)

「東京駅発東北新幹線「はやぶさ」に、昨年6月に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクト責任者川口淳一郎JAXA教授が乗車。宇宙博で探査機「はやぶさ」見た。画像とエッセイです。http://www.bi-p.co.jp/essay/?essayNumber=148」(3月5日 佐々木発信)

 トヨタグループが1月に生産を開始し、宮城県の産業振興への新たな息吹が始まっていた時でもありました。2月末に訪ねたばかりの故郷宮城の激変に驚愕しました。

ツイッターは手習いの段階でしたが、猶予なく即実戦を決断しました。1ケ月の間に私をフォロー始めてくれたばかりのツイッター仲間400名余を信じて、災害救援のツイート、リツイートを昼夜発信続けました。誰かに繋がって、繋がって、解決できる方に届いてほしい。祈る気持ちでした。

12日は、朝7時に大学を出てから8時間もかかってやっと午後3時に帰宅できました。ヒゲを剃って見た鏡で、右目が真っ赤に充血しているのに気づきました。

(2)図解学の久恒啓一多摩大学教授(元宮城大学教授)と連帯して宮城・東北・関東への支援情報を発信

 ツイッター情報を見ていて、同じように宮城・東北・関東の避難、救援を懸命に続けている方に気づきました。図解学を提唱した久恒啓一(ひさつねけいいち)多摩大学経営情報学部教授、多摩大学総合研究所所長(hisatune)でした。先生は宮城大学教授として仙台に勤務した時代がありました。私は直接面識がありませんでしたが、先生が校長の「図解学校」通信講座を弊社スタッフが昨年受講し終了したので身近に感じていました。以心伝心で連帯しながら避難・救援の情報をシェア続けました。

- 私(bipsasaki)から久恒氏(hisatune)へのリツイート、返信(抜粋)
「RT @hisatune: RT @mas_yama: RT願う! 誰か助けて!出来たら仙台で119 番願う。遠くの弟から物に埋もれて動けないとSOS 。住所は宮城県仙台市泉区向陽台 4-21-2 サンハイツ向陽台2-111 。」
(3月11日 佐々木リツイート)

「RT @sasakitoshinao: 被災地のTwitterユーザーが地震後につぶやいてるかどうかを一覧チェックできる。/宮城県 Twitterランキング By まちツイ http://t.co/goSelCe」(3月12日 佐々木リツイート)

「がんばれ 東京都の地下鉄・バス連携も良かった @hisatune RT @jiminmiyagi: 仙台市災害対策本部は仙台市地下鉄は13日も終日、運転を見合せ。仙台市は泉中央駅と八乙女駅、長町駅、旭ヶ丘駅の4つの駅とJR仙台駅を結ぶバス代替輸送をきょう午前6時台から行う」(3月13日 佐々木発信)

(3)ツイッターキーマンへの発信--東京都猪瀬副知事、脳科学者茂木健一郎先生など

 ツイッターを1ケ月やってみて、多くのフォロー者がおられるキーマンが存在することに気づきました。ツイッターはまったく組織、地位に関係なく水平に繋がっています。そのプラスとマイナスがあるのも分かりましたが、ソーシャルメディアはプラス面が大きいと思います。

 ツイッター上のキーマンは災害救援に当たって、やはり獅子奮迅の活躍をされています。しかし、それぞれの立場と専門があります。インテリジェンスをシェアするのが人で繋がるソーシャルメディアの特徴の一つです。私は全く面識がありませんでしたが、緊急時でもあり、遠慮なく必要なツイート、リツイートをしました。

 東京都猪瀬副知事は、準公式と言って良い発信でありフォローすべきとツイッター仲間に伝えました。同時にこちらからの重要な情報も相手に届く確率が高く、問題解決力も高いと思いました。

- 私(bipsasaki)から猪瀬副知事(inosenaoki)へのリツイート、返信(抜粋)
「東京都猪瀬副知事をフォロー中 @inosenaoki 今後の被災地への支援として備蓄救援物資の放出が考えられる。クラッカー4万3990食、アルファ化米64万2600食、調整粉乳5万7185缶。毛布38万4191枚、簡易トイレ9000個。」(3月13日 佐々木発信)

