佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2011/03/28 大震災に負けず、群集の桜笑顔に溢れる日本をめざして

 関東はまもなく桜の季節を迎え、その後東北へ北上します。また、今週4月1日は学校、企業、自治体等が新年度を迎えます。1年という季節のサイクルに合わせて、先人は仕事と生活を組み立ててきました。現実に日本で4月が年度の変わり目になったのは明治の中頃なそうです。桜の季節が、卒業や入学、入社、年度初めと時期的に重なっていることが一層新たな高揚や華やぎを感じるのかもしれない。

 例年であれば、桜列島日本の春は、群集の桜笑顔に溢れる。今年の桜の時期は、大震災による非情で悲惨な被害を受け、災害救援と復興、電力不足による停電対応、原発リスクへの対処など落ち着かない非常時で迎えています。計画停電もあり、夜の屋台が撤去される所もあるそうです。

 私たちは桜や花見をどう迎えればよいのでしょうかと多くの方から悩んでいる言葉を聞きます。それは、桜の花見という日本独特の習慣にもあるらしいと気づきました。国際日本文化センターの内外都市文化研究の権威である白幡洋三郎教授の「桜と花見」に関する見方が参考になります。一瞬の桜は、日本人にとって春を満喫し、華やぎ、賑わう庶民の大事な行事なのです。

 「日本の花見を構成する重要な3要素は、群桜(ぐんおう)と飲食、群集というのが私の持論です。」

 桜の花見どころでない方々は現実にいらっしゃいます。私の故郷宮城県も大きな被害を受けました。生活自体が毎日、毎時間が闘いでしょう。桜のことを話題にしづらい気持ちはわかります。同時に、直接被害を受けていない方々も多くいらっしゃいます。

「大震災に負けず、群集の桜笑顔に溢れる日本をめざして、がんばろう!」の思いを共有しませんか。

その上で、①家族・知人の被災もあり、今年の桜の花見は遠慮する。②静かに桜の花を愛でたり、飲食をする。③本来のような群集で花見しで飲食する。のどれであっても良いと私は思います。関東に住む私は、元気を出して②か③で希望につながる桜の花見にしたいと思います。

参考資料 参考資料
画像:BIP赤坂オフィス近くの桜坂にて。桜のつぼみが膨らみ、開花も目前です。

(1)日本の桜と花見――群桜(ぐんおう)と飲食、群集

 昨年の桜とBIエッセイから、日本の桜について調べ知ったことを再掲し紹介します。 
桜 桜 参考資料
・BIエッセイ 2010/04/05号 「群集の桜笑顔に溢れる4月「新年度」スタートに寄せて」より 昨年の桜の画像と参考資料

 讀賣新聞2010年3月25日号(夕刊)、産経新聞2010年4月2日号(朝刊)に、国際日本文化センターの内外都市文化研究の権威である白幡洋三郎教授の「花見と桜」に関する記事が掲載されました。それによると花見という独特の雰囲気は日本にしかない習慣・文化だという。

 「日本の花見を構成する重要な3要素は、群桜(ぐんおう)と飲食、群集というのが私の持論です。1本とか数本のサクラではなく、群れ咲く花の下で大勢の人々が、詩歌などの教養ではなく飲食を伴いながら愛(め)でる。長屋の花見のような都市民衆文化の光景が広まったのは、江戸時代の享保期のことです」(参考文献2)

(2) 桜列島日本(1月沖縄一番早い開花~6月根室一番遅い開花)

 全国にいる皆様を考慮し、日本のサクラ前線の北上を調べてみました。昨年3月20日に出版された丸谷馨(まるやかおる)『日本一の桜』(参考文献1)が詳しい。

 日本一早く開催されるのが沖縄県の桜まつり。1月後半から2月前半にかけて行われます。通常、桜前線の標準木は染井吉野ですが、沖縄県では台湾、中国南部を原産とする寒緋桜(かんひざくら)なそうです。

 九州長崎県には、重弁で華やかな大村桜と玖島桜の名勝地があります。3月下旬から染井吉野が咲き、4月の大村桜に合わせて桜まつりが開催されます。

 京都は日本で最初に花見が行われたところだという。京都御所の左近の桜、円山公園の祇園枝垂れ桜、清水寺の山桜・染井吉野、平安神宮の八重紅枝垂、「哲学の道」の桜並木、祇園白川のライトアップされた宵桜など。3月から4月は京都市内の至るところが桜、桜、桜である。

 奈良県吉野山一帯は、古(いにしえ)からの桜の聖地で、今では約200種、3万本を有するといわれます。その多くが白山桜という品種である。4月上旬から下旬に見頃となる。

 東京は、徳川吉宗時代に上野に加え、飛鳥山、隅田堤、品川御殿山、小金井に植樹し、庶民に広がった。現代の名桜地は、新宿御苑、靖国神社・千鳥ヶ淵、六本木アークヒルズ外周の桜坂・スペイン坂等。3月下旬から4月上旬満開となる。

 長野県伊那市にある高遠公園は、吉野山、弘前公園と並んで日本三大桜名所といわれます。高遠固有の「タカトオコヒガシザクラ」命名され、4月上旬から中旬に盛りとなる。

 4月下旬から5月上旬は、津軽平野に広がる「弘前さくらまつり」である。人手は日本一で200万人を超え300万人に近づいているという。桜満開と好天の重なったピークには、18万人の城下町に50万人近くが訪れるという。

 6月上旬、日本で一番遅い花見が北海道根室市である。南千島や樺太に自生する千島桜が咲く。

 1月沖縄から6月根室まで、新暦で冬から夏の半年の間、日本列島は桜列島である。

(3)4月9日 ワシントンで桜祭り

「4月9日にワシントンで桜祭りがあります。収益金はすべて救援活動に贈られます。祭りに出店する業者も売り上げの一部または全部を寄付します。」(駐日ルース米国大使 john V .Roos 3月26日ツイッターより)

 アメリカは日本とこころをひとつに、国民、政府、米軍があらゆる支援を日本に提供しています。米国の大いなる善意であり、深く感謝したいと思います。同時に我々日本人は、日本と米国は依然として世界経済と世界の人々に責任を負う大国であることを自覚する必要があります。世界と共に生き、世界に貢献する日本なのです。

 我々日本人は大震災を乗り越え、来年は桜列島に住む日本人全員が世界に胸を張り、満開の群桜と群集の桜笑顔で飲食する賑やかな桜の花見ができるように頑張りませんか!

以上

(参考文献)
1.丸谷馨『日本一の桜』(講談社現代新書 2010年3月)
2.讀賣新聞2010年3月25日号(夕刊)
3.産経新聞2010年3月26日号(朝刊)、4月2日号(朝刊)
4.日本経済新聞2010年4月2日号(朝刊)

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