佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2012/05/01 佐々木流 BI経営進化論 第6回 ビッグデータ時代のビジネスインテリジェンスを学ぶ好著『BI革命』

BI経営進化論
GW前半、改めて『ビジネスインテリジェンス BI革命』を読みました。

サーバメーカーやSI(システムインテグレータ)企業が、ビッグデータを活用した狭義のビジネスインテリジェンスの事業化に本格的に取り組み始めています。

BIPは設立時よりBI経営(ビジネスインテグレーション:事業開発とビジネスインテリジェンス:経営改善の両輪経営)を提唱しています。広義のビジネスインテリジェンスです。

狭義のビジネスインテリジェンスが最近現実化しつつある理由は、2つの変化がありそうです。一つにはコンピュータ技術の向上です。サーバ性能や並列処理能力が飛躍的に向上し、ビッグデータの時間当たり処理速度と処理コストが現実的になりつつある。もう一つは、大手SI会社が、コンサルタント事業を買収や合併で統合し、業務改善・業務革新コンサルティング能力を充実し、ITをツールとした業務改善事例が広がりつつあることだと思われます。

しかし、単純にBIツールを買っただけで、会社変革ができると考えるのは早計です。広義のビジネスインテリジェンスと狭義のビジネスインテリジェンスの関係を良く理解することが大切です。『ビジネスインテリジェンス BI革命』((株)NTTデータ 技術開発本部ビジネスインテリジェンス推進センタ編著 2009年11月初版)は、その概要を学ぶ好著の一つだと思います。

(1)広義のビジネスインテリジェンスとビジネスインテグレーション~リーマンショック時のホンダ増益事例

広義のビジネスインテリジェンスとビジネスインテグレーションの重要性について、2010年BIエッセイでリーマンショック時のホンダ増益事例を執筆しました。その一部を再掲します。
(詳細は・・・BIエッセイ2010/11/01 ホンダ上期増益決算がはっきりと示した「BI経営(事業開発と経営改善の両輪経営)」の王道

先週10月29日に発表したホンダ上期増益決算の要因分析は重要なメッセージを示しています。
(略)
私は、日本のGNPに占める割合の大きい2大産業である自動車業界と情報通信業界を定期的にモニターしています。自動車業界は他の製造業と同じく日本の市場も大きいですが、海外の市場開拓が比較的進んだ世界的にも大きな産業です。

日本自動車業界の成長戦略と商品開発動向について、今年7月26日BIエッセイ「 熱い成長戦略が報道されたホンダ・トヨタ」を執筆しました。(詳細はこちら>>

情報通信業界の動向分析は、今年9月1日に「 調査レポート(要約)「情報通信専業的トップ3社決算(NTTデータ、ネットワンシステムズ、NECネッツエスアイ)にみる6つのキーワード」を執筆し発表しています。(詳細はこちら>>

ホンダ増益要因は、事業開発と経営改善。円高・景気対策終了で販売減少と為替損が増加傾向。
参考資料 BI経営参考資料
※参考文献3(3面)より抜粋

ホンダが29日発表した2010年9月中間連結決算は売上高が13.7%増の4兆6133億円、営業利益が前年同期比338%の3979億円と大幅な増益になった。一方、11年3月期の業績予想は、補助金制度の打ち切りによる反動減や円高の影響で、売上高を4.9%増の9兆円に1000億円下方修正しました。ただ、コスト削減効果などを見込み営業利益は37%増の5000億円(従来予想比500億円増)と若干上方修正しましたが、下期は不確定な要素が多いと説明されています
(略)
上記のように事業開発による増益要因は、第1四半期1751億円、第2四半期938億と大きなものになっています。しかし、円高等で第2四半期に売上高減速傾向がはっきりと数字に表れています。円高による営業利益への為替影響も、第1四半期でマイナス144億円、第2四半期でマイナス344億円と減益影響が増加しています。

一方、販売費及び一般管理費や研究開発費の増加があったものの、増産に伴うコスト効率、コスト削減効果などにより吸収し、第1四半期は487億円、第2四半期は387億円の増益効果を生み出しました。経営改善への努力の成果です。


総じて、事業開発と経営改善の両輪経営がしっかりとホンダの収益回復の要因であることを示しています。BIPが一貫して提唱しているBI経営(ビジネスインテグレーション:事業開発 +ビジネスインテリジェンス:経営改善の両輪経営)の王道の大切さを改めて再確認する結果でした。

(2)狭義のビジネスインテリジェンスを学ぶ好著『ビジネスインテリジェンス BI革命』

参考資料

まず、本書の目次を紹介します。初めての略語に戸惑う方もいると思いますが、今回は概要理解のレベルで結構です。詳細は、本書をお読み願います。

第1章 プロローグ
第2章 ビジネスインテリジェンスの概要
1.ビジネスインテリジェンスを支える情報システム
①データウエアハウスとデータマート 
②ETL 
③クロス集計と多次元分析 
④統計分析とデータマイニング 
⑤テキストマイニング 
⑥シミュレーション 
⑦レポーテイング・ツールとダッシュボード
2.データ活用のポイント
3.代表的なビジネスインテリジェンス
①「見える化」の事例 
②隠れた関係性を発見する事例 
③ビジネスインテリジェンスの類型
第3章 パフォーマンス管理のためのビジネスインテリジェンス
1.パフォーマンス管理の現状
2.パフォーマンス管理の事例
第4章 変革をもたらすビジネスインテリジェンス
1.変革の領域で提供されるビジネスインテリジェンス
2.WHAT―IF型BI
3.プロアクテイブ型BI
第5章 変革をデザインする分析シナリオ
第6章 変革を成功に導く鍵――BI成熟度
第7章 エピローグ

【変革のレベルと4つのタイプのビジネスインテリジェンス】
参考資料
*参考文献1 図4-1 103ページ

本書の優れた点は、変革度と利害関係者の範囲から4つのタイプのビジネスインテリジェンスに体系化していてわかりやすいことです。

「「見える化」や「仮説検証」といったパフォーマンス管理の領域における取り組みは、主により良い業務の進め方を追求する業務改善となるため、対象範囲は個別組織か、広がったとしてもせいぜい社内組織にとどまる。

しかし、業務のやり方そのものを変える「業務改革」になるとその対象範囲は業務プロセスに関係する社内の各部署だけでなく、グループ各社、取引先各社など、いわゆるB2Bの世界まで広範囲に及び、多くの利害関係者を巻き込みながら活動を推進していくことになる。」(参考文献1)

【変革を成功に導く鍵となる「BI成熟度」】
参考資料
*参考文献1 図6-2 191ページ

実際には、ビジネスインテリジェンス成功の要は実行の組織化能力にあり、「BI成熟度」という概念でその変革レベルを5つのステージにモデル化しています。更に、そのBI成熟度を測る視点を「業務」「システム」「人・組織」の3視点から整備することを提案し、5段階のステージへの発展要素の関係性を整理しています。

一つの有用なフレームワーク(思考の枠組み)として参考にして、実際に行動し、実践を重ねるなかで発展させていけば良いと思います。

以上

(参考文献)
1.(株)NTTデータ 技術開発本部ビジネスインテリジェンス推進センタ編著 『ビジネスインテリジェンス BI革命』(NTT出版 2009年11月初版)
2.佐々木昭美 BIエッセイ2010/11/01 ホンダ上期増益決算がはっきりと示した「BI経営(事業開発と経営改善の両輪経営)」の王道
3.佐々木昭美 BIエッセイ2011/02/14 ホンダ2010年度第3四半期決算――北米・新興国が大幅増益、日本も黒字転換で急回復。

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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