「プロの実践的広域支援です @inosenaoki  福島・宮城県へDMATを28チーム(1チーム・医師1人看護師2人)派遣。東京DMATとは災害の急性期に活動できる機動性をもち、専門的なトレーニングを受けた医療チームです。」(3月13日 佐々木発信)

「弊社は時短と自宅勤務組み合わせで即時実施します。民間は労働行政待たずに労使自治で緊急対応可能ではないか @inosenaoki ・・交通局など交代勤務がある職場を除いた事務部門が約2万5000人。ここがフレックスタイムの対象。間引き運転のラッシュアワーの混雑を減らそう・・」(3月16日 佐々木発信)

 脳科学者の茂木健一郎先生は、ツイッターでも活躍し、20万名を越えるフォロー者がおられます。そのお力をお借りするのも大事だと思いました。テレビにも早速出演するというアナウンスもあり、当方の意見も述べました。もちろん、声が届いたか、影響があったかの結果はわかりません。

- 私(bipsasaki)から茂木先生(kenichiromogi)へのリツイート、返信(抜粋)
「宮城出身です 救出避難に集中しませんか RT @kenichiromogi: RT @mieuxxx アメリカの報道写真サイトboston.comに早速、宮城や東京の写真あがってます。テレビやツイッターではわからない部分も鮮明かつ克明です。 bo.st/e2ku9e」(3月11日 佐々木発信)

「賛成です。神戸震災でNETインフラを支えた元NET役員経験から。①救援②インフラ確保③臨時生活確保④広域支援体制⑤政府・自治体・民間の連携⑤公式・準公式情報サイト・報道⑥金融支援などまず臨時措置。道路、空路、通信緊急優先確保をリーダーが断固やる @kenchiromogi」(3月13日 佐々木発信)

(4)公式ツイッターの活躍――NTT広報室、NHK科学文化部など

 情報の大海の中で、公式ツイッターは非常に大きな役割を果たしました。

NTT広報室公式ツイッターNTTPRは、極めて詳細に適時役立つ情報を提供し続けました。

「通信基盤ツイッターフォローを  @NTTPR 特設公衆電話設置場所【福島】 都路体育館、古道小学校、常葉体育館、船引総合体育館、田村高校体育館、郡山高校体育館、田村市船引高校、いわき市第6小学校体育館、いわき市中央台南小学校・・ #fukushima #jishin」(3月13日 佐々木発信)

12日朝にNTTドコモ携帯の電池が遂に切れてしまい、上野駅前のドコモショップに充電に行ったが臨時休業でした。隣の他社モバイルショップに行ってお願いした所、他社の充電はできないと断られました。幸い、近くのカギ修理店ご主人の好意で充電して頂き、やっと自宅にメールできました。緊急時にこれでいいのだろうかと疑問に持ったので、NTT広報室のツイッターに以下発信しました。NTT東日本宮城支店は、当然3社携帯の充電器無料貸し出しをしていました。モバイル3社は災害協定を締結して、緊急時は他社携帯の充電支援をしてほしいものです。店舗を開ける電力があれば簡単に可能です。

「モバイル各社もこの観点で他社分も広範にお願いします。@NTTPR NTT東日本宮城支店 青葉通ビル守衛室にて、ドコモ、au、ソフトバンク携帯電話の充電器の無料貸し出しを始めています!ご利用下さい! #save_miyagi #miyagi #jishin」(3月13日 佐々木発信)

 NTTコミュニケーションズは、ツイッターの重要性を認識して、すぐに公共機関等へのツイッター導入支援を公表しました。

「@NTTPR [NTTコム] 大震災に伴う公共機関等への「Cotweet」 無償提供について http://j.mp/idtt2G <Twitter等が活用されている状況を鑑み、国・自治体・公共交通機関等への企業向けTwitter/Facebookクライアントを無償貸与>」(3月14日 佐々木返信)

