佐々木昭美のBIエッセイ 明るく楽しくイノベーション

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2012/05/28 江戸東京の伝統的ランドマーク『日本橋』を再発見 ―江戸東京博物館 特別展『日本橋~描かれたランドマークの400年~』―

5月22日、江戸東京の新しいランドマークであるスカイツリーが開業しました。開業5日間でスカイツリーエリアは100万人を超える来場で爆発的人気を集めているようです。

実は、1603年架橋から400年以上にわたって江戸東京の人気ランドマークだったのが「日本橋」でした。江戸、明治、大正、昭和の日本人にとっての日本橋エリアは、現代のスカイツリーエリアのように日本人に夢や楽しみを与えてくれる一大人気スポットでした。

先週25日夕、両国の江戸東京博物館 開館20周年記念特別展『日本橋 ~描かれたランドマークの400年~』(5月26日~7月16日)(詳細は、特別展公式HP:http://www.asahi.com/event/nihonbashi400/)の内覧会・開会式に参加しました。歌川広重、葛飾北斎、土屋伝、川瀬巴水などの有名絵画や貴重な写真で日本橋をたどる展覧会です。ゆっくりと観ながら、日本橋について新たな発見があり、楽しいひとときを過ごすことができました。

開会式には、本展サポーター&音声ガイド出演の落語家林家三平・国分佐智子ご夫妻も出席。6月には「林家一門会」による落語も江戸東京博物館で開催します。以下、公式画像をご覧になって、是非江戸東京博物館を訪ねてほしいと思います。
参考資料 参考資料 参考資料
※展示会の許可を得て撮影しています。

(1)音声ガイド出演&本展サポーター林家三平・国分佐智子ご夫妻が開会式出席。開館記念「林家一門会」が古典落語を6月演じる予定

参考資料 参考資料
特別展開会式には、音声ガイドに出演し、本展サポーターを務める林家三平・国分佐智子ご夫妻が出席されました。報道向けのインタビューでは、音声ガイドを江戸っ子口調で務められた裏話や、江戸育ちの三平さんの日本橋での思い出話(子供の頃、家族で映画を見た話、最近ご夫妻でよく訪れている話)等を披露してくれました。

開催記念として、「林家一門会」が江戸情緒あふれる古典落語を演じる予定です。
6月3日 林家正蔵、6月9日 林家三平、6月10日 三遊亭金馬など各日6人が出演。
(場所 江戸東京博物館1階ホール 午後2時開演 詳細は江戸東京博物館に確認願います。)

(2)歌川広重が描いた繁栄する江戸時代の日本橋

歌川広重の11作品が展示されていました。それぞれの作品から当時の日本橋の役割と繁栄が読み取れます。日本橋は江戸の中心地であり、また全国各地につながる街道の起点でした。

【交通の要所であり、物流の中心地日本橋~歌川広重「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」】
参考資料
「東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景」 歌川広重
天保(1830~43)中頃 江戸東京博物館蔵

「画面左側に高札場が描かれ、橋の上を大名行列が進む。幕府の御膝元の都市らしい重々しさが伝わってくるが、それとは対照的に、魚や野菜を天秤棒でかついで売り歩いた棒手振り達が、画面手前に雑然と立ち並ぶ。・・(略)・・日本橋が交通の要所であることと、物流の中心地であることを上手く表現している。」(参考文献1)

【江戸の経済力の象徴である魚河岸・魚市~歌川広重「東都名所 日本橋真景并二魚市全図」】
参考資料
「東都名所 日本橋真景并二魚市全図」 歌川広重
天保(1830~43)中頃 江戸東京博物館蔵

「画面中央にゆったりと日本橋を描き、遠景に富士山と江戸城を望み、高札場の南詰も描きつつ、手前の魚市場のようすにもたっぷりと画面を割いた、典型的且つ模範的な日本橋画といえる。」(参考文献1)

【江戸の年中行事と美人画~歌川広重「東都名所年中行事 四月 日本橋初かつお」】
参考資料
「東都名所年中行事 四月 日本橋初かつお」 歌川広重
安政元年(1854) 江戸東京博物館蔵

「手前を行く男たちが担いで行くのはいずれも初鰹。勢いよく、日本橋から飛び出していくところであろう。その横を、日傘をさした女性が二人、裾を初夏の風になびかせながら歩を進める。」(参考文献1)

(3)葛飾北斎が描いた江戸の名所絵日本橋

葛飾北斎の7作品を観ることができます。

【富士山を描いた葛飾北斎の代表作「冨獄三十六景」シリーズ~葛飾北斎「冨獄三十六景 江戸日本橋」】
参考資料
「冨嶽三十六景 江戸日本橋」 葛飾北斎
天保2~4年(1831~3)頃 江戸東京博物館蔵

「日本橋がほとんど見えない日本橋図である。横長の画面の下辺に沿ってひしめき合っている人たちは、日本橋の上を行き交う人びとである。欄干などはよく見えないが、ほぼ中央に擬宝珠を載せた柱が顔を出している。・・(略)・・橋を描くという点については極めて控えめであるが、見事に日本橋の存在感を表していると言えよう。」(参考文献1)

(4)江戸日本橋界隈は、先進的な経済・文化・科学・国際都市


【日本橋・江戸を代表する三井越後屋の看板(複製)と絵画】
経済の中心地日本橋を象徴する三井越後屋の大きな看板(複製)が展示されていました。また、筆者不詳「駿河町正月賑わいの図」は、三井越後屋周辺の、正月の賑わいを描いた図です。三井越後屋の存在感が強く感じられます。

葛飾北斎は、人気の「富嶽三十六景」シリーズ「冨嶽三十六景 江都駿河町三井見世略図」で駿河町の三井越後屋を描いています。江戸有数の名所であったことがわかります。

【オランダ人の定宿[長崎屋]を描いた歌川広重と葛飾北斎】
歌川広重『狂歌江戸名所図絵』、葛飾北斎『東遊』は、オランダ商館長一行が宿泊した本石町三丁目の「長崎屋」を描いています。この場所から西洋文化が広がっていったそうです。杉田玄白、平賀源内らは「長崎屋」訪問の常連であったという。日本橋は、国際情報の発信基地の一つであったことを、今回初めて知りました。

【出版業の須原屋市兵衛 杉田玄白ほか訳『解体新書』等を出版】
参考資料
『解体新書』 杉田玄白
安永3年(1774) 江戸東京博物館蔵

皆様よくご存知の杉田玄白ほか訳『解体新書』を見ました。外国の学問を紹介する出版物を担っていた版元=出版業が日本橋室町の須原屋市兵衛だったことを知りました。「長崎屋」にも近く、多くの交流があったと思われます。

「江戸時代、情報を担っていたのは出版業者であった。18世紀後半のいわゆる田沼時代になると、上方の出版業者より江戸の出版業者の方が優位に立つようになった。情報発信は上方でなく、江戸からという時代になった。しかも同じ江戸といっても、有力な大手の本屋は、日本橋界隈に集中していた。」(参考文献1)

(5)歌川芳虎、土屋伝、川瀬巴水が描いたハイカラな明治・大正・昭和の新しい日本橋


【明治の文明開化で激変する日本橋~歌川芳虎「東京日本橋風景」】
参考資料
「東京日本橋風景」 歌川芳虎
明治3年(1870) 江戸東京博物館蔵

明治3年(1870年)の作品。明治3年に人力車が営業許可を受け、高札場横で営業開始した。
明治6年(1873年)に西洋型木橋への架け替えが行われた。明治15年(1882年)には日本橋と新橋の間で鉄道馬車が敷設された。

「人力車のほか、画面には馬車や自転車など、車輪を使うさまざまな乗り物が、江戸時代以来のメインストリームに溢れんばかりに描かれている。」(参考文献1)

【石で造られた日本橋~土屋伝「日本橋繁華之光景】
参考資料
「日本橋繁華之光景」 土屋伝
大正15年(昭和1・1926) 江戸東京博物館蔵

この作品は大正15年(1926年)の作品。明治44年(1911年)の石作りの日本橋周辺が繁栄する様子が描かれています。大正12年(1923年)の関東大震災で甚大な被害を被った東京だが、政府復興局により近代都市復興が進められていきました。

【近代東京の日本橋を代表する絵~川瀬巴水「日本橋(夜明)」】
参考資料
「日本橋(夜明)」 川瀬巴水
昭和15年(1940) 江戸東京博物館蔵

昭和15年(1940年)の作品。「近代化にともない東京を描く絵も、近代的建造物に注目した都市風景が増えていく。日本橋はその流れの中で、明治の香りを残す近代的な橋として、より一層の美しさの際だつ絵が描かれていった。」(参考文献1)


その他にも、影からくり絵巻「隅田川風物図巻」の特別展示や、各時代を象徴するもの(人力車や洋服等)、日本橋を写した貴重な写真等見どころ満載です。是非現地で、日本橋400年の歴史をお楽しみ下さい。

以上

江戸東京博物館 開館20周年記念特別展『日本橋 ~描かれたランドマークの400年~』
会期:平成24年5月26日(土)~7月16日(月・祝)
会場:江戸東京博物館 1階展示室 (東京都墨田区横網1-4-1)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
(土曜日は午後7時30分まで)
休館日:毎週月曜日(ただし、7月16日(月)は開館)
*入館は閉館の30分前まで
*今後の節電等の状況によって変更する場合がありますので
ご来館の際は特別展公式ホームページ等でご確認ください。
特別展公式HPhttp://www.asahi.com/event/nihonbashi400/

(参考資料)
1.東京都江戸東京博物館 開館20周年記念特別展『日本橋 描かれたランドマークの400年』図録 (東京都江戸東京博物館・朝日新聞社 平成24年5月26日)
2.朝日新聞2012年5月24日(木)夕刊
3.特別展『日本橋 ~描かれたランドマークの400年~』公式HPhttp://www.asahi.com/event/nihonbashi400/

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thumbnail_sasaki佐々木 昭美(ささき あきよし)

取締役会長 総合研究所所長

経営コンサルタント(経営改善、事業開発、ビジネスモデル、 人事戦略、IPO、M&A、社外取締役)

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