 電話復旧し始めた被災地からの電話を受けられるようにするのも大事なことでした。

「被災地からの電話受ける設定 を @NTTPR: 【重要なお知らせ】【NTT東日本】 被災地からの着信について http://j.mp/gQqC05 <被災地から連絡が入る可能性があるお客様は、「発信者番号非通知」及び「公衆電話」のいずれからも着信ができる設定として下さい>」(3月16日 佐々木発信)

NHK科学文化部ツイッターnhk_kabunも現地情報を発信して頑張っていました。

「宮城出身です。現地公式、準公式ツイート重要。かぶんさん、ツイート続けて RT @nhk_kabun 【宮城県医療情報2:28】若林区にある ▼仙台市立病院は救急処置が必要な人で、重症の患者を優先して受け入れています。 #jishin #nhk #save_miyagi」(3月13日 佐々木発信)

「【地震・宮城県情報2:28現在】仙台市内できょう13日給水を受けることができる場所は以下のとおりです。宮城野区は5か所です。 ▼幸町市民センター、 ▼福室小学校、 ▼東仙台中学校、 ▼原町小学校、 ▼鶴谷東小学校です。#jishin #nhk #save_miyagi」(3月13日 佐々木発信)

関東地区は計画停電でテレビを見られない場合もあり、NHKHORIJUNアナウンサーの準公式ツイッターにどんどん発信するようにお願いしました。

「停電でテレビ見られない。nhk公式、準公式ツイートお願いします 。びっくりです。災害を人質に復権か?人材枯渇?身内だけか? QT @nhk_HORIJUN: 【18:45官房長官会見】枝野官房長官は大震災の対策を強化するため内閣官房副長官に仙石前官房長官を起用。#jishin」(3月17日 佐々木発信)

(5)ICT(情報通信)企業の社長、部長の皆様へのお願い――東北、関東被災地区自治体、企業へ公式ツイッター立ち上げ支援を

 個人のツイッターは、玉石混合の面があり、良く吟味する必要がありますが、現地で一番情報を掴んでいる自治体や報道機関などの公式、準公式ツイッターは信頼性が高く有効でした。しかし、残念ながらツイッターはまだ自治体、企業での公式アカウント導入が進んでいません。

「宮城出身です。頑張って下さい。 RT @hisatune: RT @bosai_kesennuma: 宮城県気仙沼市危機管理課です。bosai_kesennumaツィッター再開しました。」(3月14日 佐々木発信)

「福島民放ツイッターUP RT @FKSminpo 【医療機関】坂下厚生病院(会津坂下)=人工透析の新規患者受け入れ態勢あり。電話0242(83)3511。#save_fukushima」(3月14日 佐々木発信)

 今、被災地の住民が分散している状況からすると住民のPC環境は十分に期待できない中で、余震で避難していてもモバイル環境でツイッターは自分の自治体情報を常にフォローできます。社員への連絡にも使えます。中小企業、自営業でもすぐ可能なプッシュメディアとして有効だと思います。

 ICT(情報通信)企業の社長、部長の皆様。自治体、民間企業への公式ツイッター導入の支援をお願いしたいと思います。体験者の一人として、切に要望します。

 佐々木俊尚『キュレーションの時代-「つながり」の情報革命が始まる』を大震災直前に読んだばかりで、キュレーターの重要性を体験の中で強く実感した1週間でもありました。

 蛇足ですが、私はツイッター、フェイスブックを利用していますが、既存メディアも大切と思い、新聞5紙と週刊誌・月刊誌も読んでいます。直接取材した真実の報道、公正な検証・議論の場を提供する新聞・TVである限り有益です。クロスメディアのリテラシー教育の大事さを痛感しました。どちらかだけに偏る「原理主義」も危険ですね。

以上

(参考文献)
1.佐々木俊尚『キュレーションの時代-「つながり」の情報革命が始まる』(ちくま新書 2011年2月)

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